37.親交の曲・個人総合一位編
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太刀川は足取り重いながらも、自隊室に辿り着いていた。中に入るのがかなり憂鬱だが、ずっと部屋前に居るわけにも行かず、覚悟を決めて中に入った先で見た光景は
「………は?」
「う"わ"~ん"!!ま"だま"げだ~!!も"う"い"っがい"っ!!?」
「柚宇さん、悔しいのは分かるけど落ち着いて下さいっ!柚紀ちゃんが困ってますからっ!!」
『ご、ごめんなさいっ柚宇先輩っ!!次は手加減しますからっ!』
「でがげん"ざれ"る"の"ばい"や"だ~~!!?でも"がぢだい"~~~!!」
『そ、そんな~~』
確かに泣いては居た……国近が。それも号泣しながら怒っている。それを出水と柚紀が頑張って諌めているのだ。彼女がこうなっていると言うことは、つまりゲームに負けた事を意味するのだが……先程の出水から聞いた話によると柚紀はゲームをしたことがない筈、そして国近も「柚紀ちゃんがウチに来たらゲーム教えて一緒に遊ぶんだ~、楽しみだな~」と以前楽しそうに言っていたが、何故こうなったのか
「あー!遅いですよ太刀川さん!!柚宇さんを止めるの手伝ってくださいっ!?このままだと柚紀ちゃんまで困って泣きそうなんですから~!」
「……とりあえず出水、どうしてこうなったかの説明くれ。俺にはサッパリ理解できん」
太刀川に気付いて駆け寄ってきた出水に詳細説明を求める。国近はボーダーの中でも重度のゲーマーとして有名で、腕前も確かだ。なのに何故こうなったのか?
最初のレースゲームは初心者あるあるの"曲がろうとしたら体も一緒に動く"が起きたりと、普通に遊んでいた。ある程度遊び終えると、次はパズルゲームに挑戦した柚紀。こちらはシンプルなルールに加えて頭の回転も悪くないのもあり、意外と接戦を繰り広げていた。(出水曰く「本当に初心者か疑うレベルだった」らしい)それで上機嫌となり調子に乗った国近が「柚紀ちゃん、やりたいジャンルのゲームとかないの?」とソフトを見せて選ばせたのだ。その時選んだのが音楽関連の所謂リズムゲームな訳なのだが、………お忘れではないでしょうか?柚紀や言実は興味のある分野にはトコトン強くなったり、上達が早くなったりする才能を発揮する可能性がある事を。そして柚紀が一番興味があり得意としているのが音楽関連。…つまり
「最初はやっぱりやった事ないから柚宇さんが勝ったのですが……次あたりから柚紀ちゃんがルールとかコツを覚えて勝ち始めたんです。ある程度拮抗していたのですが、どんどん柚宇さんの負けが続いて、同ジャンルの別ゲーでも同じ結果、と言うより柚紀ちゃんの腕前が上達し過ぎてパーフェクト連発………で、あんな状態に」
「………そんな所までもがつる姐に似るとかって、マジかよ。…ってかあの状態で何で殺されるとか言ったんだよ?」
「甘いですよ太刀川さん!!姐さんは如何なる理由だろうと柚紀ちゃんを泣かせた相手には、容赦なくハウンドの雨かバイパーの餌食です!!!」
「如何なる理由って、……本当にあの子が大切なんだなつる姐にとっては」
出水の説明を聞いて思わず頭を抱える太刀川は、柚紀の才能に言実の面影を感じると共に、出水が恐れる理由から"自分では勝てない存在"なのだと国近を頑張って諌めようとする姿を見ながら痛感したのだ。そんな太刀川の視線に気付いた柚紀との目が一瞬だけ合うと、泣いている国近に対して凄く申し訳なさそうな表情をしてこう切り出した
『あ、あの柚宇先輩。すみません、……実は今日此方のお邪魔したかった理由に、その…太刀川さんに用が…あったからなんです。…だから…その、少しだけお時間……い、頂けませんか?……終わりましたらまた、別のゲームを柚宇先輩としたいです。……駄目…ですか?』
「「!!」」
まさかの発言に太刀川は勿論、出水も目を見開き柚紀を仰視する。些か居心地悪そうにしているが国近の反応を柚紀は恐る恐る窺う