それはある種の偶像崇拝
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「……」
テーブルに置かれた紬ちゃんのスマホを凝視し、心の中でため息をつく。
目線の先、彼女のスマホは普段見慣れている液晶画面の方ではなく、スマホの背面を表にして置かれていた。
また、裏返しにしてる…。
癖なのかどうなのか分からないが、紬ちゃんはスマホを必ず裏返しにして置いていた。
別にスマホをどう置こうがその人の自由だし、自分がとやかく言うことではない。それは十分分かっている。
しかし、その相手が紬ちゃんとなると話は別だ。
何故、頑なに裏返しにするのだろう?
もしかして…自分に見られたくないものでもあるのだろうか…?
「潔って、そんなこと気にするタイプなの〜?なんか女の子みたいだね〜」
いつだったか蜂楽にそのことを話したら、おもいっきり笑われた。
そんなに笑わなくても…とその時は思ったが、後から冷静に考えるとだんだん自分でも可笑しくなって笑えてきた。
まさか自分がこんなことを気にするようになるなんて…。果たして自分はこんなにも女々しかっただろうか?
彼女と付き合うようになってから、日に日に新たな自分というものが、まるで玉葱の皮を一枚一枚剥ぐように、暴かれていっている気がしてならない。
たかだかスマホの置き方一つでこんなにも動揺し、ああでもないこうでもないと自問自答の繰り返し。
こんな姿を見たら蜂楽だけでなく、青い監獄 にいる連中全員に笑われるだろう。
しかしどうしても気になるのだ。紬ちゃんがスマホを裏返して置く、その理由が。
それこそ本当に単に癖なだけで、自分の心配なんてただの杞憂に終わるかもしれない。
でも一度気にしてしまうと、人間の思考回路というものは止めたくても止められないものだった。
聞いて、みるか……。
もうここは、はっきりとストレートに。
「――紬ちゃん」
「んー?」
小首を傾げ向けられた顔。大きな瞳が自分を映す。
「その…一つ聞いてもいい?」
「なーに?」
「スマホ、なんだけどさ……」
「え?スマホ?」
彼女のスマホを見ながらぽつりぽつりと話す。
「いや、なんでいつもスマホ裏返して置いてるのかなぁ…と思って。何か、見られたらマズイ物でもあるのかなぁ…って」
その言葉に紬ちゃんは自分のスマホを見ると、その次に俺の顔を見た。
「…もしかして世一くん、私が浮気してるかもとか、そんな事考えてる?」
図星を突かれ肩が情けなく震えた。
その反応を肯定と受け取ったのか、紬ちゃんは静かに自分のスマホを手に取り、俺の目の前に翳した。
突然のことに驚きながらも、翳された紬ちゃんのスマホの画面を覗き込む。
そこに映っていたのは……
「お…れ…?」
そこに映っていたのは、青い監獄 で鮮やかにシュートを決める潔世一……紛れもなく俺自身だった。
「私、ロック画面もホーム画面も世一くんなの…。でも何かの拍子に、それを世一くん本人に見られたら恥ずかしいなと思って…」
少しバツが悪そうに視線を逸らす紬ちゃん。ちなみに写真は、アンリさんに頼み込み絵心さんにバレないようにモニターの映像をスクショさせてもらったらしい。
「…だから、ずっと裏返しにして置いてたの」
恥ずかしさからなのか俯いてしまった紬ちゃん。
そんな彼女の姿に、愛しいという感情が一気に溢れ出す。
「あ、ありがとう……。俺を待ち受けにしてくれて。その…めちゃくちゃ嬉しい…です」
'俺、めちゃくちゃ愛されてるじゃん…'、そう小声で呟いたのを紬ちゃんは聞き逃さなかった。
「それなのに浮気を疑ったんだね」
「ぅ……」
軽く睨まれながら言われた言葉に何も言い返せなかった。
いや、マジで俺めちゃくちゃアホだろ…。蜂楽が聞いたらまた大笑いするだろうな…。
「ごめんなさい……」
「もう浮気してるかもしれないとか、そんな馬鹿な事考えないでね?」
「はい……」
あんなくだらないことで紬ちゃん疑うとか俺、何やってんだ……。つーか、かっこ悪……。
申し訳なさと情けなさに項垂れた。
「――世一くん」
凛とした声で名前を呼ばれ、ゆるゆると顔を上げた。
瞬間、頬に柔らかい感触がした。
その柔らかい感触の正体が、紬ちゃんの唇だと気付くのに数秒かかった。
「私、世一くんが思っている以上に世一くんのこと好きだよ……」
……ほんっと、紬ちゃんはどれだけ俺を惚れさせれば気が済むワケ――?
