『えっと、…【お酒と相性の良い食べ物】？食べ物の横に○や×印が書いてある。こっちのページは……【味覚の好みでお酒も好き嫌いが出るか】？……言実さん、お酒の研究しているのですか？』
「「「はあぁ？！？/ふむ…」」」
「「……………/…ん？」」
「……成る程、暗号化か」

柚紀の読み上げた検討外れの内容を聞いて色んな反応が飛び交う中、城戸は一人冷静に言実の意図を指摘。言い当てられた事に満足した言実は柚紀から手帳を受け取りポケットに戻し

『流石城戸さん、ご名答。ボーダーじゃ他人の研究内容を盗んで、さも自分の調べた風に装おうなんて輩は居ないだろうが、……昔居た研究室では日常的だった為、その対策として研究内容を自分にしか解らぬ暗号化している。…他人に読まれても違和感が無いような文面にして…な？』
『えっと、な、何も…言われずに読んだら多分、お酒に関する纏めたものって…思います。あ、……私は…ですが』
「確か、静樹さんは体調管理を怠らない為に、健康管理帳を作成していたが……もしかしなくてもあれか？研究内容を一切書いていなかったから言実ちゃんにそのまま渡した…」
『その通りだ、因みにあれを読み解けるのは私だけだろうな。…では大本命のサイドエフェクトの話に移ろうか』

サイドエフェクトの資料のタネを明かした後に、言実以外には解読不可な点も忘れずに付け加た後、最重要案件に入る

『…【ある一定の条件を満たすことで自らのトリオンを放出、及びそのトリオンを用いて自他に影響を与える】……兄さんの推察通りなら、柚紀の能力は使い方や今後の訓練次第で…化ける代物だ。既にその片鱗は発生した。……例のトリオン反応の件だ』
「あれか、……柚紀君と言ったね？君がトリオンを放出し、それを本部のレーダーが感知、調査の為に嵐山隊を私が向かわせた。…嵐山達が君に接触するまでに感知した反応は同じ場所で二回。……何か思い当たる行動はないか？」
『えっ？あ、あの公園…で、二回？………ぁの、多分ですが…………一つ…思い当たる事が』
「なんだい？言ってみてくれ」

曖昧ではあるがサイドエフェクトの概容を聞き、事の発端となった件に居合わせた忍田が柚紀に原因を問う。まだ忍田の事をよく知らないので警戒心からか、たどたどしく歯切れの悪い話し方だが質問に何度か答えようと奮闘

『……う、歌を……歌を歌ってまし…た。二回目は歌と言うより…鼻唄でしたが「(バン！？)歌を歌ってトリオン放出だ？！そんな事例聞いた事もないわい！！デマカセ謂うでないわ、小娘がっ！！？」(ﾋﾞｸｯ!!)』

勇気を出して真実を打ち上げたにも拘わらず、鬼怒田から大声で真っ向から否定されて完全に怯えてしまう柚紀。そんな姪への仕打ちに対して言実は眼光を鋭くし、怒気を纏いて無表情でも分かるほど怒りを露にすると、体を動かして鬼怒田の視線から柚紀を隠して反発