30.再稼働の曲
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あれから状況が代わる代わる変化していった。柚紀が佐鳥と話してから次に目覚めたのは、空腹感が原因でだった。流石に一日以上何も食べないのは回復にも悪影響みたいな様だ。消化のよく栄養面も考慮した食事を二人掛かりで食べさせて貰ったのはかなり忍びなかったが、綾辻の力強い「柚紀ちゃんを甘やかします」宣言のせいで何も言えなくなったのだ。因みに男性陣三人にも同じく宣言された。…これにはちょっと恥ずかしさを覚えた柚紀だった。因みに諏訪隊室で発生していた視覚や聴覚の異常は見られず、あれっきりだった様だ。皆安堵はしたがならば何故…と、佐鳥に視線が集まったのは言うまでもなかった
そんな空気の中に、言実が生身の状態で冬島隊二人を連れて嵐山隊室を訪れた。最初は互いに謝ってばかりで話が進まない二人を両隊長が仲裁に入り、今までの事からこれからの事を色々話し合う事になった。因みに冬島隊二人に対して体が動かせない柚紀は、誰かの後ろに隠れる条件反射的行動が出来ず涙目になったが、そこは嵐山隊の連携により何とかやり過ごしに成功した。(当真は反応が気に入ったのか柚紀に更なるちょっかいを出そうとしたが、言実の一睨みで阻止したのであった)
先ずは柚紀のトリオン量を一定数値まで戻すのが最優先事項と決定したのだが、実はこれがかなり厄介な事になった。調べてみると、柚紀はトリオン回復にかなりの時間を有する体質なのだ。量が量なので普段の生活では、先ず今回みたいな枯渇寸前まで減るのはあり得ない、そのせいでそれから丸三日間はベットの住民と化する羽目になったのだ。その間に諏訪隊を初めとした、今回の騒動でお世話になった人達中心にお見舞いに来てくれたし、勿論嵐山隊にはずっとお世話になる始末だった
一人で寝起き等が出来るまで回復した柚紀はラボに身柄を移したが、本調子でない数日の間はラボから出禁を言実から言い付けられた。たが、同じ過ちを犯さない為に偽物だがデジタル式の窓が設置されたり、言実がラボに居ないときは必ず誰かが柚紀の側に居るようにした。その頃には風間隊に下った指令も解除されており、今回関わった柚紀の事を知る隊員全員に多少差はあるが、騒動が起きた原因とその者達の末路を風間隊から伝えられていた。勿論柚紀には内密に、…辛い経験をしたのだから本人が望まない限り詳しく話す必要はないと言実を始めとした隊長達がそう判断したのだ
そして一番の変化は柚紀がボーダーについて自ら進んで色々学び始めた点だ。他人の顔色ばかり窺っていて自分から動かなかったも原因だと理解し、やりたい事や言いたい事を少しずつ出来るようにと柚紀自身が決めたのだ
ただ、これには"基地内施設を把握する"も視野に入れていて……そうなると見知らぬ人の前に姿を晒すのは避けられない事態だ。別に言実も柚紀を籠の鳥状態にするつもりは流石にもうない。しかし、…本人は無自覚だが柚紀は顔付きが可愛い系でなく綺麗系に分類され、そしてかなり整っている。これが実年齢より高くみられる要因で他にも目を引く要素が沢山ある柚紀、そんな子が一人で居れば思春期真っ直中な隊員共が放っておく訳がない、必ず何かのトラブルになるのは柚紀を知るメンバーには容易に想像が出来てしまい最悪……言実がお出ましになる所謂セコム案件になるのだ
それだけは回避したい一同たが、体が不自由な時は兎も角、ある程度動けるようになれば流石に柚紀も自分の為に申し訳無いと罪悪感を覚え始めてしまう。…一人にしても大丈夫かと一部の人間から疑問の声が出たが、本人は平気だと答えた。一人が嫌だったのは一時的なモノで、…それ以上に対人関係に難がある柚紀には一人になる機会も必要なのだ。とりあえず今は、簡単に柚紀を危害からある程度守れる方法はないか?そう考えて居た時に、当真が冗談半分でこう言った
「見た奴が一発で誰でも分かる様にするね~、なら柚紀に"触るな危険"的な看板でも持たせるか?ほら、警戒区域にも立ち入り禁止の為に規制線張ってあるだろ?あんな風にさ」
それを聞いた言実は何かを閃いたのか、早速協力してくれそうな者達に連絡を取り、事情を説明した。それを聞いた者達は納得し快く了承をしてくれた。その方法はと言うと…