33.自覚の曲~助っ人再び~
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「!!…ごめん、ちょっと考え事をしていた。……とりあえず鶴ヶ峰さん、おれも話は聞くし意見が必要ならおれの考えを言うよ。…言ってみて、ね?」
『…うん、分かったよ二人共。先ずは、誰と会う予定だっかだけど、………"お母さん"に会うつもりだったの。…ほら、私さ、トリオン量やサイドエフェクト関連が判明して……三門市で暮らす事になったでしょ?それで、……手続き関係とかに…"本当の保護者"の印鑑や名前が必要…だから、……わざわざ時間を作って来てもらったの。……それが今日』
予想外な人物が出てきて戸惑う二人だが、時枝は一つ"ある可能性"が頭に浮かんでいた。だが決定打がないのと、あくまでも推測でしかないので口にはしない。だが佐鳥は分からないから…
「?どうして柚紀ちゃんのお母さんがわざわざ三門市に??イマイチ理由が見えないけど、それ以上に……どうしてお母さんに会うって教えてくれなかったの?隠す必要、…あった?」
『っ!?(パシッ)だって、……知られたくなかった!!お母さんが来るって分かったら…知られる可能性があったから!!!………私、がっ
…「……言実さんを頼って"家出"をして来た。そしてその原因は母親でない別なモノ、……そうだよね?」…!?!』
「………意味が分からないよ、だって柚紀ちゃんは夏休みだからおつるちゃんに会いに来たんじゃなかったっけ?(…手、払われちゃった。佐鳥が無神経な事言ったからって分かるけど、……どうして悲しく思うんだろ?)」
佐鳥の言葉が柚紀の逆鱗に触れてしまい、顔を触っていた手を払い除け、距離を取り完全に警戒心を剥き出しにしているが表情は何処か苦しそうだった。…その言動を見て確信した時枝は口に出した。……柚紀が三門市に来た"本当の……隠していた理由"を。時枝の発言と柚紀の態度、その両方に驚きそして理解が出来ずに佐鳥は困惑していた。特に柚紀にあの様な態度を初めて取られた事が相当キタのか、何時も絶やさない明るい表情が消え失せていた。その変化にも気づけない程余裕がない柚紀は、まるで全てを諦めた様な表情を浮かべて時枝にこう告げた
『……やっぱり、バレちゃった。…時枝くんなら、答えに辿り着いちゃう気がしていたから。参考程度に聞くけど、……何が"ヒント"だった?』
「……上手く説明は出来ないけど、…此処に居たいって事はつまり、帰りたくないと"イコールで繋がる"。…そして貴女は母親に会う事は嫌がっていない、寧ろ今日を楽しみにしていた風にも見えた。……なら会いに帰れば良い、親子なんだから当然な心理で行動だ。でもそれをしない、何故か?……"戻れば最後、ボーダーに戻ってこれない可能性があるからだ"つまり鶴ヶ峰さん、…貴女は何かの理由により"実家に居れない状況下に陥っており、そこから逃げてきた"……どうかな?」
『(コトン)(パチパチパチ)……うん正解。何も間違ってないよ、……なら、…分かるでしょ?お母さんの事を言わなかった意味も…………家出してきたって知れば、必ず"原因は母親"って決めつける人が居る!!子どもが家を飛び出す理由何てそれしか普通ないもん!?……でも私は違う?!?お母さんのせいじゃない!!だって、…頼んでも居ないのにヴァイオリンを持ってきてくれた!?私の今年の誕生日に戴いた、……一番の宝物を!!…………そんな優しい母親を…嫌う訳…ないじゃない!!!』
「!?駄目だ、柚紀ちゃん!!それ以上後ろに下がったら…危ない!?!」
時枝の推論を黙って聞いていた柚紀だが、いきなり持っていたヴァイオリンケースを足元に置いた。そして、また胸の内なる思いを辛そうな表情で吐き出しながら徐々に後ろへと下がっていく。……まるで二人から逃げるように。そしてボーダーの屋上には狙撃の為か"フェンスがない"のだ。つまり、このまま後ろに下がり続ければ何れ……それに気づいた佐鳥が慌てて声を掛けて忠告するが留まらず、遂に
