16.親交の曲・諏訪隊編
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「あ、あのさ……」
『!!………?(モグモグ)』
ぼんやりと飴を舐めていると、笹森が勇気を出して柚紀に声を掛ける。少し驚きつつそちらに目線を動かし相手の言動を待つが、そこから動く気配もなく、何を話すか決めかねて居る笹森を見て軽く首を傾げる。柚紀が自分から逃げるような行動をしないのを見て笹森は、ガバッと頭を思いっきり下げ思ったことをストレートに言う
「ごめん!!いきなり驚かせたみたいで。諏訪さんがこうならない様に、わざわざ予防線を張ったのに俺全然気が付かなくて……」
『(フルフル)……貴方が謝る…必要はありません。…元を辿れば……私の個人的な理由が……原因で……すから』
「……だとしても、初対面の、それも女子を泣かすのは男として駄目だと思うから…だから、ごめん!!」
頭を下げて上げようとしない笹森に対して戸惑いを柚紀は感じていた。これの根本的な原因は自分のせい故に、そこまで気にしてない。どうしようと考えていると、こちらを伺っている堤に目が行き、少し考えた後にちょっとだけ笹森に近付くと、ゆっくりと手を差し出した。……先程、堤が自分にした様に
『私はもう気にしてません、ちゃんと謝って貰えたから。……それでも…貴方が気にするのなら、………時々で良いので…私に手を貸して貰えますか?………初対面の相手には何時もあんな…状態になってしまって………だけど、……助けを求めるのが…怖く思うことがあるから……それでは駄目ですか?』
「………そんな事で…良いのか?」
『はい、私はそれだけでも心強いですから。……とは言いましても名乗りもせずに助けを求めるのは失礼ですね。…鶴ヶ峰柚紀と言います。貴方のお名前は?』
「笹森日佐人です。…俺で良ければ力になるよ(ギュッ)」
男性は多少なりともプライドがある。この手の場合は下手に出過ぎると逆にムキになってしまう事もある。だから柚紀は自分から頼み事をして、それを叶えて貰う事で笹森の罪悪感を少しでも減らそうと考えた。その意図に気付いたかは定かではないが、頭を上げた笹森は柚紀の提案に同意し自然な流れで互いに自己紹介して握手。…堤よりちょっと強めな握られたが、それでも安心した柚紀は嬉しい感情が露になり無意識に笑いながら
『うん、宜しくね笹森くん(ニッコリ)』
「っ!!!!!」
柚紀の笑顔を至近距離で直視した笹森は顔を赤くして手を握ったまま硬直。慣れてしまえば触れ合いにも抵抗がないのか、嬉しくて握手継続中の柚紀は笹森の変化に気づいていない。一方で……
「……なんかスゲェ場面に出くわした気がするのは俺だけか?」
「お~、これは所謂"恋に落ちる瞬間"だよね~。それにしても初対面の男を落とすとは、柚紀ちゃんはあれか?小悪魔的な~」
「どちらかと言うと"血が成せる業"かと。何せ"あの"言実さんの姪っ子だからね彼女」
「「あ~、成る程。………恐るべし鶴ヶ峰の血族」」
傍目から二人を見ていた三人は、目の前で起きた出来事に呆然としていた。そしてこの状況に絶妙に的を射た堤の言葉に二人は声を合わせて同意するのであった