29.休息の曲・四番
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ん?…俺は柚紀ちゃんがマットから落ちる音がした時だが?」
「同じく(……ま、本当は鶴ヶ峰さんの掠れた声が聴こえてきた辺りからだけど、言う必要ない…か?……佐鳥が帰ってくるのが遅かったら起きるつもりだった事も)」
「ほぼ最初からじゃないですか?!……なんで狸寝入りしていたんですか?」
まさか最初から話を聞かれていた事に佐鳥は顔を赤くし、何故手を貸してくれなかったかを八つ当たり気味に訊ねれば、二人は涼しい表情でこう返した
「だって佐鳥の事だから、あの時おれ達が起きている事を知ったら状況説明とか任せるつもりだったでしょ?苦手だからとか言ってさ(でも、……鶴ヶ峰さんのあの言葉を聞いて…佐鳥が鶴ヶ峰さんを…抱き締めた時に動きそうになった。…なんでだ?佐鳥が彼女に危害を加える筈ないのに)」
「うっ!」
「それに、……俺達の前じゃ柚紀ちゃんに本当に聞きたい事とか話せないだろうと思ってさ。…実際俺達の知らない所で何かあったみたいだな、…ま、安心しろ詮索はしないから」
「うぅっ!………あーもう?!オレは寝ますので、次とっきー当番宜しく!!!」
二人に図星を突かれて、色んな意味で恥ずかしくなった佐鳥はふて寝を宣言し実行に移すために移動する。そのまま此方に背を向けて長椅子に横になれば本当に寝てしまったのか動かなくなった。それを苦笑いを浮かべて見ていた二人は行動を開始する
「時間的にもおれの当番なのでこのまま起きてますが、嵐山さんはどうしますか?」
「流石にこれからまた寝るのは無理そうだから、俺も充に付き合うよ。とりあえずコーヒーと…タオルを二枚ほど調達してくるよ。このままにしたら綾辻が怒りそうだからね、充はこのまま待機していてくれ(ウィーン…ウィーン)」
「え?あ、……分かり…ました」
年長者としての気遣いとして、時枝が止める間もなく隊室を後にする嵐山。居なくなってからふとあることに気付く
「(コーヒーは分からなくもないけど、タオルなら此処にもあるからわざわざ取りに行く必要ない筈……何で嵐山さんはあんな事を?)……おれに、…おれ達に気を使ったのか??」
「(ピクリ)」
疑問を口にした際に佐鳥が反応したのを確認した時枝は、椅子から立ち上がり寝ている柚紀の側に行き様子を窺う。泣いた痕跡が残る寝顔を眺め…るだけには止められず思わず柚紀の頬を触ってしまった後、手を引っ込めるとふて寝をしている佐鳥に語りかける
「佐鳥、…別にお前の行動力を責めるつもりはないけど鶴ヶ峰さんは異性に対して苦手意識があるの忘れないでよ?今じゃ会話とか普通に出来るけど、……断りもなくこちらから触るのは恐らく良くない。…その手の嫌な思いもきっと彼女はしている筈だ」
「…………分かってるよ、彼女には悪いことしたってオレだって思ってる。後さ………抱き締めた時柚紀ちゃんが息を飲んだのを感じた。あれは……驚きや緊張の類いだ。それに本人は気付いてなかったかも知れないけど、…体が震えてた」
佐鳥が寝ていないのは分かっていたので、返事が帰ってきた事に驚かない時枝。互いに背を向けた状態で話を続ける。……何故か分からないが、今は相手の顔を見ながら話せる気が二人ともしなかったのだ。本人は気付かないが互いには気付いているのだ、…チームメイトが彼女に寄せている想いを
「きっとさ、今回みたいに柚紀ちゃんが傷付く事がこれからもあるとオレは思うけど…とっきーも彼女の味方で居てくれるよな?」
「……そうだね、鶴ヶ峰さんはあんな辛い表情や困ってる表情より、此処で歌ってくれた時に見せたあの笑顔の方が似合うと思うから。…おれ達の出来る範囲で彼女を守ろう、無理をすれば逆に悲しませてしまうからね」
「………了解」
互いに思うところ、…聞きたい事がある。ただそれを口にする勇気が二人とも持ち合わせては居なかった。今はただ"柚紀を見守り助けが必要そうなら手を差し伸べる同志"そんな認識でいい気がしていた。柚紀の知らない事が多い今はまだそれで……
