23.決意の曲~少女は何を思うのか~
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『………………ハァ~、…確かに諏訪達だけにお前の能力を届ける手段はない訳ではない。『え?!本当ですか?!!』但し、リスクも伴う』
言実の言葉を聞き、嬉しそうに頭を上げる柚紀、その反面言実は何やら複雑な表情をし頭を抱えるような仕草をしながら話を進める
『……そもそも、今から行おうとする事は今までの臨床実験と訳が違う。今までは一回の実験で"生身"の相手"一人を"対象にしたものだが、今回は"トリオン体"の相手を"複数を同時に"行う事になる。それも"遠隔"の嬉しくもないオマケ付きだ、これは予定していた実験過程を何十個も省く事を意味する。………かなり危険だぞ?』
『危険……死んでしまうかもしれないの?』
『流石に死ぬ事はないだろうが、必ず何か影響が出るだろう。辛い思いをする事になるが…『それでも構わない!』…柚紀』
どれだけ危ないかと説明するその顔はもう"冷徹なエンジニア"としてでなく、"姪を心配する叔母"としてのものだが、柚紀はきっぱり断言する。言実が辛そうな表情に一瞬見えた柚紀がほんの少しだけ、瞳に気持ちの揺らぎが見られたが直ぐに決意を新たにする
『危険なのは承知の上です。それでも…方法があるなら実行したい。……今後も"私が私であるが為にも"…後悔しない為にも……この能力を持ってしまった以上、…目を背けて居てはいけない…きっと避けては通れない、私の宿命だから。………そうでしょ?…言実さん』
『………………………………分かったよ柚紀、……お前がそこまで強く望むのなら……私には止める事は出来ぬからな』
『!…あ、有り難うっ言実さん!!』
柚紀の決意に、とうとう根負けした言実が協力する事を受諾。それを聞いて嬉しそうに笑う姪を見て小さくため息の後、思い知らされる。…この数年で、異性が苦手になったり、自分を過小評価したり、甘え下手になったりと性格が昔とは変わった所が多いが、変わらない所もあるのだ
『(例え自ら辛い思いをすると分かっていても、一度決めた事は最後まで貫き通す一途で頑固な所は相変わらずか…)……さて、柚紀よ。諏訪達に能力を届ける手段にはやはり歌を使うのが現段階で最も有効だ。方法や敵の対処等は私が策を講じる故に、お前は歌の選定と諏訪達に対する思いをただ一心に思い続けろ。…あ、すっかり忘れていたが、ホレ水分補給もきっちりと行えよ』
『わ、分かりました言実さん!えっと、曲は……何がいいかな?』
時間も限られている現状にて、早速柚紀に指示を出すついでに、何処からか取り出したスポーツ飲料入りのペットボトルを渡しておく言実。それを受け取れば唯一所持していた携帯を取り出して曲の選定を始める柚紀を横目に、言実も行動を開始する。……大きな一歩となる実験の為、そして姪の意思を護るために