～嵐山達が柚紀を見つけた頃～

-ｺﾂｺﾂ ｺﾂｺﾂ-
パンプスのヒールを鳴らしつつ、白衣を纏った一人の女性がボーダー基地内の廊下を目的地に向かって歩いていた。時折同僚や後輩達に軽く挨拶を交わし、目的地に辿り着くとノックもせずにそのまま中へ

『失礼する、忍田さん居ますか？』
「ん？言実君ではないか。此処に来るのは珍しい、私に何か用か？」
『まぁ、仕事と私情を半々に混ぜた様な内容で相談したい事がちょっと……何かトラブルでも？』

忍田を探しに作戦室まで態々足を運んだ言実は早々に話を切り出そうとするが、室内漂う雰囲気から状況を察知し説明を請う

「少し気になる事があってな。沢村君、彼女にも状況説明を」
「了解しました。…十分程前にて市外地近くの住宅地にて未登録のトリオン反応を感知、一度は反応が消えましたが数分前に小さいながらも再度感知。現在防衛任務中だった嵐山隊に調査を依頼し、報告を待っている状況です」
『未登録のトリオン反応…ね？……沢村ちゃん、ちょっと失礼』
「え？言実さん？一体何を？！」

状況を把握すると直ぐに目星が付いたらしく、沢村に一言断りを入れてから機械の操作を開始。直ぐに作業が終るとインカムを自分にもセットし

『え～、もしもし。嵐山、聞こえるか？……おーい、返事をしろ～』