『……おい当真、まだ屋上に居るか？』
〔こちら当真。二人が通路に入るまで見届けてから帰ってこいって隊長から言われたから、素直に待機してますが……〕
〔…よぉ、言実ちゃん。お前さんにしては時間掛かっているのが気になって俺も来てみたが、……何かおっ始める気か？〕
『！…冬島さん？……察しが良くて助かる。今からこの子の実践訓練を行うが、急遽な訳だから準備が不十分だ。それを私が補うのだがその際、その作業に集中しなくてはならん故に恐らく身動きが私も…この子も取れなくなる。その数分の間私達を守って欲しい、場所指定はこの周囲なのが条件で後はそちらに任せる。…A級二位様ならその程度の任務容易いだろ？』
〔ほぅ……隊室に居た時とはえらい変貌、じゃないかいつも通りな訳か。良いぜ、その任務請け負ってやるよ。当真、お前も良いだろ？〕
〔隊長が決めたなら、俺が反論しても押し切るつもりだろ？…ま、良いけどさ。ゲームみたいで面白そうだしな、後でちゃんとお礼して下さいよ姐さん？〕
『あぁ、勿論だ。…有り難う二人とも』

先ずは一番の懸念である、敵の対処対策で確認を兼ねて当真に連絡すれば冬島が出てきた事に些か驚いたが、これで算段が付くと考えそのまま要件を伝えれば両者から快諾され、一安心する言実。場所を決めたら連絡すると言われて一度冬島隊との通信を切り、次の相手に繋ぐ

『忍田さん、悪いが予定変更だ。…今からぶっつけ本番でやる事にした』
〔！！やるってまさか、…幾ら君が居るからと言って今行うのは危険すぎるぞ！！？〕
『私は言った筈だ、"最終的に決めるのは柚紀自身"だとな。その本人がやると決めたのなら私には止められんさ。心配はするな、此方も手は打つしそれでも不足なら…"彼奴"が裏で動くさ。……時間が惜しいから切るぞ』

次に忍田に繋いで報告のみ行う言実。相手の性格を熟知しているので、反対するのは分かりきった事。勿論、此方も止める気はないので早々に通信を切って強制的に終了させる。それとほぼ同時に冬島から〔ポイントをレーダーに印した、移動してくれ〕と指示が来たので、柚紀に一声掛けた後に手を引き移動を開始する。移動中も連絡を取り続けており、次のお相手達はと言うと

『国近、小佐野。今から暫くの間は全隊員の回線を私と繋いだまま継続、それと同時に隊員全てのトリオン体数値変動を記録してくれ』
〔お～、言実さんがいつも以上にヤル気ですね～。いいですよ～、太刀川さんもいずみんも何時もお世話になってますから、この位お安いご用です！〕
〔こちらも了解しました！……よく分からないですが、多分これって柚紀ちゃんの為ですよね？なら私も先輩として協力します〕
『済まないな、二人には負担を掛けるが宜しく頼む』

国近・小佐野両オペレーターに指示を出す言実、二人とも何処まで状況を把握しているかは定かではないが信用信頼関係を築いているお陰で、疑われる事なく承諾してくれた。残る連絡先は一つ、……現場の戦闘員達だけである