「同じく(……ま、本当は鶴ヶ峰さんの掠れた声が聴こえてきた辺りからだけど、言う必要ない…か?……佐鳥が帰ってくるのが遅かったら起きるつもりだった事も)」
「ほぼ最初からじゃないですか?!……なんで狸寝入りしていたんですか?」
まさか最初から話を聞かれていた事に佐鳥は顔を赤くし、何故手を貸してくれなかったかを八つ当たり気味に訊ねれば、二人は涼しい表情でこう返した
「だって佐鳥の事だから、あの時おれ達が起きている事を知ったら状況説明とか任せるつもりだったでしょ?苦手だからとか言ってさ(でも、……鶴ヶ峰さんのあの言葉を聞いて…佐鳥が鶴ヶ峰さんを…抱き締めた時に動きそうになった。…なんでだ?佐鳥が彼女に危害を加える筈ないのに)」
「うっ!」
「それに、……俺達の前じゃ柚紀ちゃんに本当に聞きたい事とか話せないだろうと思ってさ。…実際俺達の知らない所で何かあったみたいだな、…ま、安心しろ詮索はしないから」
「うぅっ!………あーもう?!オレは寝ますので、次とっきー当番宜しく!!!」
二人に図星を突かれて、色んな意味で恥ずかしくなった佐鳥はふて寝を宣言し実行に移すために移動する。そのまま此方に背を向けて長椅子に横になれば本当に寝てしまったのか動かなくなった。それを苦笑いを浮かべて見ていた二人は行動を開始する
「時間的にもおれの当番なのでこのまま起きてますが、嵐山さんはどうしますか?」
「流石にこれからまた寝るのは無理そうだから、俺も充に付き合うよ。とりあえずコーヒーと…タオルを二枚ほど調達してくるよ。このままにしたら綾辻が怒りそうだからね、充はこのまま待機していてくれ(ウィーン…ウィーン)」
「え?あ、……分かり…ました」
年長者としての気遣いとして、時枝が止める間もなく隊室を後にする嵐山。居なくなってからふとあることに気付く
「(コーヒーは分からなくもないけど、タオルなら此処にもあるからわざわざ取りに行く必要ない筈……何で嵐山さんはあんな事を?)……おれに、…おれ達に気を使ったのか??」
「(ピクリ)」
疑問を口にした際に佐鳥が反応したのを確認した時枝は、椅子から立ち上がり寝ている柚紀の側に行き様子を窺う。泣いた痕跡が残る寝顔を眺め…るだけには止められず思わず柚紀の頬を触ってしまった後、手を引っ込めるとふて寝をしている佐鳥に語りかける
「佐鳥、…別にお前の行動力を責めるつもりはないけど鶴ヶ峰さんは異性に対して苦手意識があるの忘れないでよ?今じゃ会話とか普通に出来るけど、……断りもなくこちらから触るのは恐らく良くない。…その手の嫌な思いもきっと彼女はしている筈だ」
「…………分かってるよ、彼女には悪いことしたってオレだって思ってる。後さ………抱き締めた時柚紀ちゃんが息を飲んだのを感じた。あれは……驚きや緊張の類いだ。それに本人は気付いてなかったかも知れないけど、…体が震えてた」
佐鳥が寝ていないのは分かっていたので、返事が帰ってきた事に驚かない時枝。互いに背を向けた状態で話を続ける。……何故か分からないが、今は相手の顔を見ながら話せる気が二人ともしなかったのだ。本人は気付かないが互いには気付いているのだ、…チームメイトが彼女に寄せている想いを
「きっとさ、今回みたいに柚紀ちゃんが傷付く事がこれからもあるとオレは思うけど…とっきーも彼女の味方で居てくれるよな?」
「……そうだね、鶴ヶ峰さんはあんな辛い表情や困ってる表情より、此処で歌ってくれた時に見せたあの笑顔の方が似合うと思うから。…おれ達の出来る範囲で彼女を守ろう、無理をすれば逆に悲しませてしまうからね」
「………了解」
互いに思うところ、…聞きたい事がある。ただそれを口にする勇気が二人とも持ち合わせては居なかった。今はただ"柚紀を見守り助けが必要そうなら手を差し伸べる同志"そんな認識でいい気がしていた。柚紀の知らない事が多い今はまだそれで……