28.休息の曲・三番
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「続きって時枝、指令内容はもう歌川が話しただろ?まだ何かあるのか?」
「続きもなにも、アレだけの指令じゃないよ笹森。続きを言おうとした歌川を怒鳴って遮ったのはお前だからね?」
「確かにあれは日佐人が悪いのかもな。…それで歌川、続きがあるなら話してくれないか?」
再開を促す時枝に対し、まだ何かあるのか疑問を感じる笹森に、それを真っ向から正論をぶつける。堤がそれを苦笑しつつ肯定すれば、話の矛先を歌川に向ける。頭を掻きながら「ありますよ」と答え、深いため息をついて仕切り直しをした歌川が再び指令について語る
「確かに二人の身柄を確保する様には言われました。ですが、時枝が言うようにこれには続きがあります。その内容が【その任務の際に生じた障害に対して排除も厭わず、これらの判断は全て風間隊に一任する】との事です」
「「「!」」」
「「「!?」」」
歌川が告げた指令内容の全貌を聞き、全員が驚きを示す。だが、反応に差があり諏訪隊のメンバーは焦りや怒りが見受けられ、嵐山隊は佐鳥ですら、どちらかと言うと納得や安堵と言った反応だった。こんな状況で一番最初に口を開いたのは勿論
「…あー、成る程ね。それなら柚紀ちゃんやおつるちゃんの心配する必要はなさそうだね」
「なっ!……(小声)…なに暢気な事を言ってるのさ佐鳥は。これって俺達に攻撃してでも鶴ヶ峰を奪い取る事を上が容認したって事だろ?」
「笹森の解釈の仕方も強ち間違えではないけど、……恐らく風間さんはそう受け取るつもりはない筈だ。違うか歌川?」
「それと鶴ヶ峰さんは深く寝入ってるから、変に大きな声とか出さない限り起きないと思う。だから普通に話して大丈夫だよ」
佐鳥であった。更には完全に歌川への警戒心を解き普段通りの口調に対して、未だに警戒心剥き出しで思わず声も大きくなりそうになった笹森。風間隊の考えを聞こうとする嵐山と、外から移動した時の様に微動だにしないが規則正しい呼吸で昏々と眠る柚紀の様子を笹森に伝える時枝。再び歌川に視線が集まれば、少し躊躇したが話始めた。…言実が以前言っていた"別件"についてだ
「きっかけは、風間さんが鶴ヶ峰が無理してないか気になって連絡した事からです。丁度その頃から、検査時に言実さんと離され始めて一部の者から"嫌がらせ"も始まったらしいです。…気のせいで済ませば良かったが、鶴ヶ峰の聡い性格から若しくは精神的な理由かは分かりませんが、丁度連絡してきた風間さんに思わず状況を…不安や弱音を吐いたんです。本人は無意識だったかも知れませんが、……それを風間さんは気にしない訳もなく、最初は個人で念のため調べ始めたんです。だけど、事態は予想以上に根が深く放置すれば深刻な状況に…大事になると判断した風間さんが、俺達に概要を説明した上で風間隊独自で調査する事に決めました。一応言実さんには一言断ってから調査をしました。……あの人にバレない訳がありませんからね、…逆に"秘密裏"にと厳命される始末でした。当たり前ですよ、……一人の少女を良い大人達が理由は何であれ…寄ってたかって"虐める"何て馬鹿げている!?……それで大分調査も進んで纏めた内容を上に報告しようとした矢先に……コレです」
話す歌川の表情は険しくそして後悔の色が見え隠れしていた。確かに無茶を承知で能力使用を決意したのは柚紀本人だが、使用した代償を負った姿を直接見たのと使用する決意をさせるに至ってしまった禍根を知る者として、"もう少し早く報告を上げていたらこんな事には"と考えてしまう。…後悔の念は消えないが頭を切り替える歌川はこう考えた。まだ自分達に出来ることがある、と