32.演奏の曲~旋律を手繰る~
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~嵐山隊室~
「…よし、今日は此処までにするか充」
「はい、お疲れ様です嵐山さん」
「二人ともお疲れ様、今飲み物を入れますね?」
自隊室のトレーニングルームで特訓を終わらせた二人を綾辻が出迎え、お茶の準備を開始する。本来B級の作戦室には給湯設備はないのだが、広報の仕事で打ち合わせ等で関係者が来訪した時などを考慮した結果、A級作戦室と同じ広さの部屋を使っているのである。更に広報担当とは言えど、嵐山隊もボーダー隊員なので防衛任務も行うし、目立つからこそある程度の実力を有する必要がある。"ボーダーの顔"故に自分等を基準に市民はボーダー隊員を判断される事を自覚しているので、鍛練は怠れないのだ。ひと息ついている時枝は荷物から携帯を取り出して着信を確認する
「(連絡はないみたいだし、鶴ヶ峰さんと奥寺達は上手く仲良くなれたみたいだな。……あまり知り合いが増えすぎるのも鶴ヶ峰さん的には良くない…のか?……後は本人次第だね)」
柚紀の交流の輪に関してどうするか考えていた言実に対して"同級生を中心に増やすべき"と、時枝が進言していた。柚紀の性格や今までの経験からして、自分を含めた同学年や同性には比較的話しやすそうだからだ。実際、今日の東隊の勉強会も時枝の提案でもあった。因みに東と柚紀が知り合いになっている事を知っていたのは佐鳥経由だ。…時折柚紀本人から連絡を貰うが自分はあくまでも佐鳥のフォローのつもり、……なのだが何気なく連絡を取ったりもするし、返事があれば嬉しくもなる。それにまだ多くはないが困った事があれば柚紀から連絡がくれる事もあった。徐々に距離が近くなってきたのを感じていた時枝だが
‐ 真っ直ぐに…… あるように… ‐
「…え?」
「……どうした充?…柚紀ちゃんに何かあったか?」
佐鳥同様微かに、そして途切れ途切れだか柚紀の歌声が聴こえた気がして思わず声を出せば、柚紀に対する連絡が来たのかと嵐山が真剣な表情と声で訊ねる。お茶の用意をしていた綾辻も気になったのか手を止めてこちらを見ている。二人の様子からして、直ぐに気付いた
「(おれにしか聴こえてないみたいだな…)いえ、何も連絡はないので大丈夫かと。……すみません、少し出てきます(ウィーン)」
「「?」」
無言は流石に怪しまれるので、在り来たりな事を言って部屋を後にする時枝。それを不思議そうな表情で見送る二人であった
隊室から少し歩いた所で時枝は立ち止まり、神経を研ぎ澄ませる。そうしないと聞き取れない気がしたのだ
‐ いつ…でも 同じ……見… ‐
「間違えなく鶴ヶ峰さんの歌声だ。……でも何処でだ?」
柚紀が歌っていることは確信した時枝は、ならば場所はと歩きながら考え始めた。今日は言実が外出するため能力試験は一切しない筈だし、そもそも訓練室で歌った場合、部屋が特殊な構造で聞こえない様になっているのだ。そして"ラボでは歌わない"と以前どこかで柚紀が言ったのを聞いたから、そこでもない。…元々一人で歌っていた節もあるし……柚紀が理由もなしに人前で歌う事は考えられない
「(何処だ?…正式に入隊していない彼女が行ける場所なんて限られている。何かないか?鶴ヶ峰さんが居る場所のヒントは…)」
初めて会ってから今までの過ごした中での些細な会話にもヒントがないかと考えていると、再び途切れ途切れだか歌声が聴こえてきた。それが
‐ ……雲 形を……ても ‐
「雲?………!そうか、屋上なら彼女でも行けるはずだ。…急がないとっ!?」
やっと柚紀が居そうな場所の目星がつくとエレベーターホールへと走り出す。理由はともあれ、以前の歌騒動やあのゲート大量発生の時と聴こえ方が違う歌声に時枝だって不安に思わないない訳じゃない。特に時枝は嵐山と一緒に外で柚紀が歌 が原因で倒れる瞬間の場に居合わせている。…だから、と思い込んでいる一方で疑問もある時枝
「(……鶴ヶ峰さんが心配なのは他より事情を知っている…から?危なっかしいから?………何か違う気がする。……佐鳥が居るからってのが一番理解出来る…けど………何か引っ掛かる…スッキリしないな)」
エレベーターホールに辿り着き、上キーボタンを押してエレベーターが来るのを待つ。その間に自分の自己分析に没頭する。…だから先客が居る可能性を忘れていた時枝は、ドアの開いた瞬間に乗り込もうとして、ドアのすぐ前に居た誰かにぶつかりそうになる。が、トリオン体の性能に助けられ衝突の回避に成功し事なきを得る。さてその先客は
「!!…とっきー?どうしたのさ?凄く考え事しているし、前方不注意なんてらしくないよ?」
「え?佐鳥?……まぁそうだね、ある事を考えていてそれに集中していたのは確かだけど………お前こそ何処に向かっているんだ?…隊室じゃないよね?……降りようとしてなかったし」
「えっと……実は…」
‐ ……える…行機… ……いか…………かけ… ‐
「「!!……あっ…」」
互いに此処で会うとは思っておらず鉢合わせした事に驚いき疑問を投げ合っている最中に、また聴こえた歌声にほぼ同時に同じ反応と上を見る動作をする二人。それで相手と自分は同じ状況と理解すれば、時枝は佐鳥の隣に移動してエレベーターを稼働させる。……最上階ボタンを押している辺りからして恐らく目的地も同じ筈だと考えて
