『柚紀がそこまで気に病む必要はない。この程度の事、私は苦に感じてないから大丈夫だ』
『…でも、迷惑かける事には変わりないよね？』
『その点に関しては……何も言い返せぬな。迷惑とは少し違うが面倒な事になっているのは事実だ。とは言えど、お前の性格を考えれば我が儘を言ってくれる事事態が私は嬉しく思うぞ。そして何より…』

頭を撫でながら柚紀を納得させる為に、小さな子どもに言い聞かせる様な口調と表情で語りかける言実。そして此所で柚紀にとっては今更な事、未だに驚きを隠せない三人にとっては更なる追撃ちとなる事実が明かされる


『お前は、私にとって唯一の肉親で可愛い姪っ子なのだから、たまには叔母らしい事をさせてはくれないか？』
『……私だって言実さんが血の繋がりがあるただ一人の叔母さんだからこそ迷惑かけたくなかったけど、…言実さんがそれを望むのであれば何も言えなくなるよ』

「「「ん？？/えっ？！/へっ？！！」」」
『『？？？/………』』

柚紀が丸め込まれる形で話が纏まったが、嵐山隊三人の驚きを含んだ声を聞きそちらを向く二人。この時言実の表情は何時もの無表情に戻っていた

「…今、姪と叔母って言いました？」
「つまりは柚紀ちゃんと言実さんは親戚関係だったのか。成る程、よく見ればそれとなく似てる感じがしますね」
「その子がおつるちゃんの姪っ子なのもビックリですが、嵐山さんもとっきーも見たっスよね？……おつるちゃんの微笑む姿を見れる何で佐鳥は感激です！！先輩達に自慢してやるっスよーーーー！！！？」
「「賢/佐鳥、五月蝿い(/よ、流石に)」」(ﾎﾟﾝ/ﾍﾞｼｯ)

各々の考えを述べたのは良いが、佐鳥の予想以上の声の大きさとテンションに流石の二人も諌める。そんな反応をされて不思議そうに三人と言実を交互に見つめる柚紀

『言実さん、私の事を話していなかったのですか？てっきり知っていると思ってましたが……』
『プライベートに関わる話だ、仕事に関係ない事を話す必要ないだろ？…さて、そろそろ行かないと上の連中が痺れを切らし兼ねない。いくぞ柚紀、……嵐山達もまたな』
『え？あ、ちょっと言実さん？！…し、失礼します』

柚紀の疑問をきっぱり断言すると、予想以上に時間が経過しているのを確認し、踵を返すと挨拶もそこそこに歩き出す言実。それを見て慌てる柚紀は嵐山達に軽く会釈をして急いで後を追いかけるのだった。嵐山達はそれを引き留めたりせずに見送った