キューピッドは気まぐれ
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テレビの影響力というのは凄いものだなと、今回ほど思った事はないだろう。
ただ潔達と遊びに出かけただけなのに、ほんの少しの距離を歩いただけでも感じる、四方八方からの視線、視線、視線……。
U-20日本代表との試合以来、外の世界は自分達への羨望の眼差しで溢れ返っていた。
―すっげー。テンションぶちアがるー―
上機嫌で口笛を吹けば烏が怪訝な表情でこちらを見てきたが、今はそんな事どうでも良かった。
どうでも良くなるくらい今、世間は自分達に注目しているのだから。
その視線の中でも特に女の子達の視線はまさに'熱視線'と言うに相応しく、皆が色めき立っていた。
あちらこちらから聞こえてくる、'あの人かっこよくない?'という小さな声。
そう口々に言う女の子達は一様に頬を赤く染めていて、まるで自分が人気アイドルか俳優にでもなったかのような気分だった。
そのせいか、なんだか今日はガールハントの方もいつも以上に上手くいきそうな気がしてきた……と、以前の自分なら真っ先にそう思っていただろうが今は違う。
―けど、今はもうどの子にも惹かれないんだよねぇ…。俺、運命の出会いしちゃったし―
ふと視線を前方に移せば、潔や蜂楽を始めとする青い監獄 の面々に囲まれニコニコと笑う彼女……紬ちゃんがいた。
……ほんと、ライバルが多いことで。
俺と同じようにどいつもこいつも、その目は忙しなく常に紬ちゃんの姿を追いかけ回している。まるでサッカーボールを追いかけるかのように。
サッカーだけじゃなく‘こっち’でもライバルだらけなのかと、知らず知らずのうちに口からため息が溢れた。
今まで一人の子に固執したことがなかっただけに正攻法というものが分からず、結局‘いつも通り’のやり方でしか彼女にアピール出来ないのが情けない。
…いや、寧ろいつも通りが自分にとっての正攻法なのかもしれない。
それならば……
「――はーい、そろそろお時間でーす。今度は俺の相手して?」
「え…?あ、ちょ、ちょっと乙夜さん!?」
ぶーぶーと文句を垂れるお邪魔虫たちを押し退け、戸惑いの声を上げる紬ちゃんの手を掴んでグイグイと引っ張っていく。
十分にアイツらから距離を取ったのを確認すると、早速U-20日本代表との試合について話始めた。勿論、手を掴むというのを繋ぐに変えることを忘れずに。
「ね〜、紬ちゃん。U-20日本代表との試合、俺かっこよかったっしょ?惚れた?俺に落ちてくれた?」
いつもの調子で軽口を叩く。きっと今回も軽くあしらわれるだろうなとは思ったが、別にそれでもいい。今はとにかく紬ちゃんとの時間を楽しむのみだ。
しかし彼女の口から出てきた言葉は、自分の予想とは全く違うものだった。
「――かっこよかったですよ。とっても」
……。
「……へ?」
―え…?今、紬ちゃん‘かっこよかった’って言った……?しかも‘とっても’まで付いてた……?―
ポカンとする自分を他所に彼女は続ける。
「乙夜さんのあんなに真剣な表情初めて見たから、なんだか違う人に見えました。いつもチャラチャラしてるから余計にそう思いました。これ、所謂ギャップ…ってやつなんですかね?」
「さ、さあ…?」
いつも冷めたような呆れたような目で見てくる紬ちゃんが、純粋なほどにキラキラと輝いた目で見つめてくるものだから思わず仰け反ってしまった。
―え…?ナニコレ…?ナニコレ…?こんな紬ちゃん初めてなんだけど……。―
左胸の奥底で、その存在を主張してくる自身の心臓に必死に気づかないフリをしていると、紬ちゃんがふと視線を下に落とした。
「……あんな乙夜さんだったら、もしかしたら好きになっちゃうかも」
―…ドクンッ―
恥ずかしそうに言う彼女に、ついに自身の心臓は気づかないフリを許さないとでも言うように、一際大きな音を立てた。
