36.好敵手の曲~影での駆け引き~
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一戦のみの試合で、試合内容は悪くはなくかなり迫力や見応えのある状況が拮抗したものだったが、一瞬の隙を見逃さなかった風間が勝負を決め、勝者になるという形で決着がついたのだった。試合終了後に嵐山達の元へ行けば、佐鳥と時枝は"あーだこーだ"と互いに反省点や対策を言い合いをしていた。そんな二人に近づく風間に気付いた嵐山が再び声を掛けた
「風間さん、二人の相手をして貰いまして有り難う御座います。…どうでしたか?」
「中々の連係だった。俺でなく別の相手だったら普通に勝てるだろう。…流石B級上位チーム、と一応褒めておこう……佐鳥が調子に乗りそうだが」
「賢は調子に乗りやすいですが、柚紀ちゃんの事がありますから大丈夫ですよ恐らく。…あの二人がより一層腕を磨く理由が、"彼女を一部隊だけで守れるように"と"次のシーズンでA級昇格を目指す"って事もありますから。今はまだですが、……"準備さえ整えば現場に出ての実践訓練をする"と言実さんからの通達…風間隊にも届いてますよね?」
「……あぁ」
嵐山の言葉に小さく頷く風間、隊長二人の表情は些か複雑なものだった。曰く柚紀本人が自らの能力の行使方法を定めた以上、言実も強くは反対は出来ないようだ。理由はボーダーに貢献したい本人の強い希望もあるが、やはりサイドエフェクトの特殊性が大きな原因に他ならない
「確かに柚紀ちゃんの能力は強力ですし、まだまだ解明されていない点も多いですから実践訓練を兼ねた実験を行うのは分かります。……しかし」
「現場に出る必要性…か?鶴ヶ峰の身をわざわざ危険に晒す必要はないと、俺も思うが……言実さんが必要と判断したのであれば必ず何か理由がある筈だ。ただ単純に"姪が望んだから"と言うだけではあの人も納得しないし、上層部も了承しないだろう」
「彼女のトリオン量を考えると、やはり上層部も何も策を講じない状態で現場に出すのは避けたい筈ですからね。それに、広報の仕事をしていても俺達はB級チーム。幾ら彼女と仲が良くて気持ちを代弁とかを理由に、あまり上層部に意見を述べれる立場ではない、……本部長は気にされなくても、他はそうとは限りませんから」
……そんな話をしている所に、反省会を終えた二人が此方に歩いてきており、佐鳥が嵐山に話しかける
「嵐山さん、見てましたか?オレの超絶スナイプを??」
「見てたぞちゃんと。だが風間さんに当てないと勝てないぞ賢?」
「うっ、…つ、次こそは必ず当てます!!最近のランク戦でもムラがありましたが、きちんと理由を解明させてますから同じ過ちは繰り返しません!!………多分」
話をしながら離れていく二人を見送り、時枝が風間に近付き改めてお礼の言葉を告げる
「風間さん、一対二のハンデ付きの対戦でしたが受けて頂きまして有り難う御座います。おれも佐鳥も色々と勉強になりました」
「気にするな、後輩を指導するのも俺達年長者の勤めだ。…一つ聞いてもいいか?」
「…おれが答えられる事なら」
「……今回戦ってみてだが、俺も何度か危機的な状況になった。特に佐鳥狙いで近付いた時、まるで予知していたかのようにお前は迷うことなく佐鳥の背後にいる俺に銃を向けた。佐鳥もお前の射撃直後まで回避する素振りも無かった。お前達はカメレオンの、…いや"俺達対策"を視野に入れているのか?」
風間からの鋭い指摘に、時枝は顔色一つ変えていないが真剣さは瞳から窺える。そして佐鳥を一瞥してから答えを返した
「佐鳥はどうかは知りませんが、おれの予想では"色んな意味"での強敵は風間隊…貴方達だ。で、個人での好敵手は菊地原って考えてます」
「ほぅ……A級の俺達が強敵、ランク戦関連ではないとすれば………鶴ヶ峰関連か」
「正解です。…例の使令内容、恐らく上層部は最初"前半部分のみ"で下すつもりだった。が、本部長若しくは林藤支部長…この片方か両名が異議を示した為に温情として"後半部"が追加されたのではとおれは考えてます。つまり………今後次第では貴方達は"彼女の敵"になる」
「…否定はしない。俺達は組織の人間だ、指令が下ればそれを遂行するのみだ。……個人で菊地原を上げた理由は?」
