『……来たか柚紀。本来は電話で話した通り、私が仕事を片付けてから外で会う予定だったが…わざわざ仕事場まで来てもらって、すまない』
『うぅん、気にしないで言実さん。あの…………御免…なさい』
『……その謝罪の言葉は、どう言う意味か…聞いても構わないか？』

知り合いな事もあり今日見知った嵐山達より話し方がスムーズな柚紀と、何時もと特に変わらず淡々と話す言実。二人が対話を始めると流石の佐鳥も気を使い、嵐山達の元に戻り二人のやり取りを見守り耳を傾ける

『……連絡先教えて貰ったのに今日いきなり訪ねに来てしまった点、電話じゃ話したくないと我が儘言った点、電話越しの声でも分かるほど疲れていたのを黙認した点、……やっぱり顔色も良くは見えないよ言実さん。後はちゃんと理解できてないけど此処に部外者の私が連れてこられた時点で面倒をかけてしまっている点としまう点、……考えればまだまだ出てくるけど、とりあえずこれらに対しての謝罪の言葉………です』
『……成る程な、とりあえずお前の言い分は理解した。だかな、柚紀…』

一人で居た時に考えていた心中をを暴露し、背中からでも三人が分かるほど落ち込んでしまう柚紀、それを黙って聞いていた言実は数歩進んで二人の距離を縮め、手を柚紀の頭に乗せると、後ろの三人が驚きの表情を浮かべる程、普段は絶対に拝めない穏やかな表情を言実が浮かべていた