口吻
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―手の平への口吻、その意味は……―
「――真白」
「っ…!」
足早に去っていこうとした真白の手を掴んだ瞬間、その手から微弱な振動が伝わってきて思わず奥歯を噛みしめた。
すっかり光を失った瞳で目の前の彼女を見れば、不安と恐怖が入り混じったような表情で俺を見つめ返していた。
「く、國神…くん?」
―…やめろ。そんな目で俺を見るな!!―
その叫びは口から出てくることはなかったが、代わりに彼女の手を掴む手に力が入ってしまい、そのせいで彼女の顔が痛みに歪んだ。
「國神くん…っ。痛いよ…っ」
俺の顔を窺い、ビクビクと怯えながら小さな声で'離して'と言う真白に、ますます苛立ちが募っていく。
「なあ、真白。俺、強くなったよな?」
「え…?」
「俺は前より、強くなっただろ…?」
俺は敗者復活 を勝ち上がり、この青い監獄 へと戻ってきたんだ。
俺は強くなった。強くなって戻ってきたんだ。
喜んでくれる、そう思っていたのに……。
なのに、どうしてそんなに悲しそうな顔で俺を見るんだ…?どうして、そんなに苦しそうな顔で見るんだ…?
なんでお前は、いつものあの笑顔じゃないんだよ…?
「っ…!!」
掴んだ手をぐいっと引き寄せると、彼女の小さな体を腕の中に閉じ込めた。
華奢な肩口に顔を埋めて、真白の香りを鼻腔いっぱいに吸い込む。
その香りがあまりにも優しくて、懐かしくて、柄にもなく目が潤んだ。
埋めていた顔を上げると徐ろに真白の右手を掴み上げ、自身の口元へと持っていく。
「く、國神くん…っ」
「なあ…っ…紬」
初めて、彼女の名前を呼んだ。情けなく震えた声だった。
「頼むから……おかえりって、言ってくれよ…っ」
俺が、俺である為に――。
そんな願いを込めて、柔らかな手の平に口吻た――。
―懇願―
「――真白」
「っ…!」
足早に去っていこうとした真白の手を掴んだ瞬間、その手から微弱な振動が伝わってきて思わず奥歯を噛みしめた。
すっかり光を失った瞳で目の前の彼女を見れば、不安と恐怖が入り混じったような表情で俺を見つめ返していた。
「く、國神…くん?」
―…やめろ。そんな目で俺を見るな!!―
その叫びは口から出てくることはなかったが、代わりに彼女の手を掴む手に力が入ってしまい、そのせいで彼女の顔が痛みに歪んだ。
「國神くん…っ。痛いよ…っ」
俺の顔を窺い、ビクビクと怯えながら小さな声で'離して'と言う真白に、ますます苛立ちが募っていく。
「なあ、真白。俺、強くなったよな?」
「え…?」
「俺は前より、強くなっただろ…?」
俺は
俺は強くなった。強くなって戻ってきたんだ。
喜んでくれる、そう思っていたのに……。
なのに、どうしてそんなに悲しそうな顔で俺を見るんだ…?どうして、そんなに苦しそうな顔で見るんだ…?
なんでお前は、いつものあの笑顔じゃないんだよ…?
「っ…!!」
掴んだ手をぐいっと引き寄せると、彼女の小さな体を腕の中に閉じ込めた。
華奢な肩口に顔を埋めて、真白の香りを鼻腔いっぱいに吸い込む。
その香りがあまりにも優しくて、懐かしくて、柄にもなく目が潤んだ。
埋めていた顔を上げると徐ろに真白の右手を掴み上げ、自身の口元へと持っていく。
「く、國神くん…っ」
「なあ…っ…紬」
初めて、彼女の名前を呼んだ。情けなく震えた声だった。
「頼むから……おかえりって、言ってくれよ…っ」
俺が、俺である為に――。
そんな願いを込めて、柔らかな手の平に口吻た――。
―懇願―
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