……あー、もう駄目だわ俺。
本当に好きすぎるって――。
ただ潔達と遊びに出かけただけなのに、ほんの少しの距離を歩いただけでも感じる、四方八方からの視線、視線、視線……。
U-20日本代表との試合以来、外の世界は自分達への羨望の眼差しで溢れ返っていた。
―すっげー。テンションぶちアがるー―
上機嫌で口笛を吹けば烏が怪訝な表情でこちらを見てきたが、今はそんな事どうでも良かった。
どうでも良くなるくらい今、世間は自分達に注目しているのだから。
その視線の中でも特に女の子達の視線はまさに'熱視線'と言うに相応しく、皆が色めき立っていた。
あちらこちらから聞こえてくる、'あの人かっこよくない?'という小さな声。
そう口々に言う女の子達は一様に頬を赤く染めていて、まるで自分が人気アイドルか俳優にでもなったかのような気分だった。
そのせいか、なんだか今日はガールハントの方もいつも以上に上手くいきそうな気がしてきた……と、以前の自分なら真っ先にそう思っていただろうが今は違う。
―けど、今はもうどの子にも惹かれないんだよねぇ…。俺、運命の出会いしちゃったし―
ふと視線を前方に移せば、潔や蜂楽を始めとする
……ほんと、ライバルが多いことで。
俺と同じようにどいつもこいつも、その目は忙しなく常に紬ちゃんの姿を追いかけ回している。まるでサッカーボールを追いかけるかのように。
サッカーだけじゃなく‘こっち’でもライバルだらけなのかと、知らず知らずのうちに口からため息が溢れた。
今まで一人の子に固執したことがなかっただけに正攻法というものが分からず、結局‘いつも通り’のやり方でしか彼女にアピール出来ないのが情けない。
…いや、寧ろいつも通りが自分にとっての正攻法なのかもしれない。
それならば……
「――はーい、そろそろお時間でーす。今度は俺の相手して?」
「え…?あ、ちょ、ちょっと乙夜さん!?」
ぶーぶーと文句を垂れるお邪魔虫たちを押し退け、戸惑いの声を上げる紬ちゃんの手を掴んでグイグイと引っ張っていく。
十分にアイツらから距離を取ったのを確認すると、早速U-20日本代表との試合について話始めた。勿論、手を掴むというのを繋ぐに変えることを忘れずに。
「ね〜、紬ちゃん。U-20日本代表との試合、俺かっこよかったっしょ?惚れた?俺に落ちてくれた?」
いつもの調子で軽口を叩く。きっと今回も軽くあしらわれるだろうなとは思ったが、別にそれでもいい。今はとにかく紬ちゃんとの時間を楽しむのみだ。
しかし彼女の口から出てきた言葉は、自分の予想とは全く違うものだった。
「――かっこよかったですよ。とっても」
……。
「……へ?」
―え…?今、紬ちゃん‘かっこよかった’って言った……?しかも‘とっても’まで付いてた……?―
ポカンとする自分を他所に彼女は続ける。
「乙夜さんのあんなに真剣な表情初めて見たから、なんだか違う人に見えました。いつもチャラチャラしてるから余計にそう思いました。これ、所謂ギャップ…ってやつなんですかね?」
「さ、さあ…?」
いつも冷めたような呆れたような目で見てくる紬ちゃんが、純粋なほどにキラキラと輝いた目で見つめてくるものだから思わず仰け反ってしまった。
―え…?ナニコレ…?ナニコレ…?こんな紬ちゃん初めてなんだけど……。―
左胸の奥底で、その存在を主張してくる自身の心臓に必死に気づかないフリをしていると、紬ちゃんがふと視線を下に落とした。
「……あんな乙夜さんだったら、もしかしたら好きになっちゃうかも」
―…ドクンッ―
恥ずかしそうに言う彼女に、ついに自身の心臓は気づかないフリを許さないとでも言うように、一際大きな音を立てた。
……あー、もう駄目だわ俺。
本当に好きすぎるって――。
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