蒼碧の舞踊
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柚紀から今後の目標的なのが話された屋上は、一瞬静寂に包まれるが佐鳥の感嘆の声を皮切りに賑やかとなり、同級生組がワチャワチャと楽しげにしていた。そんな中
❲あ〜、テステス。もしもし、ユズちゃん?私の声聞こえてますか?聞こえてたら応答願いまーす❳
『!!……シロ?どうかしたの??』
❲あっ!?今日はインカムのシルバーブレットを着用して歌ってたんだ。良かったよ〜!腕輪の方じゃ通信繋がらないし、私はどっちをユズちゃんが使うか分からないからさ〜❳
『(クスッ)とりあえず基地内はインカムで、外で歌う機会があれば腕輪にするつもりだよ?って、それはそうとして………ナニか遭ったの?ちゃんとコレ、効果発揮してないとかじゃ、ないよね?』
シロからの突然の通信に対処する柚紀を黙って見守っていると、風間や嵐山達隊長勢が屋上にやって来る。そしてシロが柚紀に話している内容と同じ説明をする。それは……
「"いきなり最後のサビ部分が聞こえてきた"……ですか?そんな現象、今まで無かった……ですよね諏訪さん?」
「あぁ、少なくとも俺は経験ねぇし、つる姐からもそんな前例を聞いた事はねぇ。が、……"その歌を歌う前後で何か違いは無かったか?"恐らくそれが聞こえてきた理由だ」
「違い?…違い……………!……彼女が今身に纏うストールが突風で吹き飛ばされてしまったのですが、歌の歌詞を用いて風を操って手元に戻した。コレ、ですかね?」
「恐らくソレだな。今となってはただ歌うのと、意識的に能力を使用するとじゃ消費するトリオン量が違うから【俺や木虎でも歌が聞こえたら彼女の元へ行け】って迅に言われた。……これで賢達経由で"性能向上目的でに歌姫が使用される可能性"が知らされていれば、話は変わるがな。…どちらにしても基地内に柚紀ちゃんの歌が響き渡った以上、何か手を打たないと隊員達が此処に押し寄せるぞ?彼女が此処で歌う姿は大体の隊員も周知しているからな」
柚紀の人気が上昇したせいで何やら面倒な事になっているらしい。因みに木虎や歌川と言った一緒に屋上に来なかった隊員達は、下の階で隊員達が屋上に上がってくるのを防いでいる最中で、……人数的にも足止めは長くは持たないと予想される。そして、それをシロ経由で聞いた柚紀がその場に居る戦闘員全員に話し掛ける
『えっと、………シロと陽菜さんからの提案でもう一曲歌って、それを基地内全体に流そうかなと思います。ただ、沢山の人に聞いてもらう以上出し惜しみする訳にも行かなくて、全力で歌うから…その、……あの、だから、……(モジモジ)「その間、自分を護って欲しいんだろ?何でそんな簡単なお願い言えねぇんだよ柚紀」!!?その声はっ!(クルッ!)……い、何時から、ソコに居たの?………当真先輩』
「(ストン!)ん?……最初から、だが?お前が見た目こそ普通だったが何処かコソコソと警戒して移動する姿を見て、ちょっと気になってな。(スタスタスタ…)………スナイパーは隠密行動が基本だ、お前を出し抜く位造作もねぇよ。どうた!恐れ入ったか!??(ワシャワシャワシャ)((あっ!お前等の決意表明もちゃんと聞こえてたぜ?頑張ってこの鈍感で臆病な泣き虫姫様のハートを射止めるこったな!!))」
屋上への出入り口上に居た当真(トリオン体)が姿を現し、柚紀の気持ちを代弁する。例の如く頭を乱暴に撫でて少女の気を四人から逸し、内部通話によって行われていた自分達の会話を盗み聞きされて各自反応しているのを隠す為に。……上司である隊長方は優しげな眼差しでそれを見守り、元から"万が一対策"で待機していたフブキ達三人はこの後どうするかを話し合いしていると、新たな通信が入る
❲コチラ迅。太刀川さん達もそのまま屋上にいてくれないかな?地上に現れた奴らはコッチが請け負うよ。……俺の予知じゃ"飛行可能な敵や屋上にゲートが現れる"。生身で全力で歌う彼女を護るなら戦力は多いに越さないからね〜。No.1アタッカーの人脈を使って増やせるならそこそこの実力者を呼び寄せるのをオススメするよ❳
「!!(…チラッ)了解した。ヘマしてこっちに敵さん来させるなよ迅。……(カツカツカツ、ナデ)なぁ〜んか迅の予知じゃ、此処にもゲートが出来るがらしいから誰か増援呼ぼうと思うんだが…………二宮でいいか?お前も彼奴と仲良くしたがってるって来馬や堤から聞いたぜ?」
『へっ?二宮、さん?…………ダメダメダメダメ!!無理ムリムリムリムリ〜!!!まだあの人の前でちゃんと歌える気がしないから無理!!頑固拒否します!!!?……ぁっ…(チラッ、モジモジモジ…)よ、呼ぶなら東さんとか、加古さん辺りに、……して下さい。若しくは三輪先輩とかで(モジモジモジ…)』
迅からの通信で屋上に留まるのが決定し、暗に【万全を期す為にメンバーを増強しろ】と言われ物は試しに二宮の名を出す太刀川。……かなり急接近している二人の親密度を図る為である。が、予想よりまだまだ信頼関係は築けてないらしく呼び寄せるのを柚紀が拒否、代わりに誰なら平気かを口にする。それを聞いていきなり大声を出してしまった事による羞恥心で顔を赤くする少女の頭を優しく撫でながら自オペレーターである国近に連絡。すると当真も冬島に連絡を入れていたらしく、東と加古が屋上にワープしてくる。彼等に手短に状況を説明し了承を得た頃には、柚紀も落ち着いたらしく歌の準備を始める。そして"お決まりの一言"を口にすれば、瞳を閉じて集中し……最初から髪色を変化させて歌い出す
〜 まだ青くて拙い 脆くて足りない
小さくて弱くて どうしようもない 僕だ 〜
「!……メロディが、聞こえる??何で、…携帯からじゃ、ないよな?」
❲市河です。それは基地内に流しているってのもありますが、外に居る方達はユズちゃんを抜かした全員がトリオン体。なのでこの通信みたいに脳に直接届けています❳
❲一応"生活音補正"はしてるけど、集中してないとメロディや歌に意識が持っていかれるからお気をつけを〜!!………向上効果はないけど、歌が気になるなら後で録音したのを聞かせて上げるからちゃんとお仕事しなさいよ〜❳
未だに携帯を預かったままの笹森がそんな事を言っていると、迅の言った通り屋上にゲートが出現。すると私服にトリオン体の菊地原が「携帯預かるから、笹森は戦闘体制取ったら?……この状況じゃ僕は満足に戦えないからお守りしてるよ」と言われ最初は渋るが、諏訪にも言われて渋々戦闘体制を取る。……そんな間奏中のやり取りすら耳に入らない程集中している柚紀は、メロディ通りに歌を紡ぐ
〜、知りたかったんだ 成功と失敗 マルとバツの
境界線を引くとしたらどこだろう
それじゃあバツがマルになって 失敗を乗り越えたとしたら
それをなんと呼ぶんだい いつか名前をつけよう 〜