23.決意の曲~少女は何を思うのか~
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〔ご苦労だ言実くん、そのまま近くの秘密経路を使って帰還してくれ〕
『了解忍田さん。……堤、お前はどうする?』
「そうですね、言実さんに鶴ヶ峰を任せれば問題も心配もありませんから…俺は諏訪さん達の元へ戻ります。あちらはまだ戦っているみたいですから」
忍田の指示を聞いた後、此処まで柚紀の護衛をしていた堤に次の行動を訊ねる。言実が指示を出すことも出来たが、本人の意思を尊重すべきと思ったのだ。そして堤は迷うことなく仲間の元に行くのを選択する。…遠くであるが戦闘音が未だに鳴り止んでいないのだ
『そうか。本来なら行くな、と止めるべきなのだが……聞く気はないだろ?』
「はい、こんな状態ですがまだ戦えます。なら、自分の役目を最後まで果たしたいと俺は思います」
『……分かった。…本部、此処まで護衛をしてくれていた堤隊員は別れた仲間の元に………あぁ、……そうか………なら…』
堤の決意を聞き、何やら通信でやり取りをしている言実を横目に柚紀が不安げな表情で見つめる
『堤さん、行ってしまわれるの…ですね?』
「うん、まだ敵が残っているのなら正隊員である俺が戦場を離れる訳にはいかないからね。それに諏訪さん達も気になるし……そんな顔されると離れがたいな。それと、人は謝れるより感謝の言葉の方が嬉しく思うよ?だから、ね?鶴ヶ峰…」
『………(ソッ)…私を守って下さって有り難う…御座いました堤さん。…お願いですから無茶だけはしないで下さい』
「(ポン)どういたしまして、…その言葉諏訪さん達にも伝えておくよ。……言実さん、俺は行きますので後は頼みます!」
本当は嫌だけど、堤本人が決めた意思を曲げるべきでないと思った柚紀は、切り落とされた箇所に触れつつ希望に沿って謝罪でなく感謝の気持ちを伝えた。堤も軽く頭に触れて返事を返した後、本部との連絡取り終えた言実に一言告げてから、急いで引き返す。その後ろ姿を黙って二人は見えなくなるまで見送った
『(あの傷とトリオン残量を考えるとまともな戦力にはならん筈。それでも仲間の為に戻るとは、慕われているな…諏訪)……行ったか、私たちも行くぞ。またゲートが開かない保証はないからな(スッ)』
『………うん(ギュッ)』
冷静に堤の状態を予測し、本人も承知の上で戻った理由まで察するがあくまでも己の胸の内に留めておき、言実は自分の仕事を全うする為に柚紀に手を差し出す。後ろ髪引かれる思いを抱きつつ、此処に留まっていても意味がないと分かっているので素直に差し出された手を握りしめ移動を開始するのであった