32.演奏の曲~旋律を手繰る~
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「……なぁ、とっきー。…柚紀ちゃんの能力って……楽器にも作用するのかな?おつるちゃんは場所しか教えてくれなかったし、……柚紀ちゃんも…歌以外で使った事ないって言ってたし」
「……おれ達が考えても仕方ないから行くよ。…本人に会って聞くのが一番有効な手段だ、因みに佐鳥は……この音色は何の楽器か分かる?」
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まさか楽器の音色が聴こえるとは思っていなかった佐鳥は行動に迷って足を止めていたのだ。時枝も同様だが此処で立ち止まっても何も解決しないので先に歩き出す。屋上に通じるドア前に到着して開ける前に…恐らく柚紀が使用しているであろう楽器の正体を佐鳥に訊ねる
「そ、その位オレにだって分かるよ!えっと……持ち運びが出来てこの独特な音色は弦楽器…だろ?」
「そうだね。後は……鶴ヶ峰さんの様な小柄な女性でも立ったまま奏でれる代物、…ならこの手の中でも彼女のイメージにピッタリな……」
「「……ヴァイオリン(…かな?/の筈だ)」」
‐ ガチャ……キイィィーー ‐
答え合わせをし、互いに同じなのを確認してから時枝がドアを開けて屋上へ出、佐鳥もそれに続く。……その先で二人が見た光景は
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予想通り柚紀は居た。そして…楽器も二人が言った通りでヴァイオリンを歌を歌う時のように目を瞑って奏でていた。夕暮れ時となり空が夕焼け色に染まる中を……一人で
「……柚紀ちゃんを無事見つけたのはいいけど、…これって止めちゃマズイ…かな?(オレ的には…もう少し聴いていたいし、……見ても居たいかな?だって……)」
「歌が好きな鶴ヶ峰さんなら、恐らく楽器も…じゃないかな?………そう長く演奏しないだろうから、待っててもいいとおれは思うよ?(…佐鳥なら見ていたそうだよね。それに少なからず………おれ自身も見ていたいと思っているし…)」
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柚紀に変わった様子はない。それに彼女が持ってきた荷物にヴァイオリンは無かった。……何故持っているかは分からないが少なくとも柚紀のこの姿を見た者は、歌を歌う姿よりは断然少ない筈だ。…その優越感・特別感が無くなるのが二人して惜しく感じていた。他にも理由は色々あるが一番の理由は、恐らく互いに口には出さない相手が彼女に抱いている気持ちなのだろうと
~♪~…
『っ!?(スッ)………って…………あれ??』
「「!!」」
ヴァイオリンの演奏は順調……かと思いきや、どうやら間違えたらしく奏でる手を止め、集中力が切れて目を開けば……直ぐに二人の存在に気づき、対する二人もいきなりの事態に対処出来ず………三人とも固まってしまった
『………え?…佐鳥くんに…時枝くん?…な、何で……此処(屋上)に?』
「あ~、えっと~……おばんでございます?((………と、とっきーどうすれば良いかな?おつるちゃんの事を話すべきかな?))」
「……何言ってるのさ、お前は((多分言わない方が良いと思うけど、何も説明しない訳にもいかないよ…どうするべきだ?))」
誰かが屋上に、それも二人が来るとは予想もしていなかった柚紀は戸惑いと驚きを隠せない。二人もどう説明するか悩んでしまい佐鳥は妙な発言をする始末、その間に柚紀も理由を考えていた
『(なんで二人が?それも一緒に?!た、確かに二人なら私が屋上の存在を知っているよね?時枝くんが教えてくれたし、佐鳥くんはその場に居たし……でも誰にも…言実さんは言わないだろうし、目的もなしに此処に辿り着けないよね?偶然なら……有り得なくもな……)(ガツン!)…!?しまっ!?ケースっが!!?つ!!?(ギュッ)』
「「あっ!!」」
考えながら無意識に後ろに下がっていた柚紀は、足元に置いてあったヴァイオリンケースの存在を忘れており思いっきり足をぶつければ、バランスを崩して転倒しかけてしまう。その際にヴァイオリン本体を庇う為にかなり危うい体制となり、受け身が取れなくなる。……音楽全般が好きな柚紀は自分より楽器の方が大切なのだ。来るであろう痛みや衝撃に備えて反射的に目を瞑る柚紀たが、……次の瞬間
‐ ダッ! …ガシッ ‐
「あー、やっぱりトリオン体だと助けるのが楽……ってワワワっ!?とっきーヘルプ~!!」
‐ スッ ‐
「その行動力と反射神経は褒めてあげるけど、佐鳥まで転びそうになってどうするのさ、全く。……大丈夫?鶴ヶ峰さん?」
「あはは、サンキューとっきー!…柚紀ちゃん、もう大丈夫だよ~?」
『?……え?………あ、……あれ?……………!!ふぇッ!?!』
痛みの変わりに伝わって来たのは掴まれ支えられている感覚と人肌、そして至近距離から聞こえる二人の声。それに気付いてゆっくりと目を開いて驚愕する。佐鳥は安堵の表情を浮かべ、対して時枝は飽きれの中に焦りと心配な表情をして、左右から柚紀を見つめていた