『凄い事なのは分かりますが、そう言うのって他人からの妬みを受けたり、敬遠されたりする原因になります。自ら努力をして手に入れたものなら折り合いがつきやすいですが、サイドエフェクトは言ってしまえば"偶然の産物"だから……あ、別に駄目じゃないですよ？迅さんのその能力のお陰で助かった人もきっと沢山います。だから……その…う、上手く言えない～』
「………っ。ハハハハハッ！？」
『え？あの、迅さん？ど、どうかしましたか？』

何とか自分の考えを伝えようとする柚紀だが、言葉足らずで上手く言えず苦戦する。そんな姿を見て迅は声を出して笑い出し、柚紀は訳が分からずアタフタしつつ迅の側に戻る。概ね笑い続けてひと息付くと、手を伸ばして柚紀の頭を撫で

「(本当に鶴ヶ峰の人達は揃いも揃って…)柚紀ちゃん位の子が、そんな考え方するのって中々ないよ？やっぱり遺伝？」
『……どう、なんでしょうか？お父さんや言実さんは研究者だから一般的な人と物事の見方が違うとは思います。私は………そう言う解釈をしていないと…自分を守れなかったから』
「……そっか。…うん、俺決めたわ」
『？？？何を決めたのですか？』

迅の言葉を聞いて柚紀は自分の考え方に関する根源を振り返り、嫌な記憶だったのか顔に影が落ちる。そんな柚紀の先を視た迅は一人何かを決意する

「……この先、柚紀ちゃんは色々大変な事になる。君のその考え方を理解してもらえない故の問題とかね。…だから、俺はどんな時でも君の味方で居る事に決めた」
『味方……私には言実さんが居ますよ？』
「勿論言実さんは柚紀ちゃんにとって血縁者だから絶対的な味方なのは間違いないけど、やっぱり味方は多い方が心強いでしょ？」
『……確かに、此処(ボーダー)にはまだまだ知らない人ばかりだから、…迅さんみたいに頼れる人が居ると、安心します』

迅の言い分は確かなので素直に肯定的な意見を述べた柚紀。それに満足そうな笑みを浮かべた迅は、撫でていた手を動かしてポケットから携帯電話を取り出す

「じゃあ、お近づきの印に俺の連絡先教えて上げるよ。何かあれば連絡頂戴、この実力派エリートが必ず力になって上げる」
『あ、有難う御座います。ただ迅さん、大変申し訳ないのですが………私、携帯持ってません』
「…………え？」

和やかな空気が何とも言えない空気に変わり、暫く話が進まなかったのであった