27.休息の曲・二番
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部屋を移動させると、時枝が予想した通りに変に大きな声を出さなければ大丈夫そうな柚紀を見て全員安堵する。頭痛も治まったらしいが、聴覚とは逆に視覚が低下しているのに気付き同性である小佐野を中心に色々気を付けながら対応していた。例えば……
「柚紀ちゃん、寝起きだしとりあえず水分補給しようか。色々あるけど何か飲みたいのある?」
『(フル…フル)』
「よし、えっと何がいいかなー」
「あ、待っておサノ。多分ペットボトルだとちゃんと飲めない可能性があるから、ストロー使った方が良いよ」
「確かに体が上手く動かせないみたいですからね。なら……はい、良ければコレ」
「つつみんナイス!それと有り難く使わせて貰いますね嵐山さん。はい柚紀ちゃんどうぞ」
『(チュー)』
水分補給一つ取ってもこんな感じで、病人の看病…と言うより介護に近い状態だ。一人で立つこともままならない柚紀は、恐らく背もたれがない椅子に座れば後ろにひっくり返ってしまう事が簡単に予測出来てしまう。…それ程にまで身体機能が落ちているのだ。会話は出来るが耳への負担を考慮して控え目にしてはいる
『(クイッ)…セ…センパイ……その……………おなか…が……ちょっと…だけ……すきました…』
「ありゃま、頑張ったからお腹減っても仕方ないか。ん~、…何なら大丈夫かな?」
「おサノ先輩って言えば飴ですから、それでとりあえずどうですか?さっきあげた時も鶴ヶ峰は美味しそうに食べてましたし」
「本人も軽く空腹を訴えているだけですからね。それで十分だとおれも思います」
「了解ー。…はい飴ちゃんで大丈夫そう?」
『(コクン)……いただき…ます(モゴ)』
あまり喋らないがこの様に必要なら柚紀から催促してくるので、それに応えたりしつつ後は好きにさせている。因みに佐鳥は部屋を移動して早々にヘマをやってあわや大惨事になりかけたのを反省し、迅からのメールを確認した後は"言わ猿"状態で見守る事に徹していた
「ん~、こう傍目から見ると鶴ヶ峰が年相当の子を通り越して赤ちゃんみたいな感じに見えちゃいますね。一人で歩けない所とか座れない所とかのせいで、一層」
「何だか……初対面の人に対する時はまるで迷子の様な印象なせいか今の感じに似てますが、それ以外の時や言実さん並の洞察力が発動するとより鶴ヶ峰がその…大人っぽく見えます。お陰で最初は同学年とは思えなかったです」
「へぇー、そうなのか。似た場面を見たことがあるから理解は出来るが、俺が彼女と会う時は迅や風間さんが側に居たせいか年相当の姿に見えるけど…」
「まだ鶴ヶ峰さんの知らない一面もありますが、嵐山さん達年上と、おれ達同学年とでは感じる印象に差があるのは仕方ないですよ」
「ふがーがん、はうぎふぐぐへげでふぐーぐぎゃんばぎばう(訳:それら、全部含めて柚紀ちゃんですから)」
「「「うんうん」」」
「……なんで堤さんも佐鳥の言葉理解出来ているんですか?」
こんな感じの穏やかな雰囲気の中過ごしていたが
‐ コンコン ‐
来訪者を告げるノック音が聞こえた瞬間に、室内の空気が一変し、緊張感や警戒の雰囲気を漂わせながらドアに視線が集まる