29.休息の曲・四番
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『………んっ………ぅ~ん………………ぁ…れ?…………何処?……こ…こ…は…』
トリオン量が少しは回復して戻ったのか、諏訪隊室の時とは違い今度は意識ちゃんとが覚醒した柚紀は、ゆっくりと目を開いて見えた天井に違和感を覚える。そして喉渇いているせいで声が掠れているのにも気付いた。更に体を起こそうとしたが、身動ぎは何とか出来るが力が入らず上手く動けない。……色々有りすぎて理解出来ない柚紀だが、とりあえず今までの事を思い出してみる
『(えっと……勉強中に佐鳥くんや迅さんから連絡きて……諏訪さんに会いに行って、……笹森くん達を紹介して貰って………あ、外に出掛けたよね?それで……出水先輩達に会ってから…………っ!?………敵に…殺されかけて……沢山……迷惑をかけた………その…原因が…私の……サイドエフェクト…だった……だから……言実さんに我が儘言って………助けたくて…責任とりたくて………歌って…歌った…後は………眠くなって……最後に聞こえたのは……言実さんの声だったけど…見たのが…確か)ぁ…か?………!!!(キョロキョロ…キョロキョロ)』
出来事を振り返り、泣きそうになったのを堪えた柚紀は自分が最後に見たものから此処が何処かを推測して視線を巡らせれば、人影らしいのが視野の隅に映り確認したくて両腕に力を入れて上半身を持ち上げてそちらを見れば、予想通りの人物を見つける。因みに室内は真っ暗でなく、間接照明が使われており薄明かるいのでそれなりに見える
『……ぁ…………ゃ…さ……、………と……ぇ……く…』
嵐山と時枝が一人掛けの椅子に其々座って目を閉じている。見慣れない服装からしてトリオン体でなく、生身なのが分かる。そして柚紀の掠れ声に反応しない所を見ると恐らく眠っているのだろう。誰も使われてない長椅子を見て、こっちを使えばもう少し楽に寝れるだろうに、互いに譲り合いして両方使わなかったのが容易に想像が出来た。そこでふと柚紀は思った、なら今自分が乗っているこれは何なのか?そして周囲を見渡しても二人しか見当たらない
『(んーと、これは……あの時に買ったエアマット?なんで此処に?それと……………佐鳥くんは……帰ったのかな?)』
諏訪達と初めて会ったモールでの買い物時、ラボのベットは討論の結果柚紀が使用する事になったが、ならばせめてソファじゃないちゃんとした寝具で寝て欲しいと言実に懇願した末に購入して今も使用されているモノだ。そして二人が居るなら佐鳥も居るとなんの疑いもなく考えたが、直ぐに改めた。女子には誰でも優しい佐鳥ならと勝手に考えたが、彼にだってボーダー以外での予定等もあるだろうし、ましてや
『(此処の人が皆優しいから忘れてた、私を助けた所で何も得なんてしない。…二人だって言実さんに頼まれたから仕方なくだよね、きっと。じゃなきゃ…………っ!…過去だって分かっている、…今は違うって……それでも…私は…………分からない、…私はどうしたいの?私は……それを望んでいいの?…お願いだから誰かっ!!……)っぁ!?……た…………け……っ!!』
‐ ウィーン ‐
『「…………え?」』
諏訪以外は今日初めて会った人ばかりで、(出水は初対面時短時間なのでノーカン)それなのに自分のせいで迷惑をかけてしまい、と未だに今日の出来事を……もっと言えば今までの経験から昔の暗い嫌な過去の出来事までフラッシュバックする事態になっているのが原因で、より一層柚紀は己を過小評価し自己嫌悪に陥りかけていた。現在と過去が混在してしまいそれが自分ではどうしようも出来なくなり、心苦しくてうっすら涙で視界がぼやけ、目尻から零れそうになった時にトアが開く音かして、そちらを見ると居ないと思い込んでいた人が居て、彼と同音語をタイミングが一緒で被っていた