48.交流の曲・四番
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昼食を済ませた言実達は、車で新しい住居に向かっていた。そんな時に言実に届いた柚紀に関する内容を見て大きな溜め息を漏らした
「……何があった?」
『ユウからだ。……荒船達に一通り説明したせいで、あの子が"揺らいだ"らしい。…当真が保険をかけたお陰で大事には至らなかったが、…やはり離すべきではないな。依存させたくもないのだが……』
「…少なくともアイツの精神が安定するまでは必要だろう。………不安要素の一つでも解決さえすれば良いが、直ぐには難しい事はつる姐だって承知済みだろ?」
『……まぁな』
相変わらす諏訪と言実との会話になったが、もう二人は割り込むつもりはない様子だ。…少なくとも運転中に諏訪に話を降るのは些か勇気が居る、なので矛先は
「所で言実さんから見ても……嵐山隊の存在が鶴ヶ峰にとって重要な事は、理解されてますよね?」
『?当たり前だろ、そうでなければ頼ったりもせぬし、あそこまで柚紀を自由にもさせん。……デメリットや不安要素はあるが今は必要不可欠な存在だ』
「デメリットに不安要素?……イマイチ分からないが、つる姐は何をそんなに気にしているんだ?」
"恋愛感情"を除外すれば対人関係を見抜くのも言実は秀でているが、自信がなかった堤の問いにキッパリと断言するがどこか浮かない声音に疑問を抱く太刀川。そんな状態を運転中の諏訪は察しがついている様子だ
「また、先の事を……って言いたいがそうとは言えないな。…"距離が近いからこその反動"、それが危惧している事だろ?」
『あぁ。……今は大丈夫だが、生活環境やボーダー内での雰囲気の変動に柚紀が順応する際、…一歩でも接し方を間違えれば恐らく簡単に"揺らぐ"。柚紀にとってそれほど嵐山隊の影響力は強い。それにだ、……嵐山隊は"全員"が柚紀の気持ちを尊重"し過ぎている"。分からなくもない、だが良くもない、…一歩引いて柚紀の本質を見れる存在、それこそ二宮みたいな奴が必要になる。確実にな』
「時枝じゃ、…駄目なのか?」
『太刀川の意見は最もだが可能なら…同性が好ましいと私は思う。時枝は男だからな、思考は柚紀に似てはいるが性別が違えば見える景色も異なる。私が知りうる中で今のボーダー内外でも、それに該当する隊員や人物は、……恐らく居ない。…ならば探せば良い、丁度その機会は近い故にな』
「機会?……あ!転校先の学校と、ボーダー新人入隊式ですか?!」
何事にも先を見据えた行動力や思考力を発揮する言実だが、柚紀の事になると更に精度や正確さ…慎重さが増す。……だからこそ心配や不安であるが、先の騒動で経験した失敗から学びこうやって諏訪達に話しているのだ。因みに彼等以外には冬島や東辺りには話してある、…勿論迅にもだ
『…あくまでも私の願望だから叶う保証はないがな。……一つ、約束しろお前達。今この場にて私が語った事を【柚紀本人を含めて、…他者に話すな】。…これは迅も同じ見解だ、話せば確実に……あの子にとって良くない事になる。いいな?』
「「……了解」」
迅の名前が出てきた事で言実の言葉に更なる厚みと信憑性が加わり、疑うことなく了承する二人。諏訪も同じだが、…気になる事があった。それは言実が理解出来ていないであろう"恋愛感情"的な事に関してだ
「(こりゃ以外とタイムリミットが短いかもな。…時枝の様子からして気持ちに偽りはねぇだろう。恐らく佐鳥も、…だがまだ"強い決意と覚悟"が足りない。……つる姐も"ソッチ系"は分からなくてもそれとなく感じ取っているって感じか?もし、彼奴等が本気で覚悟を決めたら)…潔く退かせるべき、かもな」
笹森と柚紀を会わせたのは自分なら、幕引きも自分の役目。そう自己解決させながら車を走らせる諏訪であった