38.紫苑の曲~大切な人の為に~
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「そもそも、なんでつる姐は恋愛関連の感情"のみ"あんなに無関心なんだよ?理由は何だ?」
『…言実さんは普段から無表情ですが、感情の喜怒哀楽はちゃんとあります。だから無感情ではないのは皆さんも理解しているかと思います。因みに他人を信用信頼する感覚は理解してますよ?そうでなければこんな大人数が在籍する組織に長期勤めたりはしません。…例え、自分の興味のある分野で、ボーダーだけが所有する独自の技術があったとしてもです。……話が反れましたね。つまりは他人を大切にする気持ちはあります。………私の存在がその証明になります。それと同様に、言実さんだって赤の他人に対しても恋愛的な感情もきちんと理解出来る筈……なのですが』
「…なにか原因があって未だに理解出来てないって訳か?因みに柚紀ちゃん、まさかだとは思うが姐さん、初恋すらまだとか言わないだろうな?……それなら納得出来るが」
「「あっ!!」」
根本な的な事から話そうとする柚紀の言葉に、出水がある可能性を示す。幾ら言実でも、確かに未経験の事を理解するのは難しいしほぼ不可能だ。……サイドエフェクト持ちが抱える悩みが普通の人には理解できにくい原理と同じだ。出水の問い掛けに対して柚紀は静かに首を降り否定する
『幼いながら言実さんを見ていた私の感覚ですが、…恐らく初恋はしていた筈です。ただ……頻繁に会っていた訳でもなく、知りうる中で考えでも………相手が相手だったから、その気持ちに気付かず更にその人以上に惹かれる程の相手が今現在でも未だ現れない。…だからあそこまで無関心なのです』
「あ、一応恋した事はあるのか姐さんでも」
「お~、何か凄そうな人だね~言実さんの初恋のお相手さんは」
「一体誰だ?…知っているなら教えてくれ柚紀」
『(ビクッ)あ、……ぁ…ぇ……そ、…そのっ………ぃ……ぃゃっ!…こ……わ…っ』
柚紀が見て感じそして推測した原因を話せば、出てきた"言実の初恋の相手"と言う言葉に全員が反応を示し、中でもまだ見ぬ相手に対して嫉妬やらの負の感情を抱いてしまった太刀川は間違えてそれを柚紀に向けてしまい、それに反応した柚紀は恐怖し畏縮してしまう。それに直ぐ様気付いた出水と国近がフォローに入る
「あっ!!太刀川さん、落ち着いてください!?それを柚紀ちゃんに向けるのはお門違いですよっ!??」
「大丈夫だよ~、私が側に居るからね~。それとアレは柚紀ちゃんに対してじゃないから…ね?」
「…あ。……わ、悪いっ!?お前にこの感情をぶつけちまって!!?悪気はなかったんだ!!………で、本来俺がこの気持ちをぶつけるべき相手ってのは誰なんだ?」
国近がそっと抱き締めて柚紀を落ち着かせている間に、出水が太刀川を何とか諌める。無意識な状態から正気に立ち戻った太刀川が、慌てて柚紀に謝罪し、自らを落ち着かせて再度同じ問いをする。大分落ち着いた柚紀が国近に感謝を伝えれば、少し躊躇したが誰かを明言する
『……お父さん…です』
「「「(えっ??/はあぁっ??!/お?)…お父さんっ????」」」
『うん。…鶴ヶ峰静樹、私のお父さんにして言実さんにとっては年の離れた唯一のお兄さん。言実さんに多大な影響を与え、更に言えばこのボーダーにとっても関係深い人物です。……もしかしたら他の人かも知れませんが、私の知る限りではお父さんしかあり得ない。お兄さんが初恋の相手なら、その気持ちが"家族愛"なのか"恋愛的な感情"なのかを区別するのは難しいですから。それにこれも多分ですが……言実さんにとって"絶対に勝てない相手"がお父さんだけだったから、…いろんな意味で』