29.休息の曲・四番
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暫く柚紀が何を訴えているか分からなかった佐鳥たが、掠れ声と微かに聞こえる音からやっと水分の言葉を聞き取る事に成功する
「あ!!…えっと……辛いかも知れないけどちょっとだけ我慢して、直ぐに戻るから!?」
『(コクン)』
マットを背凭れに使って床に座らせた状態に柚紀の体制を整えれば、少しの間だけ手を離して側を離れる佐鳥。柚紀が起きた際に使うであろうテーブルの上に置いて用意していたストロー付きの飲み物を手に取り、直ぐに側に戻る。一分も満たない短時間でも支えがないと態勢維持が難しい柚紀が、危うく横に倒れかけたが何とか佐鳥が間に合い、自分も床に座った佐鳥は柚紀を支えつつ飲み物を口許に差し出す
「気付くのが遅くてごめん。えっと……佐鳥が持ってるからこのまま飲んで。今体が殆んど動かせないでしょ?」
『(コクッ……チューー)』
差し出されたストローを口に含み、そのまま飲み物を飲み始める柚紀。中身が半分くらいまで減るとストローを口から外して『アー、アー』っと小さめな声で発声してみてから佐鳥に話しかける
『もう、大丈夫。喉が渇いてと上手く話せなかったけど、今は平気』
「直ぐに気付けなくてごめんね柚紀ちゃん。…帰ってきたら君が起きてたから動揺しちゃってさ」
『(フルフル)謝る必要ないよ。……えっと、色々聞いて大丈夫?私自分の状況すら把握出来てないから』
「うん、嵐山さんやとっきーみたいに上手く説明出来るか分からないけど、佐鳥が話せる範囲なら頑張って答えるよ。でもさ、………このままの状態でも大丈夫?」
『………あまり良くないけど、支えがないとこうやって座ることも出来ないみたいだから…我慢するよ。………ただ、…その……佐鳥くんの顔が見ながらは…話せない……ごめんなさい…』
「え?あ、………柚紀ちゃんがその方が良いなら佐鳥は別に、…このままで大丈夫だよ?…無理だけはしないでね?」
『………うん』
最初に水分補給の事を感謝したあと、事態が飲み込めない柚紀はとりあえず佐鳥に訊ねる事に。説明に不安があるが今は自分しか起きてないので、頑張ることを決意する佐鳥。ただ、この体勢は柚紀の負担にならないかと不安になったので確認すると、本人が少し嫌そうだが仕方ないと割り切っているようであればこちらは何も言えなくなってしまった。そんな前置きが済んだ所で最初の質問
『……この体に力が入らない状態って、やっぱり無理して能力を使ったのが原因?それと…何で私達を助けに来てくれたの?』
「正解、柚紀ちゃんがトリオンを使いすぎたのが原因。助けた理由は…迅さんから嵐山さんに連絡が来たんだ、"二人が危ないから助けてくれ"ってね。外に出たら柚紀ちゃんの歌を目印に二人が先行して、佐鳥も狙撃ポイントに着いてから援護したって感じかな?(かなり危なかった事は言わない方がいいかな?…柚紀ちゃんが更に辛くなる、よね?)」
『そっか、……無理して能力使うって私が決めたから体の事は甘んじて受け入れるよ。それと、私は歌に集中してたから気付けなくてごめんなさい。でも、…助けてくれて有り難う』
柚紀の質問に対して佐鳥なりに答えれば、震わせながら持ち上げた手を握り締め仕方ないと納得している柚紀だが、同時にかなり無茶な事をしたのだと再認識し、お礼を述べる時は笑ってはいるが罪悪感のせいで表情が些か曇る。その変化を"何となく"感じた佐鳥が、廊下を歩きながら考えていた事の答えが知りたくて、自分から話題を返る意味合いも含めてこんな質問をした
「あのさ、……柚紀ちゃんは何処まで覚えてる?…外で気を失うかの様に眠りに就いた後、今起きるまでの間に一度だけ諏訪隊室で目覚めたんだけど……」
『え?そうなの?……よく、思い出せない………だけど(ギュッ)……!…一つだけ…確かな事があるの…』
「っ!?…それって………何?」
佐鳥からの質問に、本当は頭に手を添えて思い出す事に集中したかったが、動かせない状態でせめてでもと胸元にあるペンダンドに付いている翠の石を何とか握り締めれば、霞がかる記憶の中に一つだけ何かを思い出す柚紀。佐鳥はその記憶が何故か、時枝に抱き締められて介抱されていた時じゃないかと思った。…あの時一番印象に残った出来事だから、そう思うと胸が苦しくなる感覚に襲われたが、自分から振った話なのでそれを無視して話を促す
