「「「「あっ！？」」」」
「いけないっ！柚紀の事が心配過ぎて……茜を置いて来たっ！？」
『えええぇーーー！？！だ、駄目じゃないですか先輩っ？！茜ちゃんにもしもの事があったら私………わたしはっ…』

熊谷と一緒に居る筈の日浦が居ないのに遅くなりに全員気付き、熊谷も流石に焦りの表情をした。そして今回は大丈夫だが、笹森が言っていた通り"嫌な思い"をしている柚紀が自分のせいで……と置き換えて考えてしまい、辛そうな表情を浮かべてしまう。それを見て熊谷を始め柚紀をある程度知っている面々が対応に倦ねいていた時


「お～い、くま。柚紀が心配な気持ちは分かるけどよ～、自分のチームメイト置いてくのはマズイだろ？」
「柚紀先輩っ、見つかって良かったです！！後、くま先輩～置いて行くなんてヒドイですよ～」

『え？…えっ！？？』
「「「「「はぁ？！？」」」」」
「茜っ、ごめんっ！？アンタは"あの時点"で一人にはならないって思って、つい……」

日浦が誰かを伴って熊谷と同じ方向から小走りでやって来た。その声に聞き覚えのある柚紀を含めた熊谷以外の全員が、"何故此処に居る？"と驚きの表情と声を出す。そして熊谷が日浦を任せても大丈夫と判断した相手、それは

『と、…当真先輩っ？！何で先輩まで此処に居るんで……「柚紀センパ～イ！？(ダキッ！ｷﾞｭｳｰ)」わわわっ！あ、茜ちゃん？』
「心配しましたよ～！小佐野先輩から"先輩が消えた"って連絡が会った時は、私もですがくま先輩もかなり焦りました！何せ私を置いて行く程でしたからね！！えっと、……当真先輩達にはその連絡が来る前に、偶然会いまして軽くお話をしてました！！兎に角……無事で良かったですぅ～～うぅう～(ｸﾞﾘｸﾞﾘｸﾞﾘ)」
『……うん、心配してくれて有り難う茜ちゃん(ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ)』

当真の登場に驚いている柚紀にお構いなしに勢いそのままに抱き付く日浦。その言葉や泣きそうな表情から本当に心配してくれた事に対して、嬉しくもあり申し訳なく感じる柚紀はとりあえず日浦を感謝の気持ちを伝えながら落ち着かせようとする。ある程度日浦が落ち着いて柚紀から離れると

‐　ポン！…グシャグシャワシャワシャ……　‐
「にしてもよ～、元気そうだな～柚紀。(ﾜｼｬﾜｼｬﾜｼｬ)隊長が心配してたぞ～？最近無理や無茶してないかとか言ってよ～、あの人が女子中学生をあんだけ心配するのも珍しいんだよな～(ﾜｼｬﾜｼｬ)だからよ～、たまにはにウチに遊びに来いよ？(ﾜｼｬﾜｼｬﾜｼｬ)理由とか無くてもお前が来るのは俺も大歓迎だし、な？(ポン！)」
『あー、もうっ！？当真先輩っ！？毎回毎回、会う度にそうやって雑に頭を撫でるのは止めてくださいよ？！……一応、私も女の子なんですから髪型とか気にしますので。それと、私は何時も無理とか無茶しませんよ？そんな事したら、……皆さんに迷惑になりますから』
「いや～、丁度良い高さにお前の頭があるから、つい。てもまぁ……柚紀だって嫌じゃないだろ？それと、…隊長には多分"これから"迷惑……て訳でもないが、世話になるんだ。お礼の品とか要求しねぇから時々顔出しに来い、な？」
『(ﾑｯ)……嫌じゃないですよ？加減さえちゃんとしてくれれば、尚さら良いですが。……………否定は出来ませんが、それを冬島さんじゃなくて先輩が決めて良いんですか？』
「隊長が倒れても良いのか？」
『(ｷｯﾊﾟﾘ)絶対に嫌です』

当真と柚紀のやり取りを見て、差はあるが全員が呆然としていた。明らかに違うのだ、当真に対しての柚紀の態度や口振りが。まるで"同級生"若しくは"幼馴染み"かの様な接し方で、当真は相変わらず飄々としているがちゃんと加減を心得ているし、表情も諏訪と同じ"妹を可愛がる兄"のものだ。ただやはり諏訪や風間と比較すると違和感が拭えないのだ
誰も何も言わない状態で、ポツリと笹森が全員の心情を代表して一言

「………何で鶴ヶ峰は当真さんに対してだけあんな対応なんだ？」