濡れて、揺れる、心
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「――うー…冷たい…」
頭からタオルを被りトボトボと廊下を歩いていく。
歩く度に毛先から生まれた水の玉が、ポタッ…ポタッ…と床に落ちていくのを無言で見つめる。
―やらかした…。―
風呂場の清掃中、シャワーとカランを間違えて思いっきり頭から水を浴びてしまった。
一体何をやってるんだ…。馬鹿すぎる…。
ずぶ濡れになった自分の姿を鏡で見て、ほとほと犯した失態に呆れた。
幸いにも清掃は全て終わっていた為、後はもう自室へと戻れば良いだけなのだが、気分が最悪なことには変わりない。
わざとらしく大きなため息をついて大浴場を後にしたのだった。
「すぐにお風呂入らなきゃ…」
だんだん冷えてきた体を両手で擦る。
風邪なんか引いてみんなに迷惑をかける訳にいかない。
雑用係には雑用係なりのプライドがあるのだ。
気持ち急ぎ足へと変えてひたすら自室を目指す。
と、その時。
「――紬ちゃん?」
ふいに後ろから声をかけられ、それまで一心不乱に自室に向かって動かしていた足を止め振り返った。
「あ、潔くん」
「どうしたの紬ちゃん。ずぶ濡れ……っ!!!!!」
声をかけた人物、潔くんは私の姿を見るなり顔を真っ赤にしてその場に固まった。
え…?な、何…?潔くんこそどうしたの…?
'潔くん…?'と控えめに名前を呼び近付こうとすると…
「ちょっ!!!!!ちょっと待って!!!!!ちょっ、そこで止まって!!!!!」
バッ!!と掌を此方に向けて静止するよう大声で訴えてきた。
あまりの剣幕に私は肩を震わせながら文字通りピタッと静止した。
「い、潔くん……?」
「あ…いや、あの…その…す、透けてる、から……」
顔を背け私が着ているTシャツを指差す潔くん。
言葉の意味を瞬時に理解した私は勢い良くTシャツを見た。
「っ!!!!!」
透けていた。下着が。
白い布地の下に浮かび上がる水色のブラジャー。
「ごっ!!!!ごごごごめんっ!!!!!お、お見苦しい物見せてっ!!!!!ヘックショイ!!!!!」
混乱のあまり訳の分からない事を口走り、挙げ句盛大にくしゃみをする私。
あー、もう嫌だ……。これからどんな顔して潔くんと会えばいいんだ……。
散々醜態を見られ心が折れそうだ。
情けなくズビズビ鼻を啜りながら俯いた。
―ポンッ―
「…へ?」
頭の上に何か触れたのをタオル越しに感じ、顔をほんの少し上げた。
「…びしょびしょじゃん。ちゃんと拭かないと風邪引くよ」
「う、うん…。ありが…と…」
目の前にはいつの間にか潔くんがいた。
彼は未だ赤い顔のまま私の頭をタオルで拭き始めた。
さっき頭に感じた何かはどうやら潔くんの手だったようだ。
無言のまま優しい手つきで拭き続ける潔くん。
なんだかそれがとても気持ち良くて、急激に睡魔が襲ってきた。
「紬ちゃんは女の子なんだから、もっと自分を大事にしないと…」
「ご、ごめん…」
「それに…」
―俺だって男なんだから、もっと警戒心持たなきゃ。―
耳元で低く囁かれた言葉に、さっきまで冷えていた体は徐々に火照り始めていた――。
頭からタオルを被りトボトボと廊下を歩いていく。
歩く度に毛先から生まれた水の玉が、ポタッ…ポタッ…と床に落ちていくのを無言で見つめる。
―やらかした…。―
風呂場の清掃中、シャワーとカランを間違えて思いっきり頭から水を浴びてしまった。
一体何をやってるんだ…。馬鹿すぎる…。
ずぶ濡れになった自分の姿を鏡で見て、ほとほと犯した失態に呆れた。
幸いにも清掃は全て終わっていた為、後はもう自室へと戻れば良いだけなのだが、気分が最悪なことには変わりない。
わざとらしく大きなため息をついて大浴場を後にしたのだった。
「すぐにお風呂入らなきゃ…」
だんだん冷えてきた体を両手で擦る。
風邪なんか引いてみんなに迷惑をかける訳にいかない。
雑用係には雑用係なりのプライドがあるのだ。
気持ち急ぎ足へと変えてひたすら自室を目指す。
と、その時。
「――紬ちゃん?」
ふいに後ろから声をかけられ、それまで一心不乱に自室に向かって動かしていた足を止め振り返った。
「あ、潔くん」
「どうしたの紬ちゃん。ずぶ濡れ……っ!!!!!」
声をかけた人物、潔くんは私の姿を見るなり顔を真っ赤にしてその場に固まった。
え…?な、何…?潔くんこそどうしたの…?
'潔くん…?'と控えめに名前を呼び近付こうとすると…
「ちょっ!!!!!ちょっと待って!!!!!ちょっ、そこで止まって!!!!!」
バッ!!と掌を此方に向けて静止するよう大声で訴えてきた。
あまりの剣幕に私は肩を震わせながら文字通りピタッと静止した。
「い、潔くん……?」
「あ…いや、あの…その…す、透けてる、から……」
顔を背け私が着ているTシャツを指差す潔くん。
言葉の意味を瞬時に理解した私は勢い良くTシャツを見た。
「っ!!!!!」
透けていた。下着が。
白い布地の下に浮かび上がる水色のブラジャー。
「ごっ!!!!ごごごごめんっ!!!!!お、お見苦しい物見せてっ!!!!!ヘックショイ!!!!!」
混乱のあまり訳の分からない事を口走り、挙げ句盛大にくしゃみをする私。
あー、もう嫌だ……。これからどんな顔して潔くんと会えばいいんだ……。
散々醜態を見られ心が折れそうだ。
情けなくズビズビ鼻を啜りながら俯いた。
―ポンッ―
「…へ?」
頭の上に何か触れたのをタオル越しに感じ、顔をほんの少し上げた。
「…びしょびしょじゃん。ちゃんと拭かないと風邪引くよ」
「う、うん…。ありが…と…」
目の前にはいつの間にか潔くんがいた。
彼は未だ赤い顔のまま私の頭をタオルで拭き始めた。
さっき頭に感じた何かはどうやら潔くんの手だったようだ。
無言のまま優しい手つきで拭き続ける潔くん。
なんだかそれがとても気持ち良くて、急激に睡魔が襲ってきた。
「紬ちゃんは女の子なんだから、もっと自分を大事にしないと…」
「ご、ごめん…」
「それに…」
―俺だって男なんだから、もっと警戒心持たなきゃ。―
耳元で低く囁かれた言葉に、さっきまで冷えていた体は徐々に火照り始めていた――。
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