「…よし、今日は此処までにするか充」
「はい、お疲れ様です嵐山さん」
「二人ともお疲れ様、今飲み物を入れますね?」
自隊室のトレーニングルームで特訓を終わらせた二人を綾辻が出迎え、お茶の準備を開始する。本来B級の作戦室には給湯設備はないのだが、広報の仕事で打ち合わせ等で関係者が来訪した時などを考慮した結果、A級作戦室と同じ広さの部屋を使っているのである。更に広報担当とは言えど、嵐山隊もボーダー隊員なので防衛任務も行うし、目立つからこそある程度の実力を有する必要がある。"ボーダーの顔"故に自分等を基準に市民はボーダー隊員を判断される事を自覚しているので、鍛練は怠れないのだ。ひと息ついている時枝は荷物から携帯を取り出して着信を確認する
「(連絡はないみたいだし、鶴ヶ峰さんと奥寺達は上手く仲良くなれたみたいだな。……あまり知り合いが増えすぎるのも鶴ヶ峰さん的には良くない…のか?……後は本人次第だね)」
柚紀の交流の輪に関してどうするか考えていた言実に対して"同級生を中心に増やすべき"と、時枝が進言していた。柚紀の性格や今までの経験からして、自分を含めた同学年や同性には比較的話しやすそうだからだ。実際、今日の東隊の勉強会も時枝の提案でもあった。因みに東と柚紀が知り合いになっている事を知っていたのは佐鳥経由だ。…時折柚紀本人から連絡を貰うが自分はあくまでも佐鳥のフォローのつもり、……なのだが何気なく連絡を取ったりもするし、返事があれば嬉しくもなる。それにまだ多くはないが困った事があれば柚紀から連絡がくれる事もあった。徐々に距離が近くなってきたのを感じていた時枝だが
‐ 真っ直ぐに…… あるように… ‐
「…え?」
「……どうした充?…柚紀ちゃんに何かあったか?」
佐鳥同様微かに、そして途切れ途切れだか柚紀の歌声が聴こえた気がして思わず声を出せば、柚紀に対する連絡が来たのかと嵐山が真剣な表情と声で訊ねる。お茶の用意をしていた綾辻も気になったのか手を止めてこちらを見ている。二人の様子からして、直ぐに気付いた
「(おれにしか聴こえてないみたいだな…)いえ、何も連絡はないので大丈夫かと。……すみません、少し出てきます(ウィーン)」
「「?」」
無言は流石に怪しまれるので、在り来たりな事を言って部屋を後にする時枝。それを不思議そうな表情で見送る二人であった
隊室から少し歩いた所で時枝は立ち止まり、神経を研ぎ澄ませる。そうしないと聞き取れない気がしたのだ
‐ いつ…でも 同じ……見… ‐
「間違えなく鶴ヶ峰さんの歌声だ。……でも何処でだ?」
柚紀が歌っていることは確信した時枝は、ならば場所はと歩きながら考え始めた。今日は言実が外出するため能力試験は一切しない筈だし、そもそも訓練室で歌った場合、部屋が特殊な構造で聞こえない様になっているのだ。そして"ラボでは歌わない"と以前どこかで柚紀が言ったのを聞いたから、そこでもない。…元々一人で歌っていた節もあるし……柚紀が理由もなしに人前で歌う事は考えられない
「(何処だ?…正式に入隊していない彼女が行ける場所なんて限られている。何かないか?鶴ヶ峰さんが居る場所のヒントは…)」
初めて会ってから今までの過ごした中での些細な会話にもヒントがないかと考えていると、再び途切れ途切れだか歌声が聴こえてきた。それが
‐ ……雲 形を……ても ‐
「雲?………!そうか、屋上なら彼女でも行けるはずだ。…急がないとっ!?」
やっと柚紀が居そうな場所の目星がつくとエレベーターホールへと走り出す。理由はともあれ、以前の歌騒動やあのゲート大量発生の時と聴こえ方が違う歌声に時枝だって不安に思わないない訳じゃない。特に時枝は嵐山と一緒に外で柚紀が
「(……鶴ヶ峰さんが心配なのは他より事情を知っている…から?危なっかしいから?………何か違う気がする。……佐鳥が居るからってのが一番理解出来る…けど………何か引っ掛かる…スッキリしないな)」
エレベーターホールに辿り着き、上キーボタンを押してエレベーターが来るのを待つ。その間に自分の自己分析に没頭する。…だから先客が居る可能性を忘れていた時枝は、ドアの開いた瞬間に乗り込もうとして、ドアのすぐ前に居た誰かにぶつかりそうになる。が、トリオン体の性能に助けられ衝突の回避に成功し事なきを得る。さてその先客は
「!!…とっきー?どうしたのさ?凄く考え事しているし、前方不注意なんてらしくないよ?」
「え?佐鳥?……まぁそうだね、ある事を考えていてそれに集中していたのは確かだけど………お前こそ何処に向かっているんだ?…隊室じゃないよね?……降りようとしてなかったし」
「えっと……実は…」
‐ ……える…行機… ……いか…………かけ… ‐
「「!!……あっ…」」
互いに此処で会うとは思っておらず鉢合わせした事に驚いき疑問を投げ合っている最中に、また聴こえた歌声にほぼ同時に同じ反応と上を見る動作をする二人。それで相手と自分は同じ状況と理解すれば、時枝は佐鳥の隣に移動してエレベーターを稼働させる。……最上階ボタンを押している辺りからして恐らく目的地も同じ筈だと考えて