44.和睦の曲
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「「……………え?」」
「……待てつる姐、"トラウマ複数持ち"を今此処で言う必要あったか?流石に荒船も、"野郎に対してのトラウマ持ち"は理解出来るだろうが、ソッチを気付いたかは微妙だぞ?」
『…お前が妙な例えを使ったからであろう諏訪、……それがなければ私とて今この場で話すつもりは毛頭なかったぞ?』
「そりゃあまぁ……、そうだ…な」
柚紀に関する衝撃の事実を聞き、堤は勿論だが太刀川ですら驚愕の表情を浮かべていた。それに加えて大量の情報を一気に話した事に対して諏訪が苦言を呈するが、言実は何時もの冷静さと切れのある口調で淡々と正論を語っていた
先に我に返った堤が、先ずは口を開く
「あ、あの諏訪さん、言実さん。……それが事実なら大問題じゃないですか?!!何時あんな事態になるか分からないって事ですよね??何でそんなに冷静でいられるんですか??!!もっと警戒する必要があ…「堤の考えも分かるが、アイツに対して過保護は逆効果だ。そうだろつる姐」………諏訪さん?」
「あー、そうだった。…つる姐が過保護にし過ぎたのが例の騒動が起きた一因、だったな」
「え?過保護……でしたか?今の言実さんなら…まぁ分かりますが……」
男三人の視線が一気に言実に集まれば、流石に嫌そうな表情をするが事実なので甘んじて受け止めれば、大きくため息を漏らした後に語り始める。…以前諏訪に問われた"自分に科した心掛を疎かにしてしまった理由"を
『……最初私は柚紀に降り注ぐ被害を、"未然に防ぐ"方針に重点を置き行動をしていた。だからあまり隊員にも会わせようとはしなかった、……風間と諏訪に関しては…正直言って"保険"程度の考えだった。"全員"から柚紀を隠すのは不可能な事位、私にだって分かっていたからな。…トラウマの件もあった故に、サイドエフェクトも詳細は秘密にしておったし、させてもおった。……不確定情報とは言え興味を示すには十分なものだ。聞けば必ずあの子の事情などお構いなく追求する馬鹿が出るのは必然、………それらを分かっていて尚且つ私は、…一人で何とか出来るとあの時は本気で思っていた
だが、………あの様な事態になった。…私の思い込みが!見立ての甘さが!他人を頼ようとせん自らの愚かさが!……あの子を追い込んだっ!?』
「「言実さん…/つる姐…」」
最初は淡々と語っていた言実だが、徐々に悲しみや後悔の感情が浮かび上がり、最後の方は自らの罪を感情と共に吐き出していた。その表情はとても辛そうで、普段は絶対表に出さないようにしている事だ。出すとしても、冬島と言った僅か一部人間の前でのみ。……言実だって感情もあれば後悔もする、ただ一人の人間でしかないのだから
そんな初めての言動を目の当たりにし、特に太刀川の驚きが凄まじいし状況で、頭を掻きながら諏訪はこう擁護した
「ま、あれだな。…つる姐だって失敗をする普通の人に変わりねぇってこった。他より立ち回りが上手かったり頭の回転が良いだけに過ぎねぇ。それにだ、……あの後ちゃんと鶴ヶ峰の為に色々やってやってるんだ。…誰も責めちゃしねぇよ。つる姐だって無能野郎共の邪魔を受けてそうなっちまった、悪気があった訳じゃない事くらい…鶴ヶ峰が一番わかってるさ、アイツは他人の…アンタの感情や事情を読み取る事に関しては誰よりも優れているし誰よりも信頼をしているからな。そして一切疑うこともない、本当に強い絆だよ、アンタ等二人を繋ぐものは」
『っ!………少し外に出る、業者が来るまでには戻る(ガラガラ…ピシャン)』
「おぅ」
二人の視線や諏訪の言葉を聞いてその場に居れなくなった言実は、まるで逃げるかの様に開いていた窓からベランダに出てしまう。それを平然とした表情で見送った諏訪は、未だに茫然としている二人の頭を軽く叩いて、正気に戻す。それでも驚きを隠せない太刀川がこう切り出した