26.休息の曲・一番
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無事に隊室に辿り着いた面々は、主に柚紀の事で知っている情報共有に勤しんでいた。因みに出水は柚紀をベイルアウト用マットまで運び終えるとそのまま隊室を後にしている。その後、負傷していた笹森もトリガーオフし、話し合い中に言実が危惧していた通り数人訪ねてきたが、知らない相手であったのもあり門前払いをして事なきを得ていた。そんな事もありながらある程度の共有が終わった室内は真剣で重苦しい雰囲気に包まれていた
「……まさかそんな事になっていたなんて。検査の邪魔になるといけないと思って、俺達も携帯の連絡先交換した日以降は彼女と直接会っていなかったから気付けなかった。…一度でも様子を見に行っていれば状況は変わったのかも知れないな」
「過ぎた事を悔やんでも仕方ないですよ嵐山さん、これから気を付ければ大丈夫だとおれは思います。…同じ失態を犯さない為にも」
ボーダー内で一番早く柚紀と知り合った身として、気遣いが足りなく変化を見逃していた事に責任を感じている嵐山に、時枝がフォローするがやはりこちらも多少なりとも気にしている様子
「まぁまぁ、言実さんが側に居るって考えてしまうのが普通だと思うし、そこまで責任感を感じる必要ないと。……気持ちは分からなくもないけど」
「俺達は今日鶴ヶ峰と初めて会って、そんな俺にも気を使う奴だから…時枝達相手だと余計に心配かけたくないとか考えたんじゃないかな?」
「柚紀ちゃん優しい子なのは良いけど、もう少し自分の事を大切にして欲しいかな~。……多分ギリギリな状態になったから諏訪さんを頼ったって感じだよね」
堤・笹森・小佐野も、各々感じた事を話しつつ落ち込み気味な嵐山達を励まそうとするが、こちらもかなり複雑な心境。そんな中一人会話に入らず沈黙を守っていた佐鳥が、ふらりと奥へ行こうとする
「…!……賢、どうした?」
「……柚紀ちゃんの様子、見てきます。………大丈夫です、おつるちゃんの言い付けは破りませんから…」
目敏く気付いた嵐山が声を掛けると、顔を話す相手を向けずにそのままの状態で何時もの元気よさや覇気のない返事を返して覚束無い足取りで奥の部屋に消えていく佐鳥。そんな意気消沈した佐鳥を誰も止めず、完全に姿が見えなくなってから全員無意識にため息を漏らす
「…佐鳥、元気ないですね。部屋に来たときは一番鶴ヶ峰の事を知りたがって居たのに、話始めるとどんどん口数が減っていって、後の方はただ聞いているだけになってましたし」
「賢の気持ちも分からなくはないです。彼奴は連絡先交換した日から毎日ずっと、柚紀ちゃんと連絡取り合ってましたから。…それなのに気付けなかった事に一番責任を感じているんですよ」
「………あ~、成る程。それは堪えるね」
様子が可笑しい事を心配する堤に、嵐山があそこまで落ち込む自隊の隊員について理由を話せば、性格をよく知る者として代表として納得する小佐野。…特に"全ての女性が好き" と豪語する佐鳥にはかなりのダメージになるのは容易に想像が出来る