32.演奏の曲~旋律を手繰る~
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「え!?!待って、柚紀ちゃん?!どういう事なのソレは」
『言葉通り…だよ、確かに私にはサイドエフェクトあるよ?!でも、…"本来の私"には……あんな凄い事は、出来ないの!?!歌だって、絶対に聴こえない筈なのに!!?』
「(いけないっ!!)…落ち着いて鶴ヶ峰さん。貴女はそれを、やり遂げている。…一体どうして出来たの?……何に悩み苦しんでいるの?」
佐鳥は驚きを隠さずそのままの気持ちを伝えると、それに呼応する様に柚紀も感情が表に露になり気持ちを吐き出す。時枝も驚いてはいるが、このままでは"サイドエフェクトの暴走"を引き起こすと危惧し、落ち着かせる為に小さな子どもに諭すかの様に優しい声で訊ねる
態度は違うが、自分を気にしており心配してくれている。そんな二人を見て柚紀は高ぶった感情を鎮める代わりに……涙を流しながら話を続ける
『理由さえ、原因さえ分かっていれば……期待されずに済んだのに。…あの騒動だって、起きなかった!皆に……言実さんに……二人にだって…迷惑かけずに……済んだのに…………何もかも…諦めれたのに……また、……苦しまずに済んだのに……どうして…』
‐ ポトポトポトポトポト ‐
二人を見るのが怖くなり、俯く柚紀。その足元に水滴が、絶え間なく落ちているのに気付いた佐鳥は、拘束する時枝に激しく抵抗する
「っ!!?離してくれっ、とっきー?!泣いてる柚紀ちゃんを放っておくなんてオレには出来ない!!!」
‐ 辛い思いはもうさせたくない!守るって決めたから!!だってオレはっ…… ‐
「気持ちは分かるが今は駄目だ佐鳥!!……鶴ヶ峰さん、おれは…おれ達は君を傷つけるつもりはない。でも、今の君に近付いても…触れても大丈夫かが分からない。落ち着くまで此処で待つよ、……だから」
‐ …どうか泣かないで欲しい。今のおれじゃあ、君の涙を拭うことが出来ない。笑っていて欲しい、おれはっ…… ‐
直ぐにでも側に行きたいと感じるのは二人とも一緒だ。だが、直進的な佐鳥では柚紀の心情を図りかねない。時枝だって同じだが、少なくとも今は駄目だと思い自分の考えを口にした。…言わなければ相手に伝わらないから
『………ごめ……なみ…だ……とま…………っ!ま、まっ…て……な…きや……せ…る…から……』
「「…………大丈夫、待つよ。…ずっと」」
実際に柚紀は自分達を困らせない様にと無理をして泣き止もうとしている。二人はそれを見て、内部通信がある事を忘れて視線だけで会話をした
‐ 本当は泣かせたままは嫌だけど… ‐
‐ 彼女の好きにさせるべきだ ‐
‐ 気持ちを圧し殺させるべきではない ‐
‐ それでは柚紀が…辛いままだ ‐
……多少の差はあるだろうし、確信はなかったがそう思っていると二人は互いを疑う事はなかった。……相手の気持ちを自分は知っているから…そして待つと二人はきちんと断言した、心身ともに不安定な彼女が…柚紀を安心させる為に
暫く泣いてスッキリした柚紀は残っている涙を自分で拭うと、手を伸ばしても二人が触れられないギリギリまで近付き『待ってくれて有り難う』と感謝を伝えてから詳しく話始める。佐鳥の拘束は抵抗を止めた時点で時枝は解いている
『私がトリオン量が人より多いのも…事実だけど…初日の歌騒動後、私は倒れなかった。あれだけの事をしたにも…関わらず、平然としていた。後日…あの現象を再現しようとしたけど……無理だった。それも"トリオン量が少なく見積もっても三桁はないとあの現象を引き起こすのは不可能"って結果が出て皆さん、驚いていたの』
