33.自覚の曲~助っ人再び~
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「お!やっぱり此処に居たか、…三人とも」
「「!?…じ、迅さんっ!!」」
『!?!?』
迅が何やら不釣り合いなバックを持って、屋上に現れたのだ。そして口調からして柚紀達が屋上に居るのが分かっていた様子だ。…迅のサイドエフェクトを考えれば、納得する。間違いではない……そして
「こんにちは迅さん、…佐鳥達に何か用事ですか?("嵐山隊"宛の用事なら、普通嵐山さんを訊ねるよね?)」
「それとも、鶴ヶ峰さんに用事ですか?(おれ達程でないにしても、迅さんともやり取りしているって彼女が言っていた筈だ)」
迅が現れた理由を"どちらか"と二択で考えた。理由としては迅の立場上こうやって接触してくる時は何が重要な案件と二人は認識しているからだ。……重要で重大な事ほど、是非や合否と言った"白黒つけたい"と考えるものだ。だが……
『(……違うよね?迅さんが用があるのは、恐らく三人にだよね?…どうして、二人はそう思うの?)』
「悪いが、俺は"全員"用があるんだよ。だから、三人が一緒に居るのが視えたから此処に来た。……柚紀ちゃんを理解してもらう為に((二人とも彼女に注意しろ、多分…"影響が直ぐに出る"))」
「「えっ?!?(クルッ)」」
‐ …ゾクッ!?……サーー ‐
柚紀は"素直"に両方と考え、そして正解した。…だが迅の意味深な言葉とその迅からの内部通信を聞いて驚いた二人の"声と目線"、それらが合わさった瞬間……何時かの"トラウマな状況と同じになり"目の前が真っ暗になるのと同時に、血の気が引くのを柚紀は感じ取る
『…っ!?!(嫌だ、…"二人に……嫌われたくない"!!!)(クラッ)』
「「柚紀ちゃんっ?!/鶴ヶ峰さんっ!?」」
その場に立っていられなくなり、崩れ落ちそうになる柚紀を二人は慌てて支える。今回は柚紀だけじゃなくてヴァイオリンケースも気にする佐鳥。先程自分が言った事だが…彼女にとって大切な物と理解した以上、万が一にでも落としてしまわないようにと思ったからだ。同じく支えている時枝もそれは承知しているが、それ以上に柚紀が倒れかけた理由、そしてそれを何故迅が察知出来たのかが疑問だった。……サイドエフェクト以外にも何か理由がある気がしたのだ
「迅さん、これは一体…((……貴方は鶴ヶ峰さんの…彼女の"何を何処まで"知っているのですか?))」
「(ガサゴソ…パサッ)説明は後でする、…先に彼女を楽にさせるのが先決だ。とりあえずこのシートに座らせてくれ((…少なくとも二人よりはこの子を理解出来ているよ?俺達には"共通事項"や"共有出来る事"が多いからね。……拗ねるなよ二人とも、特に佐鳥。後、狭いが二人も座ってくれ。彼女"一人だけ"座らせるのも良くない))」
「り、了解です。…柚紀ちゃん、ゆっくりで大丈夫だから……此処に座れそう?((な、何でオレだけ名出しで注意したんですか!?……とっきーだって同じじゃないですか?!))」
「それと、ケースは一回おれが預かっても良いかな?…持ったままじゃ座りづらいでしょ?……ケースは座った君の後ろに置くから心配しないで…ね?((佐鳥は表情に出やすいからじゃないかな?……今の鶴ヶ峰さんは自分の事すらままならない状態だ。…何が彼女の負担になるかが分からない、……知らない事ばかりだからね色々と))」
『…………(コク…リ)(スッ)』
通常の会話と内部通信、平行して話している三人だが全てが柚紀に関する内容だ。違和感なくそれが出来るほど既に、三人にとって"この少女の存在が重要で大切な分類"なのだろう。さて、指示通り三人が座ったのを確認した迅は柚紀の正面側にしゃがみこみ、バックから水筒らしき物を取り出して無言で差し出す。それを素直に受け取った柚紀は、迅に視線を向け小さく頷いたのを見てから中身を飲み始める。すると
『!!…………?(温かい甘味のあるほうじ茶?…ミルクなしだけど、意外と美味しい。でも何でコレを?)』
「(ナデ)…本当なら紅茶にしようかなと思ったけど、昨日貧血起こしたでしょ?牛乳は喉に良くないし、珈琲よりお茶系、……香りの善し悪しも気分に左右されるから独特なものもは駄目、…でも気分を落ち着かせる為に温かいもので甘みは付けたい。それらを吟味した結果がソレ。いや~、選ぶの大変な一方で意外と楽しかったよ?(ナデナデ)……静樹さんに感謝しないとね、流石は元医者なだけあるよ全く。…待ってるから焦らず飲んで良いからね?(ナデナデ)」
『…………(コクリ…ニコッ)(ゴクゴク)』
父親の名が出てきて全く警戒や疑念を抱くことなく嬉しそうに飲む柚紀と、一度も声を出していない事を疑問にせず嫌な顔もしない迅。………今のやり取りだけで二人の信頼度が窺え、それを見ていた二人はかなり複雑な表情にをしていた。一方で、一人用のレジャーシートに柚紀を挟んだ形で三人が座っているが、足は出ているとは言え狭いのでかなり密着している。…柚紀の対人問題を考えればこの状況は凄いことの筈だが……
「(ま、自分で気づかないと駄目だよな"コレ"は。柚紀ちゃんの為に"ヒント"は出すけど…先に)((言っておくけど、俺はお前らの"敵"になる事を"今"は心配しなくて良い。…視えるのもあるが、俺自身がそれを望んでない。柚紀ちゃんは俺にとって大切な子だよ?……静樹さんや言実さんの事もあるけど"彼女自身"が大事だから。その柚紀ちゃんとの接し方や彼女がどんな"考え方の人"かを俺を通じて"黙って見ていてくれ"。但し"見るだけ"だ、……二人が口を出したら"彼女の反応が変わってしまう"し"見え方が変わってしまう"。それじゃあ意味がない、"第三者目線"から見てこそ意味がある))」