32.演奏の曲~旋律を手繰る~
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「…予定通りに、訓練施設で射撃練習をしてたら…いきなり聴こえてきたんだ。でも、聴こえたのは…オレだけだった」
‐ 真っ……に 眼……があ………… ‐
「こっちもほぼ同じ。……嵐山さんも綾辻先輩も聴こえてない様子だったから、言わずに出てきた」
‐ 汗が……でも …を離さ……… ずっ… ‐
顔を見て話さず、横に並んだまま遭遇した状況を説明している間も、少しずつだがはっきりと聴こえ始めた歌声に柚紀の居場所をほぼ確信する二人は、場所特定の経緯を語り出す
「佐鳥はどうやって屋上に鶴ヶ峰さんが居るって分かったのさ?…推理的なのは苦手だろお前」
「うっ、それは確かにそうだけど。……東さんからおつるちゃんが基地に帰ってきたって聞いたから、単刀直入で訊ねた。最初は教えてくれなかったけど、歌声の事を伝えたら、渋々教えてくれた…他言厳禁を条件に。……とっきーこそ、どうやって場所特定したのさ?」
‐ 眩しく…げた 何…って弱………の日から ‐
「おれは今まで鶴ヶ峰さんと過ごした中にヒントはないかと考えて…思い出したんだ。確かあれは……」
∞∞∞∞∞∞
ラボに戻って尚且つ、まだエンブレム付きの服の案が出されて無かった頃。その時に居合わせた人が居た際に、面倒かけるのを承知でほぼ毎回お願いしていた習慣があった。それは【日光が浴びれて空が見える場所に連れて行って欲しい】だった。 柚紀が精神的に追いこまれた理由の中には、"外が見えない"もあった。…確かに長期間日光に当たらない事は良くもないので、療養中そこを配慮して短時間でもと、柚紀を部屋から連れ出していたのだ。丁度、佐鳥と時枝が一緒で近場の窓から空を眺めていた時の事だ
「ねぇ、柚紀ちゃん。窓から外を見るだけで満足?外出は流石に…駄目だよね、まだ本調子じゃない…から」
『…多分そうじゃないかな?私自身こんな経験初めてだから判断出来なくて……その辺に関しては言実さんが現在対策してくれるみたい、必ず必要になるからね。それに…日光も大切だけど、私にとっては青空が見れれば十分だから大丈夫だよ、佐鳥くん』
「青空?…でも鶴ヶ峰さんはインドア派だよね?どちらかと言うと……それに好きな色も多分緑系統…違うかな?」
『……流石時枝くんは他人をよく見てるよね。…別に体を動かす事は嫌じゃないよ?それに……今後の事を考えると体力向上させないとね。……喉のケアも重要だし、後は…肺活量も鍛えないと。それで、その……………何処か…良い場所…ないかな?』
∞∞∞∞∞∞∞
「………ボーダー基地内で鶴ヶ峰さんでも自由に行けて、あまり人目につかないで体を動かしたり出来る場所…で屋上をおれが教えたから、そこに居るかなと……って佐鳥、この時おれと一緒に居ただろ?」
‐ いられなかっ…と 悔しくて…を離す ‐
「ん?ん~、…………あ!(ポン)あの時か!?別に柚紀ちゃんなら隊室にあるトレーニングルームを貸すよってオレが提案したけど断られたっけ?…大分他人を頼りにしてくれる様になったけど、まだまだ遠慮するよね~……軽くショックだった」
「…あの時の佐鳥の落ち込み方が大袈裟すぎるから、数日彼女は時間を見つけてはウチに訪ねて来たし、その際にお前ちゃっかり勉強教わってたよな?…役に立てたって鶴ヶ峰さんが嬉しそうだったから良いけど、あまり甘えすぎるなよ?……お陰で今日の勉強会の案が出だのは…良かったけど」
「いや~佐鳥の勘通り、柚紀ちゃんが頭良くて助かったよ。とっきーは教えてくれな………ん??!あれ?ま、まさか東隊の勉強会って、とっきーが言ったの???何で?!?てっきりおつるちゃんがお留守番する柚紀ちゃんを考慮してだと、…ほら東さんなら安心安全だし、複数でなら変に緊張しないでしょ?……どうも"二人っきり"はだ…「ストップ佐鳥」……まだオレには言いたい事あるんだけど」
時枝が居場所特定の経緯を話した後は、互いに自分達が柚紀に対して抱く感想や出来事を話していたが、不意に時枝が何かに気づき話を中断し、丁度良くエレベーターが最上階に到着した
「佐鳥か色々言いたい気持ちは分かるけど、……歌が終わったのかな?聴こえなくなってる。…先ずは彼女に会うのが先決だ、……他のエレベーターがこの階に来た形跡はないから入れ違いにはなってない筈だよ」
「あ!?!……先に行くよとっきー!!…オレは柚紀ちゃんのサイドエフェクトの仕組みはイマイチ分からないけど…あの聴こえ方は普通じゃない!!!……急がないと!?(ダッ!!)」
「待って佐鳥!!焦る気持ちは分かるけど、鶴ヶ峰さんと鉢合わせする可能性だってあるんだ無闇に走るなっ!!?(ダッ!!)」
エレベーターが到着したのに気づいた佐鳥は、我先にと時枝を置いて走り出してしまう。何基もあるエレベーターの現在地を確認していたので、出遅れるが時枝も後を追う。屋上までエレベーターは直通はしておらず、此処から近くにある階段を一階分上がる必要がある。その階段の中腹で先に行っていた佐鳥が足を止めていた。不審に思い佐鳥に話しかけようとした時枝だが、直ぐに理由を理解した。それは……
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