「さ、さ、さ、三桁っ!!え?流石に柚紀ちゃんそんな量を持ってないよね?」
「持ってたら多分、待遇が変わっているよ。…その理由、原因は今はもう分かっているんだね?」
ぽつりぽつりと柚紀が語る内容に驚きを隠すことなく表に出す佐鳥と、適度に相槌等を入れて内容進行を補助する時枝。この時に"待遇"の言葉にしたのは"優遇と冷遇"、どちらをされるか未知数だからだ
『うん、数日前の個人実験時に偶然…理由解明の糸口が出来たのそれは………っ!……二人を信じたい。だから、約束して欲しい事があるの。……いい、かな?』
「ん?話が見えないけど……それで柚紀ちゃんが安心するなら、佐鳥はお約束します!!男に二言はないです!!?」
「貴女からのお願いは珍しいですね、…でもそれだけ知られたくない事を話そうとしてくれているなら、……おれ…達は言わない…絶対に、誰にも」
まだ具体的に約束内容を話していないにも関わらず、承諾してくれた二人を見て柚紀は嬉しくて一瞬だけだが綺麗で満足そうな笑みを浮かべた。…初日、隊室で歌い終えた時に浮かべたのと同じ笑みを。それを見て
‐ ドクン ‐
「(え?な、何でオレの胸が高鳴ったの?これじゃあまるで……)」
‐ ドクン ‐
「(一瞬だけど鶴ヶ峰さんの笑顔を見たから?……でもこれだと)」
夕日のせいで柚紀は判断出来なかったが、二人は互いに理解出来た。…チームメイトの顔色がうっすら赤くなった事を。そして気づいていない柚紀は少しだけ辛そうな表情をして重大な話を進めるのであった
『……今から話す事は誰にも言わないで下さい。嵐山さんにも、綾辻先輩にも。後は諏訪隊の方にも出来れば言わないで欲しいです。……昨日の一件で心配かけた、…その原因にも繋がる話だから』
『言葉通り…だよ、確かに私にはサイドエフェクトあるよ?!でも、…"本来の私"には……あんな凄い事は、出来ないの!?!歌だって、絶対に聴こえない筈なのに!!?』
「(いけないっ!!)…落ち着いて鶴ヶ峰さん。貴女はそれを、やり遂げている。…一体どうして出来たの?……何に悩み苦しんでいるの?」
佐鳥は驚きを隠さずそのままの気持ちを伝えると、それに呼応する様に柚紀も感情が表に露になり気持ちを吐き出す。時枝も驚いてはいるが、このままでは"サイドエフェクトの暴走"を引き起こすと危惧し、落ち着かせる為に小さな子どもに諭すかの様に優しい声で訊ねる
態度は違うが、自分を気にしており心配してくれている。そんな二人を見て柚紀は高ぶった感情を鎮める代わりに……涙を流しながら話を続ける
『理由さえ、原因さえ分かっていれば……期待されずに済んだのに。…あの騒動だって、起きなかった!皆に……言実さんに……二人にだって…迷惑かけずに……済んだのに…………何もかも…諦めれたのに……また、……苦しまずに済んだのに……どうして…』
‐ ポトポトポトポトポト ‐
二人を見るのが怖くなり、俯く柚紀。その足元に水滴が、絶え間なく落ちているのに気付いた佐鳥は、拘束する時枝に激しく抵抗する
「っ!!?離してくれっ、とっきー?!泣いてる柚紀ちゃんを放っておくなんてオレには出来ない!!!」
‐ 辛い思いはもうさせたくない!守るって決めたから!!だってオレはっ…… ‐
「気持ちは分かるが今は駄目だ佐鳥!!……鶴ヶ峰さん、おれは…おれ達は君を傷つけるつもりはない。でも、今の君に近付いても…触れても大丈夫かが分からない。落ち着くまで此処で待つよ、……だから」