テーブルに置かれた紬ちゃんのスマホを凝視し、心の中でため息をつく。
目線の先、彼女のスマホは普段見慣れている液晶画面の方ではなく、スマホの背面を表にして置かれていた。
また、裏返しにしてる…。
癖なのかどうなのか分からないが、紬ちゃんはスマホを必ず裏返しにして置いていた。
別にスマホをどう置こうがその人の自由だし、自分がとやかく言うことではない。それは十分分かっている。
しかし、その相手が紬ちゃんとなると話は別だ。
何故、頑なに裏返しにするのだろう?
もしかして…自分に見られたくないものでもあるのだろうか…?
「潔って、そんなこと気にするタイプなの〜?なんか女の子みたいだね〜」
いつだったか蜂楽にそのことを話したら、おもいっきり笑われた。
そんなに笑わなくても…とその時は思ったが、後から冷静に考えるとだんだん自分でも可笑しくなって笑えてきた。
まさか自分がこんなことを気にするようになるなんて…。果たして自分はこんなにも女々しかっただろうか?
彼女と付き合うようになってから、日に日に新たな自分というものが、まるで玉葱の皮を一枚一枚剥ぐように、暴かれていっている気がしてならない。
たかだかスマホの置き方一つでこんなにも動揺し、ああでもないこうでもないと自問自答の繰り返し。
こんな姿を見たら蜂楽だけでなく、
しかしどうしても気になるのだ。紬ちゃんがスマホを裏返して置く、その理由が。
それこそ本当に単に癖なだけで、自分の心配なんてただの杞憂に終わるかもしれない。
でも一度気にしてしまうと、人間の思考回路というものは止めたくても止められないものだった。
聞いて、みるか……。
もうここは、はっきりとストレートに。
「――紬ちゃん」
「んー?」
小首を傾げ向けられた顔。大きな瞳が自分を映す。
「その…一つ聞いてもいい?」
「なーに?」
「スマホ、なんだけどさ……」
「え?スマホ?」
彼女のスマホを見ながらぽつりぽつりと話す。
「いや、なんでいつもスマホ裏返して置いてるのかなぁ…と思って。何か、見られたらマズイ物でもあるのかなぁ…って」
その言葉に紬ちゃんは自分のスマホを見ると、その次に俺の顔を見た。
「…もしかして世一くん、私が浮気してるかもとか、そんな事考えてる?」
図星を突かれ肩が情けなく震えた。
その反応を肯定と受け取ったのか、紬ちゃんは静かに自分のスマホを手に取り、俺の目の前に翳した。
突然のことに驚きながらも、翳された紬ちゃんのスマホの画面を覗き込む。
そこに映っていたのは……
「お…れ…?」
そこに映っていたのは、
「私、ロック画面もホーム画面も世一くんなの…。でも何かの拍子に、それを世一くん本人に見られたら恥ずかしいなと思って…」
少しバツが悪そうに視線を逸らす紬ちゃん。ちなみに写真は、アンリさんに頼み込み絵心さんにバレないようにモニターの映像をスクショさせてもらったらしい。
「…だから、ずっと裏返しにして置いてたの」
恥ずかしさからなのか俯いてしまった紬ちゃん。
そんな彼女の姿に、愛しいという感情が一気に溢れ出す。
「あ、ありがとう……。俺を待ち受けにしてくれて。その…めちゃくちゃ嬉しい…です」
'俺、めちゃくちゃ愛されてるじゃん…'、そう小声で呟いたのを紬ちゃんは聞き逃さなかった。
「それなのに浮気を疑ったんだね」
「ぅ……」
軽く睨まれながら言われた言葉に何も言い返せなかった。
いや、マジで俺めちゃくちゃアホだろ…。蜂楽が聞いたらまた大笑いするだろうな…。
「ごめんなさい……」
「もう浮気してるかもしれないとか、そんな馬鹿な事考えないでね?」
「はい……」
あんなくだらないことで紬ちゃん疑うとか俺、何やってんだ……。つーか、かっこ悪……。
申し訳なさと情けなさに項垂れた。
「――世一くん」
凛とした声で名前を呼ばれ、ゆるゆると顔を上げた。
瞬間、頬に柔らかい感触がした。
その柔らかい感触の正体が、紬ちゃんの唇だと気付くのに数秒かかった。
「私、世一くんが思っている以上に世一くんのこと好きだよ……」
……ほんっと、紬ちゃんはどれだけ俺を惚れさせれば気が済むワケ――?
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