51.集結の曲
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当真達買い物組と合流してから、暫くは皆会話を楽しんでいた。とは言っても全員一緒に話すのは無理なので、幾つかのグループに別れており柚紀は各々のグループ間を移動して、話に花を咲かせていた。そんな最中時折柚紀は
『(キョロキョロ…キョロキョロ)……ん~?』
「(ナデ)どうした柚紀。さっきから頻繁に周囲を気にしてないか?……俺等が居るから別に見られたって問題ないだろ?」
『うん、…皆さんが居るからなのか……たまに視線を感じますが、そ、そうじゃなくて、…何か人多い気がして。それに……浴衣姿の子もチラホラ…』
「(視線が鶴ヶ峰本人に向けられている事は黙っておくとして)……そう言えばそうだな。…穂刈先輩、何かご存じですか?」
笹森は勿論、他のメンバーも周囲を通り過ぎる人間の殆んどが柚紀を見ているのに気づいているが教えるつもりは全員ない様子だ。なので、もう一つの疑問視している点を答える事にした笹森は穂刈に話を降る。理由は浴衣=お祭りで、ボーダー隊員内では穂刈がお祭り好きなのは有名な話であるからだ
「…確か、あったな、商店街で、縁日的な、軽い出店が、……それだろう」
『出店っ!!……お祭りか~、…ここ数年行ってないから、機会があれば行きたい、かな』
「(ナデナデ)…今年は難しいかも知れないが、来年必ず連れていってやるよ。よっぽどの事がない限りは、此処を離れる事はないだろ?つる姐も居るし、な?」
『うん、そうだね……叶うと…良いな(ギュッ)』
一瞬だけ表情を明るくさせた柚紀だが、直ぐに表情に陰りを見せる。…今の自分にはそれを願っても出来る自信がないと分かっているからだ。そんな柚紀を見て当真は頭を撫でながら先を見越した約束をする。それを聞いて、少しだけ表情に明るさが戻った柚紀を見て、とりあえず良しと男子メンバーは納得した…様に見えたが荒船は何処か違和感を覚えていた。だが理由が分からないので口には出さない様だ
そんな会話をしている時に、堤が様子を見に此方に近づいてきたのに気づいた柚紀が気になった事を訊ねる
『あ、堤さん。その……時間って大丈夫何ですか?予約、してますよね…お店の(出来れば…早く移動したい。あれからずっと……"嫌な予感"がしてならない)』
「ん~、時間はまだ余裕があるから大丈夫だよ。それと…気持ちは分かるけどごめん鶴ヶ峰。……まだ全員揃ってないんだ」
「え"っ!?堤さん、ま、まだ人が増えるんですかっ?!一体……誰が来るんですか?」
そわそわして落ち着かない柚紀を見て、人目に長時間晒されているのが原因と考えた堤は、申し訳なさそうに理由を話す。それを聞き嫌な予感がした笹森は引き攣った表情を浮かべながら訊ねる。そんな笹森に対しても申し訳なさそうにする堤が"待ち人"の名を告げようとしたその時
‐ ザワザワ…ザワザワ… ‐
‐ ね、ねぇ!!彼らってもしかして… ‐
‐ え?え?ほ、本物っ?! ‐
‐ きゃ~、ラッキー!!?生で会えるなんて夢みたい!!夏休み最後の良い思い出になる ‐
何やら広場周辺が騒がしくなってきた。…それもはしゃいでいたり騒いでいるのは女子が殆んどであった。その原因が知りたくて視線の先を見た柚紀は、思わず固まってしまう。何故なら……
「あ!居た居た!!…皆さんお待たせしました~!!?仕事が長引いてしまって思わずトリオン体のまま来ちゃいました!!」
「全く、楽しみなのは分かるけど少しは落ち着きなよ…佐鳥」
「そう言う充も、俺から見たら普段より分かり易かったけどな。……遅くなりましてすみませんでした。連絡したとは言え、年上の方達をお待たせさせた事には…変わりないですね」
『気にするな、此方こそいきなりの誘って悪かったな……嵐山、時枝、佐鳥』
そう嵐山隊の三人が来たからだ、それも見慣れたトリオン体のままで。ボーダーの顔にして三門市の有名人がいきなり現れれば、騒がしくなるのは必然的なのだ。広場が騒然としている中、主催者たる言実に挨拶を終わらせた嵐山達に話しかける猛者が現れた。それは…
「よぉ嵐山隊、仕事ご苦労サン。…まぁそうだよな、荒船達が呼ばれるならお前等につる姐が声掛けねぇ訳がない、か」
「お疲れ様です諏訪さん、それと引っ越し作業ご苦労様でした。…日にちが合えば俺達も手伝ったのですが、生憎広報の仕事がありましたので…」
「気にするな、人が多すぎると逆にやりづらくなるし……実際太刀川も急遽手伝うとか抜かしやがって、…まぁそのお陰で鶴ヶ峰はゆっくり買い物が出来た訳だがな」
「えっ!?お、俺が悪いのかよっ!?ちゃんと働きましたよ??」
言実のそばに居た諏訪(と太刀川)が嵐山達に話しかけたのを皮切りに、当真達男子も近づき話始めたのであった。一方柚紀は…何故か少し離れた所に居た女子グループまで退避していた。……"困惑した表情"を浮かべながら