‐ ガツン!! ‐
『っえ?!!……ぁ(フワリッ)』
「「!!」」
縁に膝後ろを強打し、バランスを崩してしまい後ろに柚紀の体が傾く。縁の幅かなりあるにしても、かなりの早さで後ろに下がっていた影響でぶつかった反動で体が宙に浮いてしまう。反射的に手を二人に伸ばすのと同時に、理由は分からないが目を瞑ってしまう柚紀が、本格的に危うい体勢になりそうになった瞬間
‐ …………………クイッ!…………ギュッ ‐
「……ハァ~…良かった、間に合ったっ!?」
『…?………………えっ?!』
目を瞑っていた柚紀は正確に理解出来なかった。…いきなり"どちらか片方"が側に来て自分が伸ばした手を掴まれてそのまま引き寄せられ、そして……感じる人肌からして今、抱き締められているのは分かった。そこまで何とか理解出来た柚紀だったが、直ぐ傍から聞こえた安堵の声を聞き…誰なのか確信した。少し怖いが、ちゃんと確かめたくて閉じていた目を開き視線を動かして、視界の隅に見えた彼の顔を捕らえ、その名を呼ぶ。相手は……
『…と……時…枝……くん?』
「……………(ギュッ)」
時枝だった。柚紀が名を呼んでも返事も返さず、ただ無言のまま固く抱き締め続けていた。普通に抱き締めている様に見えるが、実際は生身の柚紀が万が一にも痛い思いをしない様に最善の注意を払う辺りは時枝らしいとも言える。…佐鳥が居るにも関わらず、自ら助けたその理由は
「(……やっと分かった、何故おれが此処まで彼女が気になるのか。…あの距離なら"テレポート"を使わなくてもトリオン体の性能を考えれば助けれたし、落ちない可能性だって……でも、確証は持てなかった。おれは………彼女が、…鶴ヶ峰さんが居なくなるのを…恐れたんだ。…嫌だって、傍に居たいって………だっておれは……この子が…)(ギュッ)」
……自覚したからであった。自らの気持ちを、柚紀に抱いた……偽りのない想いを
『…うん、分かったよ二人共。先ずは、誰と会う予定だっかだけど、………"お母さん"に会うつもりだったの。…ほら、私さ、トリオン量やサイドエフェクト関連が判明して……三門市で暮らす事になったでしょ?それで、……手続き関係とかに…"本当の保護者"の印鑑や名前が必要…だから、……わざわざ時間を作って来てもらったの。……それが今日』
予想外な人物が出てきて戸惑う二人だが、時枝は一つ"ある可能性"が頭に浮かんでいた。だが決定打がないのと、あくまでも推測でしかないので口にはしない。だが佐鳥は分からないから…
「?どうして柚紀ちゃんのお母さんがわざわざ三門市に??イマイチ理由が見えないけど、それ以上に……どうしてお母さんに会うって教えてくれなかったの?隠す必要、…あった?」
『っ!?(パシッ)だって、……知られたくなかった!!お母さんが来るって分かったら…知られる可能性があったから!!!………私、がっ
…「……言実さんを頼って"家出"をして来た。そしてその原因は母親でない別なモノ、……そうだよね?」…!?!』
「………意味が分からないよ、だって柚紀ちゃんは夏休みだからおつるちゃんに会いに来たんじゃなかったっけ?(…手、払われちゃった。佐鳥が無神経な事言ったからって分かるけど、……どうして悲しく思うんだろ?)」
佐鳥の言葉が柚紀の逆鱗に触れてしまい、顔を触っていた手を払い除け、距離を取り完全に警戒心を剥き出しにしているが表情は何処か苦しそうだった。…その言動を見て確信した時枝は口に出した。……柚紀が三門市に来た"本当の……隠していた理由"を。時枝の発言と柚紀の態度、その両方に驚きそして理解が出来ずに佐鳥は困惑していた。特に柚紀にあの様な態度を初めて取られた事が相当キタのか、何時も絶やさない明るい表情が消え失せていた。その変化にも気づけない程余裕がない柚紀は、まるで全てを諦めた様な表情を浮かべて時枝にこう告げた