‐ …どうか泣かないで欲しい。今のおれじゃあ、君の涙を拭うことが出来ない。笑っていて欲しい、おれはっ…… ‐
直ぐにでも側に行きたいと感じるのは二人とも一緒だ。だが、直進的な佐鳥では柚紀の心情を図りかねない。時枝だって同じだが、少なくとも今は駄目だと思い自分の考えを口にした。…言わなければ相手に伝わらないから
『………ごめ……なみ…だ……とま…………っ!ま、まっ…て……な…きや……せ…る…から……』
「「…………大丈夫、待つよ。…ずっと」」
実際に柚紀は自分達を困らせない様にと無理をして泣き止もうとしている。二人はそれを見て、内部通信がある事を忘れて視線だけで会話をした
‐ 本当は泣かせたままは嫌だけど… ‐
‐ 彼女の好きにさせるべきだ ‐
‐ 気持ちを圧し殺させるべきではない ‐
‐ それでは柚紀が…辛いままだ ‐
……多少の差はあるだろうし、確信はなかったがそう思っていると二人は互いを疑う事はなかった。……相手の気持ちを自分は知っているから…そして待つと二人はきちんと断言した、心身ともに不安定な彼女が…柚紀を安心させる為に
暫く泣いてスッキリした柚紀は残っている涙を自分で拭うと、手を伸ばしても二人が触れられないギリギリまで近付き『待ってくれて有り難う』と感謝を伝えてから詳しく話始める。佐鳥の拘束は抵抗を止めた時点で時枝は解いている
『私がトリオン量が人より多いのも…事実だけど…初日の歌騒動後、私は倒れなかった。あれだけの事をしたにも…関わらず、平然としていた。後日…あの現象を再現しようとしたけど……無理だった。それも"トリオン量が少なく見積もっても三桁はないとあの現象を引き起こすのは不可能"って結果が出て皆さん、驚いていたの』
「さ、さ、さ、三桁っ!!え?流石に柚紀ちゃんそんな量を持ってないよね?」
「持ってたら多分、待遇が変わっているよ。…その理由、原因は今はもう分かっているんだね?」
ぽつりぽつりと柚紀が語る内容に驚きを隠すことなく表に出す佐鳥と、適度に相槌等を入れて内容進行を補助する時枝。この時に"待遇"の言葉にしたのは"優遇と冷遇"、どちらをされるか未知数だからだ
『うん、数日前の個人実験時に偶然…理由解明の糸口が出来たのそれは………っ!……二人を信じたい。だから、約束して欲しい事があるの。……いい、かな?』
「ん?話が見えないけど……それで柚紀ちゃんが安心するなら、佐鳥はお約束します!!男に二言はないです!!?」
「貴女からのお願いは珍しいですね、…でもそれだけ知られたくない事を話そうとしてくれているなら、……おれ…達は言わない…絶対に、誰にも」
まだ具体的に約束内容を話していないにも関わらず、承諾してくれた二人を見て柚紀は嬉しくて一瞬だけだが綺麗で満足そうな笑みを浮かべた。…初日、隊室で歌い終えた時に浮かべたのと同じ笑みを。それを見て
‐ ドクン ‐
「(え?な、何でオレの胸が高鳴ったの?これじゃあまるで……)」
‐ ドクン ‐
「(一瞬だけど鶴ヶ峰さんの笑顔を見たから?……でもこれだと)」
夕日のせいで柚紀は判断出来なかったが、二人は互いに理解出来た。…チームメイトの顔色がうっすら赤くなった事を。そして気づいていない柚紀は少しだけ辛そうな表情をして重大な話を進めるのであった
『……今から話す事は誰にも言わないで下さい。嵐山さんにも、綾辻先輩にも。後は諏訪隊の方にも出来れば言わないで欲しいです。……昨日の一件で心配かけた、…その原因にも繋がる話だから』