52.工作の曲~偽りも貫けば真となる~
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諏訪・太刀川に各ボーダー隊員への伝言を伝えている間に、言実は内部通信を使って嵐山隊に大まかな策を伝えていた。内容が言実が練った策にしてはかなり博打要素が強いと感じた佐鳥だったが、柚紀に感付かれない様に平然を装う必要があったので異論を唱える事は無かった。他二人も実際は佐鳥と同意見を抱きはしたが、"言実だから"と考えそこまで深く疑念は持たなかったし、各自で"策の理由"等を察していた
そして、太刀川が言実の元に戻ってきたタイミングで作戦決行となった。因みに諏訪は男子グループの所に留まり、更に何故か笹森が女子グループに移動している状況だが、特に支障はないと言実は判断し、放置されている。……先ずは嵐山が三人の元に移動を始めた。それから少し間を置いて言実が熊谷に合図を出し、"生身"のまま嵐山隊+柚紀の元へ向かわせた
『!…どうかしましたか嵐山さん?……そう言えば三人ともずっとトリオン体のままですが、…何か理由でもあるのですか?』
「あ~……実は君に内緒にしていたのだけど、市の方からボーダーにちょっとした"治安維持"的な頼み事をされてね。…柚紀ちゃん、悪いけど協力してくれないかな?」
「トリオン兵だけ倒すじゃボーダーのイメージ的に好くないからね~。…佐鳥達が広報の仕事をするのもそれが理由だけど、今回みたいな要請があれば対処したりもするんだよね」
「因みにコレは忍田本部長と…(チラッ)言実さんも了承済みの任務なんだけど、……おれ達より観察力や洞察力が優れた鶴ヶ峰さんの方が多分適任だと思う。…大丈夫、おれ達がフォローするから」
嵐山まで此方に来たことで、一般人からの視線を更に集まっているのを感じる柚紀は落ち着かない様子だが、三人の話を聞いて"訳あり"と判断する。そして自分に協力要請が来たことに対して、一瞬躊躇するが
『(…何時も嵐山さん達には迷惑を……お世話になっているし、たまには私だって)(コク)わ、私で良ければ協力、します。でも一体何をすれば良いのですか?』
「(ニコッ)そうか!!協力してくれるか!!有り難う!!(ガシッ!ブンブン)」
「嵐山さん、気持ちは分かりますがはしゃぎ過ぎかと。……君にお願いしたいのは…「あ、あのっ!!!」ん?……何かご用ですか?」
勇気を出して了承の意を伝えると、"演技そっちのけ"で本気で満面の笑みを浮かべて喜ぶ嵐山は、思わず柚紀の手を両手で掴めば上下に振り始める。それを見て苦笑いを浮かべながら話を続けようとした時枝だが、その時見知らぬ女子二人組が話しかけてきたので対応をする
「ボーダーの嵐山さんと時枝くん……ですよね?」
「も、もし大丈夫でしたらその…握手してもらえませんか?後、出来たら写真も」
『(ビクッ!!)っ?!』
「(パッ…ナデ)ん?…俺で良ければ構わないよ?……充も問題ないだろ?」
「(…スッ)大丈夫ですが、(チラッ)……彼女は撮らないでね?おれ達の共通の知り合いの子で、一応一般人だから…ね?」
「「も、勿論ですっ?!」」
女の子と言えば佐鳥なのだが、コミュニケーション能力が高い二人も女の子相手に卒なく対応する。その間に嵐山は体が強ばった柚紀の頭を然り気無く撫でてやったり、時枝は二人から姿を隠すかの様に動いて"人としての倫理的・良心的思考"に呼び掛けるかの様な話し方仕草を取っていた。……普通の感覚を持つ人物ならこれで柚紀に危害を加えないと考えたのだ。その隙に佐鳥がコッソリ"任務内容"を柚紀に伝える
「(コソッ)……どうやら最近この駅周辺に"不審者"が出るらしくて、主に女の子が被害に遭っているみたいなんだ。…佐鳥達が"囮"になって周囲の目を引き付けるから、その間に柚紀ちゃんはそれとなく辺りを警戒して"少しでも疑いのある人"を見つけて欲しい。……今日は居ないかも知れないし、逆に……「あ!!ボーダーの佐鳥くんだー!?!」!!(パッ)(マズイッ?!)」
説明の最中に今度は"佐鳥目当て"の女子達が近付いてきた。二人を横目で確認するが未だ対応中で此方の援護は無理そうと判断し、仕方なく単独で対応に移る。…然り気無く柚紀を自分の背に隠したのは気休め程度だと分かっているが、何もしない訳には行かないのだ……柚紀は異性"だけ"が苦手ではないから
「ど、どうもお姉さん達。このボーダーの佐鳥に何かご用でしょうか?」
「あら?理由もなしに声を掛けちゃ駄目かしら?…貴方達みたいな有名人が居たら、誰だって普通気になって話しかけるわ」
「誰もがって訳じゃないでしょ?…周りの子達みたいに、ただ見ているだけでって子も居るよ?……所で佐鳥くん…」
「その子、誰?かなり親しげに話していたけど……一般の子、よね?」
「「だよね~?……トモダチ?」」
‐ ……チクリ ‐
『(ビクッ!!…ギュッ)』
何やら強気で年上らしい女子三人に捕まる佐鳥。そしていつの間にかその佐鳥から三人の視線が自分に集まっているのに気づいた柚紀は、思わず体が強張り…怯えてしまい無意識に"助けを求めて"佐鳥のジャケットの裾を控え目に掴んでしまう。……他人から"友達"と言われて違和感を感じたのだが、…それに気付けるだけの余裕が今の柚紀には無いのだった。勿論佐鳥も異変には気付いているが、女子三人をどうするか迷っており柚紀への対処が出来ない。…そんな中