「ｺﾞﾌｯ)いやいや、違う違うからっ！？そうじゃないから！！あ～……本来なら俺がやるべき仕事を、嵐山達に任せたのがバレたら面倒……(いや、やっぱり今回のは嵐山達じゃないとこの先が…)……兎に角、俺の個人的な理由が原因だから、柚紀ちゃんは気にしないで大丈夫だよ！？…因みに苗字を聞かなかったのは、言実さんとの親しげな姿が視えたから必然と、【柚紀ちゃんの年齢層】×【言実さんと親しい間柄】＝静樹さんの娘さん＝鶴ヶ峰柚紀ちゃん。となる訳」
『……迅さんがそうおっしゃるなら、信じます。…ん？？？…みえた、…見えた……視えた？……何だかニュアンスが…違う？』

懸命な迅の説明を聞き、自分の勘違いだと言う事は理解した柚紀だが【みえた】の意味に違和感を覚え不思議そうに繰り返す。それを見て迅はよく見知った彼女の血族に対してのシンパシーを抱く

「(流石静樹さんの娘さんにして言実さんの姪っ子な訳か)その違和感間違えてないよ、俺が言った視えたは"未来が視えた"って意味だから」
『未来が…視えた？……それって…まさか』
「ん。俺も君同様、サイドエフェクトを持つ人間だよ。能力は【未来視】…目の前の相手の少し先の未来が見えるって訳」

自らのサイドエフェクトを説明して相手がどんな反応をするか観察する迅。一方の柚紀は驚く訳でもなく、チビチビとミルクティーを飲みながら考えを纏め、最後に残りをゴクンと飲み干すと、口を開き

『そもそも、サイドエフェクトって一体何ですか？特殊な能力で、所持者が少ないのは聞きましたが……言実さんも、知っている事を前提に話していたから、聞けなかったです』
「……あ～。まさかそっちの反応が返ってくるか。…高いトリオン能力を持つ人間はトリオンが脳や感覚器官に影響を及ぼして、稀に超感覚を発現することがある。んで、その超感覚の総称がサイドエフェクトな訳。理解出来そう？」
『超感覚……、つまり炎を出したりとかのファンタジー的な能力じゃなくてトリオンが原因で人が持つ五感や記憶力とかが強化した。って解釈で大丈夫ですか？』
「問題ないけど、"原因"とか随分否定的な考え方だね」

サイドエフェクトの基本的な説明を聞いて他の人とは少し違う考え方をする柚紀を面白そうに笑う迅。その反応を見て軽く首を傾げ、立ち上がって空き缶をごみ箱に捨てると、迅の方を振り向き