姫、お手を拝借
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「――あんっのクソ女、一体どこ行きやがった!!」
「うぅっ……どうしよぉ……」
ドス黒いオーラを纏い、狩りをする肉食獣が如く目を光らせる馬狼くんを遠目に見て、私は絶望感満載の表情で頭を抱えた。
―きっと今日は自分にとって厄日だ。―
頭を抱えたまま、ついさっきやってしまった失態を思い返す。
この青い監獄 では毎日尋常ではない洗濯物の量が出てくる。
アンリさんが絵心さんのサポートに追われる中、そういった雑務は全て自分の仕事だった。(その為に自分はここへ連れて来られたのだから)
サッカー漬けの日々を送る潔くん達。当然彼らの服は汗まみれ…。つまり、一度に大量に洗濯しなければ到底間に合わないのだ。
その時の私の頭の中は‘早くこの大量の洗濯物を片付けなければ!!’だけだった。
籠に大量に入れた洗濯物でよく見えていなかった視界。先へ先へと急ぐ足。
その二つが最悪のタイミングで重なった瞬間、私の足は縺れてバランスを崩し、籠に入っていた大量の洗濯物をぶちまけた。
‘廊下に’ぶちまけたならまだ良かった。
しかし、私が洗濯物をぶちまけたのは廊下ではなく……
「……テメェ、この雑用係っ!!!!」
「ひぃっ……!!!!」
大魔王・馬狼くんだった。
馬狼くんは汗まみれの洗濯物を頭から被りワナワナと震えていた。
潔癖で神経質な馬狼くんにとって、それがどんなに耐え難いことか……。
は、早く謝らなければ……っ!!
頭ではそう思っているのに私の体は綺麗に回れ右をし、一目散にその場から駆け出していた。
「出てこい雑用係。二度とあんなヘマ出来ねぇよう、俺が直々に教育してやる」
「……っ!!」
物陰に隠れビクビクしながら周囲の様子を窺えば、いつの間にか馬狼くんが近くまで来ていた。
見つかったら一貫の終わりだ…っ。
'直々に教育してやる'だなんて、そんなの命が幾つあっても足りない!!
想像しただけで全身から血の気が引いていく。
ここまできたら、どうにかして逃げ切らなくては。
とはいえ、馬狼くんの目を掻い潜りこの場から離れる事なんて、出来そうにもない。
一体どうしたら……。
「……何やってんの?紬ちゃん」
「ひゃあっ!!??」
「あ゛ぁ゛っ!!??そこか雑用係!!!!」
突然背後から声をかけられ思わず声を出してしまった。
そしてその声は馬狼くんにも届いたようで…。
「ち、千切くんっ!!お願い!!助けてっ!!」
「はっ!?」
「今度は逃さねぇぞ雑用係!!!!」
馬狼くんが近づいてくる気配を感じる!!
「ば、馬狼くんに捕まるわけにはいかないの!!」
半泣き状態で必死に千切くんに縋りつく私。
まだ死にたくない……っ!!!!
「なんかよく分かんねーけど、とにかくアイツから逃げればいいんだな!?」
混乱しながら聞いてくる千切くんにひたすら首を縦に振った。
「だったら――」
「へ?……わぁっ!?」
千切くんは徐ろに私の膝裏に右手を入れ、背中に左手を回し抱き上げた。
「あ…あ、あの……ち、千切くん…っ」
所謂お姫様抱っこ状態となった私。
「しっかり掴まってろよ、紬ちゃん」
見上げた先には本物の王子様さながらに端正な顔の千切くん。
「やっと見つけたぜ……雑用係!!!!」
鬼の形相をした馬狼くんが現れたと同時に、千切くんは走り出した。
「ち、千切くん…っ」
「…アイツに、大事なお姫様渡すわけにいかねーっての――」
「へ…?」
どんどん加速していく千切くんの足。
その足と同じように、彼にしがみつく私の脈もどんどん加速していた――。
「うぅっ……どうしよぉ……」
ドス黒いオーラを纏い、狩りをする肉食獣が如く目を光らせる馬狼くんを遠目に見て、私は絶望感満載の表情で頭を抱えた。
―きっと今日は自分にとって厄日だ。―
頭を抱えたまま、ついさっきやってしまった失態を思い返す。
この
アンリさんが絵心さんのサポートに追われる中、そういった雑務は全て自分の仕事だった。(その為に自分はここへ連れて来られたのだから)
サッカー漬けの日々を送る潔くん達。当然彼らの服は汗まみれ…。つまり、一度に大量に洗濯しなければ到底間に合わないのだ。
その時の私の頭の中は‘早くこの大量の洗濯物を片付けなければ!!’だけだった。
籠に大量に入れた洗濯物でよく見えていなかった視界。先へ先へと急ぐ足。
その二つが最悪のタイミングで重なった瞬間、私の足は縺れてバランスを崩し、籠に入っていた大量の洗濯物をぶちまけた。
‘廊下に’ぶちまけたならまだ良かった。
しかし、私が洗濯物をぶちまけたのは廊下ではなく……
「……テメェ、この雑用係っ!!!!」
「ひぃっ……!!!!」
大魔王・馬狼くんだった。
馬狼くんは汗まみれの洗濯物を頭から被りワナワナと震えていた。
潔癖で神経質な馬狼くんにとって、それがどんなに耐え難いことか……。
は、早く謝らなければ……っ!!
頭ではそう思っているのに私の体は綺麗に回れ右をし、一目散にその場から駆け出していた。
「出てこい雑用係。二度とあんなヘマ出来ねぇよう、俺が直々に教育してやる」
「……っ!!」
物陰に隠れビクビクしながら周囲の様子を窺えば、いつの間にか馬狼くんが近くまで来ていた。
見つかったら一貫の終わりだ…っ。
'直々に教育してやる'だなんて、そんなの命が幾つあっても足りない!!
想像しただけで全身から血の気が引いていく。
ここまできたら、どうにかして逃げ切らなくては。
とはいえ、馬狼くんの目を掻い潜りこの場から離れる事なんて、出来そうにもない。
一体どうしたら……。
「……何やってんの?紬ちゃん」
「ひゃあっ!!??」
「あ゛ぁ゛っ!!??そこか雑用係!!!!」
突然背後から声をかけられ思わず声を出してしまった。
そしてその声は馬狼くんにも届いたようで…。
「ち、千切くんっ!!お願い!!助けてっ!!」
「はっ!?」
「今度は逃さねぇぞ雑用係!!!!」
馬狼くんが近づいてくる気配を感じる!!
「ば、馬狼くんに捕まるわけにはいかないの!!」
半泣き状態で必死に千切くんに縋りつく私。
まだ死にたくない……っ!!!!
「なんかよく分かんねーけど、とにかくアイツから逃げればいいんだな!?」
混乱しながら聞いてくる千切くんにひたすら首を縦に振った。
「だったら――」
「へ?……わぁっ!?」
千切くんは徐ろに私の膝裏に右手を入れ、背中に左手を回し抱き上げた。
「あ…あ、あの……ち、千切くん…っ」
所謂お姫様抱っこ状態となった私。
「しっかり掴まってろよ、紬ちゃん」
見上げた先には本物の王子様さながらに端正な顔の千切くん。
「やっと見つけたぜ……雑用係!!!!」
鬼の形相をした馬狼くんが現れたと同時に、千切くんは走り出した。
「ち、千切くん…っ」
「…アイツに、大事なお姫様渡すわけにいかねーっての――」
「へ…?」
どんどん加速していく千切くんの足。
その足と同じように、彼にしがみつく私の脈もどんどん加速していた――。
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