予行の舞踊
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柚紀と木虎の放課後デートがあった日の週末、柚紀も基地外での生活に戻りつつあるそんな朝早く
- テクテク、テクテク -
「(昨日の防衛任務で先輩達はいつも通りでしたが私は……足を引っ張ってしまった。これじゃあ…)……連携の見直しは先輩達がいらっしゃらないと無理ですが、個人練習なら訓練室でも出来るし綾辻先輩経由でお姉様にご許可頂いた。…………頑張らないと、柚紀先輩やフブキ先輩、…か、烏丸先輩の期待を裏切らない為にも!!?」
早い時間から木虎が一人基地内を何やら自主練をする為に歩いていた。そして意気込む理由に上げた名前は差はあれど木虎にアドバイスした後に「お前なら出来るさ、頑張れよ」と声援を送ってくれた人達である。嵐山達は言わないのかと言うと、確かに口にはしていないがちゃんと同じ気持ちは持っている(佐鳥相手だと木虎の性格上反論してしまい勝ちであり、他二人の意見は聞くが身近に居るのであまり言い過ぎるとプレッシャーを与えて良くないからたまにが良いだろうと、柚紀がアドバイスしたのだ)が、上手く行けばちゃんと三人共褒めるしそれで"練習が実を結んだ"と木虎が感じればモチベーション維持や向上に繋がる。……綾辻は中立的な立場なのであまり戦闘面に関しては口出ししない様にしている
そんな事を考えて訓練室に到着した木虎を待っていたのは
「………えっ?……柚紀先輩、ですよね?」
『ん?(クルッ……フワッ)おはよう藍ちゃん、予定の時間より早くない?今フブキがウォーミングアップ中だから訓練開始までちょっと待っててね』
「ぁ、…お、お早う御座います。大丈夫、です。早く来てしまった自覚はありますから…って!そうじゃなくてですねー!!(ズカズカズカ…ピシッ)何で"黒トリガー発動させていらっしゃるのですか?"それもこんな時間から!こんな平和な状態で!!確かそのトリオン体維持は通常のより大変で必要時以外は使わないと伺いましたよ?!」
訓練室前のロビーみたいな所で室内が見れるモニターを見ていた柚紀が木虎の声に気づき振り向き挨拶をする……あの黒いドレス姿で(ベールは外してます)。そんな予想外な人物と姿に一瞬思考停止した木虎だったが我に返り詰め寄って理由を問いただしていると、アップの終えたフブキが訓練室から出てくる
「おっ?!早ぇーな木虎!!おはようさん、って………ナニ朝から怒ってるんだよお前」
『お疲れフブキ。えっとね、(ヒラリ)藍ちゃんはこの姿で居る理由が知りたくて訊ねられた所。ほらっ!黒トリガーって秘密兵器とか切り札的な役目でしょ?だから安易に使ってるのが気に入らないみたい』
「あ〜なる程な。……木虎の言い分も分かるがちゃんとした理由があるからそう怒らないでくれよ。(ナデナデ)因みにつる姐の了承を得た上でやってるから、ユズの独断じゃねぇのも理解してくれ」
「……………お姉様がご許可を出されたのなら、まぁ良いですが……柚紀先輩って目立つのがお苦手ですよね?大丈夫なんですか?」
小休憩がてら何故柚紀が黒トリガーを朝から発動させているかを説明を始めるフブキ。別にこのまま手合わせしながら説明でも良かったのだが、"大切な事を話しながらフブキと互角に戦える"程の実力を木虎が有しているかと言うと……微妙であり、手合わせするからには真面目にやりたがるだろうし、中途半端は嫌いな木虎の性格を考慮した結果である。そして柚紀はタイミングよく佐鳥達との"朝のやり取りタイム"になったらしく、嬉しそうに携帯を操作しているのを横目に話し始める
「木虎もさ、九月中旬にあった実力テストでユズが手違いでステージに転送された件は知ってるだろ?アレの原因は【トリオン体時の姿を一部のエンジニアが知らなかった】事によるものだ、で………ないとは思うが【この姿のユズの正体を知らない阿呆が妙な事をやらかす前に、関係者全員に周知させよう】的な考えに至った訳。後は【長時間トリオン体で居るのに慣れる訓練】でもあるんだとさ。通常のトリオン体は"戦う際に使う"ってユズは認識が強いから、何処か力むと言うか気を張っちまって長時間はムズいんだとさ。でもアッチなら初始動時にあれだけの事をしつつほぼ丸一日は保ててたから、慣れさせるならコッチって事になったらしい」
「………………お姉様や柚紀先輩らしい考えと言いますか理由ですね。ですが殆どの隊員はあのお姿を拝見していません。………ガード役が居ないと確実に、…泣きませんか?対処に困って」
「そこは(ポン!)木虎含めた嵐山隊に任せるさ!!俺はこの手合わせしたら一度道場に顔出しに行く必要があってな、……とりあえず昼頃まで頼むよ。多分……(チラッ)佐鳥達はアレで早く来るのが確定だし、元からチーム連携の訓練予定だろうから嵐山さんだって来るだろう?ま、それがなくても…恐らく迅さんやつる姐が手を回すだろうな。あの人が居るだけで対人問題はほぼ心配無用になる、……性格的な意味で嵐山さんや諏訪さんみてーに誰にでもそつなく対処出来る人はユズには無くてはならない存在だからな〜」
「まぁ、それは否定しません。佐鳥先輩も時枝先輩も年上相手ですと些か謙虚な言動を取ってしまいますし、私は………言いたい事は誰であろうと言いますがまだまだ未熟さが否めません。それでは逆恨みや反感を生み出す元、………何かと側にいらっしゃる事が増えた見た目がか弱い柚紀先輩にその矛先が向かうのは私も本意ではありません。まだちゃんと異性に対しての受け答えが出来ていらっしゃらない時もあるらしいので、失敗した場合…………凄く面倒な事になるのは明白ですので(ハァ〜)」
そんな感じで話していた二人に、やり取りを終えた柚紀が合流。戦う前から気疲れをしている木虎を心配する柚紀に「大丈夫です。……佐鳥先輩が今の先輩を見た時の反応を考えたら頭が痛くなっただけなので。あの人嬉しかったり感動すると所構わず貴女に抱きつきますからね、……まるで犬みたいに」と在り来りな事を口にして誤魔化す。それを聞いて『た、確かにそう……だね』と嬉し恥ずかしそうにしている柚紀を不思議そうに見つめるフブキは(とりあえず会ったら一発殴る)と物騒な事を決意すれば、気を取り直して訓練室に木虎と入り本来の目的を遂行する事にするのであった