柚紀の能力が不安定なのと同じく立場も確立していない。現段階においてボーダー組織としては未だ"危険性あり"と判断されていると時枝は考えていた。…例え言実の存在があってもだ。そして菊地原の名前が出た理由は、あの屋上の一件、ひいては迅と柚紀の会話を聞いて改めて感じたのだ。…時枝には絶対に無理な事が彼なら可能であると言う事実に
「風間さん、二人の相手をして貰いまして有り難う御座います。…どうでしたか?」
「中々の連係だった。俺でなく別の相手だったら普通に勝てるだろう。…流石B級上位チーム、と一応褒めておこう……佐鳥が調子に乗りそうだが」
「賢は調子に乗りやすいですが、柚紀ちゃんの事がありますから大丈夫ですよ恐らく。…あの二人がより一層腕を磨く理由が、"彼女を一部隊だけで守れるように"と"次のシーズンでA級昇格を目指す"って事もありますから。今はまだですが、……"準備さえ整えば現場に出ての実践訓練をする"と言実さんからの通達…風間隊にも届いてますよね?」
「……あぁ」
嵐山の言葉に小さく頷く風間、隊長二人の表情は些か複雑なものだった。曰く柚紀本人が自らの能力の行使方法を定めた以上、言実も強くは反対は出来ないようだ。理由はボーダーに貢献したい本人の強い希望もあるが、やはりサイドエフェクトの特殊性が大きな原因に他ならない
「確かに柚紀ちゃんの能力は強力ですし、まだまだ解明されていない点も多いですから実践訓練を兼ねた実験を行うのは分かります。……しかし」
「現場に出る必要性…か?鶴ヶ峰の身をわざわざ危険に晒す必要はないと、俺も思うが……言実さんが必要と判断したのであれば必ず何か理由がある筈だ。ただ単純に"姪が望んだから"と言うだけではあの人も納得しないし、上層部も了承しないだろう」
「彼女のトリオン量を考えると、やはり上層部も何も策を講じない状態で現場に出すのは避けたい筈ですからね。それに、広報の仕事をしていても俺達はB級チーム。幾ら彼女と仲が良くて気持ちを代弁とかを理由に、あまり上層部に意見を述べれる立場ではない、……本部長は気にされなくても、他はそうとは限りませんから」
……そんな話をしている所に、反省会を終えた二人が此方に歩いてきており、佐鳥が嵐山に話しかける
「嵐山さん、見てましたか?オレの超絶スナイプを??」
「見てたぞちゃんと。だが風間さんに当てないと勝てないぞ賢?」
「うっ、…つ、次こそは必ず当てます!!最近のランク戦でもムラがありましたが、きちんと理由を解明させてますから同じ過ちは繰り返しません!!………多分」
話をしながら離れていく二人を見送り、時枝が風間に近付き改めてお礼の言葉を告げる
「風間さん、一対二のハンデ付きの対戦でしたが受けて頂きまして有り難う御座います。おれも佐鳥も色々と勉強になりました」
「気にするな、後輩を指導するのも俺達年長者の勤めだ。…一つ聞いてもいいか?」
「…おれが答えられる事なら」
「……今回戦ってみてだが、俺も何度か危機的な状況になった。特に佐鳥狙いで近付いた時、まるで予知していたかのようにお前は迷うことなく佐鳥の背後にいる俺に銃を向けた。佐鳥もお前の射撃直後まで回避する素振りも無かった。お前達はカメレオンの、…いや"俺達対策"を視野に入れているのか?」
風間からの鋭い指摘に、時枝は顔色一つ変えていないが真剣さは瞳から窺える。そして佐鳥を一瞥してから答えを返した
「佐鳥はどうかは知りませんが、おれの予想では"色んな意味"での強敵は風間隊…貴方達だ。で、個人での好敵手は菊地原って考えてます」
「ほぅ……A級の俺達が強敵、ランク戦関連ではないとすれば………鶴ヶ峰関連か」
「正解です。…例の使令内容、恐らく上層部は最初"前半部分のみ"で下すつもりだった。が、本部長若しくは林藤支部長…この片方か両名が異議を示した為に温情として"後半部"が追加されたのではとおれは考えてます。つまり………今後次第では貴方達は"彼女の敵"になる」
「…否定はしない。俺達は組織の人間だ、指令が下ればそれを遂行するのみだ。……個人で菊地原を上げた理由は?」
柚紀の能力が不安定なのと同じく立場も確立していない。現段階においてボーダー組織としては未だ"危険性あり"と判断されていると時枝は考えていた。…例え言実の存在があってもだ。そして菊地原の名前が出た理由は、あの屋上の一件、ひいては迅と柚紀の会話を聞いて改めて感じたのだ。…時枝には絶対に無理な事が彼なら可能であると言う事実に