君が嫉妬の女神に支配されても
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「紬ちゃん…」
「……」
――潔世一。そろそろ心が折れそうです……。
いつぶりかっていうぐらいに青い監獄 から解放され、普通の高校生の彼氏彼女として会えた愛しい人、紬ちゃん。
……にも関わらず、自分はさっきからその愛しの彼女の顔を拝めないままでいた。
ずっと自分に背を向けた状態でソファーに座る紬ちゃん。
そんな彼女の背中へ向けて、控えめに何度も何度も名前を呼んでみるが全くの無反応。
―い、一体どうしたら……っ!!―
こんな彼女は初めてで、何故こんな風になったのかも、どうやったらいつもの彼女に戻ってくれるのかも何一つ分からなかった。
「……」
―……何とかして、この状況を打破しねーと!!―
「…紬ちゃんっ」
ギシッ…とソファーを微かに軋ませ、紬ちゃんの隣に座る。
「ごめん…。俺、鈍感だからなんで紬ちゃんがこんな風になってるのか分からなくて…」
「……」
「俺……もしかして紬ちゃんを傷つけるようなこと、したかな……っ?」
「っ…違う!!」
そこまで言った瞬間、紬ちゃんは勢いよく振り返り強い口調で否定の言葉を発した。
あまりの剣幕に呆気にとられる。
振り返った彼女は、今まで見たことがないくらい焦った表情で、でもその中にはどことなく戸惑いも含まれているように見えて…。
俺はそんな彼女に、ただただ目を丸くするばかりだった。
「世一くんは、何も悪くないの…。私が勝手に自己嫌悪してるだけで……」
「自己、嫌悪…?」
手掛かりを見つける筈が、彼女の口から出てきた'自己嫌悪'という言葉に、頭はますます混乱する。
「本当に、何も悪くないの…」
再び背を向けてしまった紬ちゃん。
悲しそうなその背中。
今すぐにでもその小さな体を包み込んであげたい。
そう考えたと同時に体が自然と動いていた。
「っ……世、一くん?」
「紬ちゃん。ゆっくりでいいから、話してみて」
「ぇ…?」
「今、思ってる事全部……俺に話して欲しい」
華奢な体を柔く抱きしめる。
どんな些細な事でもいいから、紬ちゃんの気持ちを知りたい。
彼女が何を考え、何を感じ、何を思っているのかを…。
何も知らなかった。何も分かっていなかった。
そんな風にはなりたくない。
それが原因で、'別れる'という選択肢を選ぶ結末になった……そんな最悪の事態だけは避けたかった。
「っ……」
「大丈夫。紬ちゃんが何を言っても、俺は絶対嫌いになったりしないから」
未だ僅かに迷いの表情を浮かべていた真白ちゃんだったが、最後にかけた言葉のお陰か漸く'自己嫌悪'の理由を話し始めた。
「……嫉妬、したの」
桜色の唇から紡がれた言葉。
'自己嫌悪'の次は'嫉妬'。
普段穏やかな彼女の口から聞くには、あまりに意外な言葉ばかりな気がした。
「誰に……っていうのは流石に聞かない方がいいよな…」
本音を言えば聞きたいところだが、そこまで踏み込むのは無粋だと思い、疼く好奇心を無理矢理奥へと追いやった。
しかしその疼きは思ったよりも早く鎮められる事になった。
「……BLUE LOCK TV観てる女の子達全員」
そういえば…青い監獄 での俺達の姿って、配信されてたんだっけ……。
「久しぶりに学校に行って、クラスの子達の何人かが世一くんのこと格好良いって言ってて……。それ聞いて私……嫉妬して……」
「紬ちゃん…」
「ごめん……。私、器小さいよね……」
抱え込んだ膝に顔を埋める紬ちゃん。
不謹慎なのは百も承知だが、そんな彼女にどうしようもなく愛しさがこみ上げてきた。
「…嬉しいって、言ったら変かな?」
「え…?」
俺は抱きしめる腕の力を強めた。
「正直、嫉妬してもらえてめちゃくちゃ嬉しいよ。だってそれだけ俺、愛されてるってことだろ?」
紬ちゃんの細い肩口に顔を埋める。
優しいフローラルの香りが鼻腔を掠めた。
「紬ちゃんからの嫉妬なら、寧ろ俺は大歓迎」