「あ!!…えっと……辛いかも知れないけどちょっとだけ我慢して、直ぐに戻るから!?」
『(コクン)』
マットを背凭れに使って床に座らせた状態に柚紀の体制を整えれば、少しの間だけ手を離して側を離れる佐鳥。柚紀が起きた際に使うであろうテーブルの上に置いて用意していたストロー付きの飲み物を手に取り、直ぐに側に戻る。一分も満たない短時間でも支えがないと態勢維持が難しい柚紀が、危うく横に倒れかけたが何とか佐鳥が間に合い、自分も床に座った佐鳥は柚紀を支えつつ飲み物を口許に差し出す
「気付くのが遅くてごめん。えっと……佐鳥が持ってるからこのまま飲んで。今体が殆んど動かせないでしょ?」
『(コクッ……チューー)』
差し出されたストローを口に含み、そのまま飲み物を飲み始める柚紀。中身が半分くらいまで減るとストローを口から外して『アー、アー』っと小さめな声で発声してみてから佐鳥に話しかける
『もう、大丈夫。喉が渇いてと上手く話せなかったけど、今は平気』
「直ぐに気付けなくてごめんね柚紀ちゃん。…帰ってきたら君が起きてたから動揺しちゃってさ」
『(フルフル)謝る必要ないよ。……えっと、色々聞いて大丈夫?私自分の状況すら把握出来てないから』
「うん、嵐山さんやとっきーみたいに上手く説明出来るか分からないけど、佐鳥が話せる範囲なら頑張って答えるよ。でもさ、………このままの状態でも大丈夫?」
『………あまり良くないけど、支えがないとこうやって座ることも出来ないみたいだから…我慢するよ。………ただ、…その……佐鳥くんの顔が見ながらは…話せない……ごめんなさい…』
「え?あ、………柚紀ちゃんがその方が良いなら佐鳥は別に、…このままで大丈夫だよ?…無理だけはしないでね?」
『………うん』
最初に水分補給の事を感謝したあと、事態が飲み込めない柚紀はとりあえず佐鳥に訊ねる事に。説明に不安があるが今は自分しか起きてないので、頑張ることを決意する佐鳥。ただ、この体勢は柚紀の負担にならないかと不安になったので確認すると、本人が少し嫌そうだが仕方ないと割り切っているようであればこちらは何も言えなくなってしまった。そんな前置きが済んだ所で最初の質問
『……この体に力が入らない状態って、やっぱり無理して能力を使ったのが原因?それと…何で私達を助けに来てくれたの?』
「正解、柚紀ちゃんがトリオンを使いすぎたのが原因。助けた理由は…迅さんから嵐山さんに連絡が来たんだ、"二人が危ないから助けてくれ"ってね。外に出たら柚紀ちゃんの歌を目印に二人が先行して、佐鳥も狙撃ポイントに着いてから援護したって感じかな?(かなり危なかった事は言わない方がいいかな?…柚紀ちゃんが更に辛くなる、よね?)」
『そっか、……無理して能力使うって私が決めたから体の事は甘んじて受け入れるよ。それと、私は歌に集中してたから気付けなくてごめんなさい。でも、…助けてくれて有り難う』
柚紀の質問に対して佐鳥なりに答えれば、震わせながら持ち上げた手を握り締め仕方ないと納得している柚紀だが、同時にかなり無茶な事をしたのだと再認識し、お礼を述べる時は笑ってはいるが罪悪感のせいで表情が些か曇る。その変化を"何となく"感じた佐鳥が、廊下を歩きながら考えていた事の答えが知りたくて、自分から話題を返る意味合いも含めてこんな質問をした
「あのさ、……柚紀ちゃんは何処まで覚えてる?…外で気を失うかの様に眠りに就いた後、今起きるまでの間に一度だけ諏訪隊室で目覚めたんだけど……」
『え?そうなの?……よく、思い出せない………だけど(ギュッ)……!…一つだけ…確かな事があるの…』
「っ!?…それって………何?」
佐鳥からの質問に、本当は頭に手を添えて思い出す事に集中したかったが、動かせない状態でせめてでもと胸元にあるペンダンドに付いている翠の石を何とか握り締めれば、霞がかる記憶の中に一つだけ何かを思い出す柚紀。佐鳥はその記憶が何故か、時枝に抱き締められて介抱されていた時じゃないかと思った。…あの時一番印象に残った出来事だから、そう思うと胸が苦しくなる感覚に襲われたが、自分から振った話なのでそれを無視して話を促す