『…おい、諏訪。まだ生きてるか？』
〔！？つる姐！！縁起でもねぇこと抜かすな！？まだピンピンしてらー！！？〕
『そうかそうか、なら…』

普段の言実なら、今のが痩せ我慢や売り言葉に買い言葉的な反応なことや国近からの〔繋ぎま～す〕の声を聞き逃したりしない。それだけストレスが溜まっており考える余裕がないのだ。故に

『こっの！大戯け者がー！！何故その子を外に連れ出した？？！』
〔〔〔〔〔(ｷｰﾝ)っ！？〕〕〕〕〕

絶対に聞かないであろう程の大声で怒鳴り付ける言実。諏訪だけでなく、他四人にも聞こえており軽く身を竦ませる。一番余裕がある出水が代表して流石に抗議する

〔ちょっと姐さん！いきなりそんな大声出さないで下さいよー。俺達今戦闘中ですよ？〕
『五月蝿い！その戦闘もその子を長く外に出さなければ回避できたかも知れんのに、行動を制限しているのもそれだけその子が特殊な立場だと言うのが分からんかこの馬鹿者めがっ！！？』
〔…いい加減にしろっ！？馬鹿はどっちだ！！？〕
『っ！？……何が言いたい諏訪』

言実の言い分に思わず怒鳴り返す諏訪に、少しだけ冷静さを取り戻し怒鳴りはしないが怒気の含んだ声で訊ねる。一方の諏訪は、戦いながら溜まりに溜まった怒りを言実にぶつける

〔鶴ヶ峰を危険な目に遭わせたのは悪いと思っている！？これは事実だから否定も反論もしねぇーよ！！だがな……こうなったのは元はと言えばつる姐が鶴ヶ峰の心のケアを怠ったのが原因だろうが！！？〕
『！？………そ、それは…』
〔あんたが酒の席で話しただろうが！！"研究とは一朝一夕で結果は出ないから、研究対象者が居る場合はそいつの心身の健康を優先に計画を考えるべき"ってよ！？言った本人がそれを実行しなくてどうする？！それも今回の対象者はあんたの姪っ子だろ？でもって、他人を頼るのが下手で、些細な事でも迷惑になるとか考えては無理に我慢する奴と来た？！それも慣れない環境にいて更にずっと室内とか気が滅入るに決まってるだろ！！あんたらエンジニアみたいな超インドア派人間じゃ鶴ヶ峰はねぇんだ！！その頭の中は空っぽじゃあるまいし、少しは考えろつる姐！！〕
『…………』

諏訪が言ったことは常に言実が一人のエンジニア兼研究者として心掛ける事だ。なのに今回はそれを疎かにしてしまった。柚紀だから大丈夫だと……いや、寧ろ柚紀だからこそ言実が一番気にかけて居なければならなかったのだ。つまり今回一番悪いのは自分なのだと思い知らされ言実何も言えなくなってしまう