『……やっぱり、バレちゃった。…時枝くんなら、答えに辿り着いちゃう気がしていたから。参考程度に聞くけど、……何が"ヒント"だった?』
「……上手く説明は出来ないけど、…此処に居たいって事はつまり、帰りたくないと"イコールで繋がる"。…そして貴女は母親に会う事は嫌がっていない、寧ろ今日を楽しみにしていた風にも見えた。……なら会いに帰れば良い、親子なんだから当然な心理で行動だ。でもそれをしない、何故か?……"戻れば最後、ボーダーに戻ってこれない可能性があるからだ"つまり鶴ヶ峰さん、…貴女は何かの理由により"実家に居れない状況下に陥っており、そこから逃げてきた"……どうかな?」
『(コトン)(パチパチパチ)……うん正解。何も間違ってないよ、……なら、…分かるでしょ?お母さんの事を言わなかった意味も…………家出してきたって知れば、必ず"原因は母親"って決めつける人が居る!!子どもが家を飛び出す理由何てそれしか普通ないもん!?……でも私は違う?!?お母さんのせいじゃない!!だって、…頼んでも居ないのにヴァイオリンを持ってきてくれた!?私の今年の誕生日に戴いた、……一番の宝物を!!…………そんな優しい母親を…嫌う訳…ないじゃない!!!』
「!?駄目だ、柚紀ちゃん!!それ以上後ろに下がったら…危ない!?!」
時枝の推論を黙って聞いていた柚紀だが、いきなり持っていたヴァイオリンケースを足元に置いた。そして、また胸の内なる思いを辛そうな表情で吐き出しながら徐々に後ろへと下がっていく。……まるで二人から逃げるように。そしてボーダーの屋上には狙撃の為か"フェンスがない"のだ。つまり、このまま後ろに下がり続ければ何れ……それに気づいた佐鳥が慌てて声を掛けて忠告するが留まらず、遂に
‐ ガツン!! ‐
『っえ?!!……ぁ(フワリッ)』
「「!!」」
縁に膝後ろを強打し、バランスを崩してしまい後ろに柚紀の体が傾く。縁の幅かなりあるにしても、かなりの早さで後ろに下がっていた影響でぶつかった反動で体が宙に浮いてしまう。反射的に手を二人に伸ばすのと同時に、理由は分からないが目を瞑ってしまう柚紀が、本格的に危うい体勢になりそうになった瞬間
‐ …………………クイッ!…………ギュッ ‐
「……ハァ~…良かった、間に合ったっ!?」
『…?………………えっ?!』
目を瞑っていた柚紀は正確に理解出来なかった。…いきなり"どちらか片方"が側に来て自分が伸ばした手を掴まれてそのまま引き寄せられ、そして……感じる人肌からして今、抱き締められているのは分かった。そこまで何とか理解出来た柚紀だったが、直ぐ傍から聞こえた安堵の声を聞き…誰なのか確信した。少し怖いが、ちゃんと確かめたくて閉じていた目を開き視線を動かして、視界の隅に見えた彼の顔を捕らえ、その名を呼ぶ。相手は……
『…と……時…枝……くん?』
「……………(ギュッ)」
時枝だった。柚紀が名を呼んでも返事も返さず、ただ無言のまま固く抱き締め続けていた。普通に抱き締めている様に見えるが、実際は生身の柚紀が万が一にも痛い思いをしない様に最善の注意を払う辺りは時枝らしいとも言える。…佐鳥が居るにも関わらず、自ら助けたその理由は
「(……やっと分かった、何故おれが此処まで彼女が気になるのか。…あの距離なら"テレポート"を使わなくてもトリオン体の性能を考えれば助けれたし、落ちない可能性だって……でも、確証は持てなかった。おれは………彼女が、…鶴ヶ峰さんが居なくなるのを…恐れたんだ。…嫌だって、傍に居たいって………だっておれは……この子が…)(ギュッ)」
……自覚したからであった。自らの気持ちを、柚紀に抱いた……偽りのない想いを