「っと、大丈夫？かなりのスピードを出して移動していたけど……気分悪くない？」
『だ、大丈夫です。…乗り物酔いはした事はないので。ただ、屋根を跳んでいた時の浮遊感が抜けなくて……ちょつと足元が覚束無くなったみたいですが、もう平気です』
「それなら良かった。あ、荷物は返すね」
『荷物預かってくれて有難う…御座いました』

「あ～～、とっきーズルい？！」
(うんうん、少しは仲良くなってくれたみたいだな。こう言う時は年上より同級生の方がやっぱり親しみやすいか)

他の二人より柚紀との距離が一番遠かった時枝が、結果的に軽く肩を抱く体勢で体を支え体調を伺う。柚紀もふらついたのは一瞬で気分も悪くないので直ぐに時枝から離れて流れのまま鞄を受け取りきちんとお礼を述べる。そんな二人のやり取りを見て拗ねる佐鳥と、何も言わずにただ三人を温かく見守る嵐山。そんな中

-ｺﾂｺﾂ、ｺﾂｺﾂ-

遠方からヒールの音が聞こえ、 四人ともそちらに視線を向ければ、白衣を纏った見知った女性の姿が