そのまま俺は彼女の白い首筋に、リップ音を立ててキスを一つ贈った――。
「……」
――潔世一。そろそろ心が折れそうです……。
いつぶりかっていうぐらいに
……にも関わらず、自分はさっきからその愛しの彼女の顔を拝めないままでいた。
ずっと自分に背を向けた状態でソファーに座る紬ちゃん。
そんな彼女の背中へ向けて、控えめに何度も何度も名前を呼んでみるが全くの無反応。
―い、一体どうしたら……っ!!―
こんな彼女は初めてで、何故こんな風になったのかも、どうやったらいつもの彼女に戻ってくれるのかも何一つ分からなかった。
「……」
―……何とかして、この状況を打破しねーと!!―
「…紬ちゃんっ」
ギシッ…とソファーを微かに軋ませ、紬ちゃんの隣に座る。
「ごめん…。俺、鈍感だからなんで紬ちゃんがこんな風になってるのか分からなくて…」
「……」
「俺……もしかして紬ちゃんを傷つけるようなこと、したかな……っ?」
「っ…違う!!」
そこまで言った瞬間、紬ちゃんは勢いよく振り返り強い口調で否定の言葉を発した。
あまりの剣幕に呆気にとられる。
振り返った彼女は、今まで見たことがないくらい焦った表情で、でもその中にはどことなく戸惑いも含まれているように見えて…。
俺はそんな彼女に、ただただ目を丸くするばかりだった。
「世一くんは、何も悪くないの…。私が勝手に自己嫌悪してるだけで……」
「自己、嫌悪…?」
手掛かりを見つける筈が、彼女の口から出てきた'自己嫌悪'という言葉に、頭はますます混乱する。
「本当に、何も悪くないの…」
再び背を向けてしまった紬ちゃん。
悲しそうなその背中。
今すぐにでもその小さな体を包み込んであげたい。
そう考えたと同時に体が自然と動いていた。
「っ……世、一くん?」
「紬ちゃん。ゆっくりでいいから、話してみて」
「ぇ…?」
「今、思ってる事全部……俺に話して欲しい」
華奢な体を柔く抱きしめる。
どんな些細な事でもいいから、紬ちゃんの気持ちを知りたい。
彼女が何を考え、何を感じ、何を思っているのかを…。
何も知らなかった。何も分かっていなかった。
そんな風にはなりたくない。
それが原因で、'別れる'という選択肢を選ぶ結末になった……そんな最悪の事態だけは避けたかった。
「っ……」
「大丈夫。紬ちゃんが何を言っても、俺は絶対嫌いになったりしないから」
未だ僅かに迷いの表情を浮かべていた真白ちゃんだったが、最後にかけた言葉のお陰か漸く'自己嫌悪'の理由を話し始めた。
「……嫉妬、したの」
桜色の唇から紡がれた言葉。
'自己嫌悪'の次は'嫉妬'。
普段穏やかな彼女の口から聞くには、あまりに意外な言葉ばかりな気がした。
「誰に……っていうのは流石に聞かない方がいいよな…」
本音を言えば聞きたいところだが、そこまで踏み込むのは無粋だと思い、疼く好奇心を無理矢理奥へと追いやった。
しかしその疼きは思ったよりも早く鎮められる事になった。
「……BLUE LOCK TV観てる女の子達全員」
そういえば…
「久しぶりに学校に行って、クラスの子達の何人かが世一くんのこと格好良いって言ってて……。それ聞いて私……嫉妬して……」
「紬ちゃん…」
「ごめん……。私、器小さいよね……」
抱え込んだ膝に顔を埋める紬ちゃん。
不謹慎なのは百も承知だが、そんな彼女にどうしようもなく愛しさがこみ上げてきた。
「…嬉しいって、言ったら変かな?」
「え…?」
俺は抱きしめる腕の力を強めた。
「正直、嫉妬してもらえてめちゃくちゃ嬉しいよ。だってそれだけ俺、愛されてるってことだろ?」
紬ちゃんの細い肩口に顔を埋める。
優しいフローラルの香りが鼻腔を掠めた。
「紬ちゃんからの嫉妬なら、寧ろ俺は大歓迎」
そのまま俺は彼女の白い首筋に、リップ音を立ててキスを一つ贈った――。
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