静まれ鼓動
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「――ね〜、いつになったら俺と付き合ってくれんの?」
「だ、だから私は誰とも付き合いません!」
このやり取りももう何度目になるだろう。いい加減うんざりしてきた。今から私は色々と片付けをしなければならないというのに…。
半泣きになりながら、さっきから私の後を金魚のフンのようにくっついてくる乙夜さんを振り返った。
「俺の活躍見てたんでしょ?ねぇ、俺バリかっこいかったっしょ?」
「確かに見てますけど、乙夜さんだけじゃなくて私はみんなのこと万遍なく見てますから!」
……一応、私もマネージャーの1人だし。
「あ。今、俺の超繊細なガラスのハート傷ついたー。ということで紬ちゃん、俺のこと癒してー」
「む、無茶なこと言わないでください!」
さりげなく腰に回された手にギョッと目を見開き、驚きの余り思わず彼の手を抓ってしまった。
乙夜さんは直ぐ様手を引っ込め、‘イテテッ’と言いながら痛みに顔を歪めた。抓られた手を擦りつつ‘ツンデレな紬ちゃんも、かーわいい’といつもの調子で軽口を叩いてくる。
しかし本当によくもまあ、次から次へとそんな言葉が出てくるものだ。全く呆れてものも言えない。今まで自分の周りには乙夜さんのようなタイプの人間がいなかったから、どうやって上手く躱せばいいのかさっぱり分からない。
―スッ…―
「…!?…な、何…?」
突然、何の前触れもなく目の前に出されたスマホ。驚きに肩が大きくびくつき、出されたスマホとそのスマホの持ち主である乙夜さんとを交互に見てそう訊ねた。
「今まで繋がってた女の子達、全員切ったから」
「は、はぁ…?」
いつもと変わらない表情で答えた乙夜さんからスマホを手渡され、慌てて受け取った。
…え?これ、私にチェックしろってこと?
「選手の交友関係把握しとくのも、マネージャーの務めっしょ?」
そう…なのかなぁ……?なんだか良いように言いくるめられている気もするが……。
さも当然のように言われ色々思うことはあったが、特に反論などはせずにスマホの液晶画面に視線を落とした。
そこに映し出された彼の華やかなまでの友だちリストには、見た限りでは男の子の名前のみで女の子の名前は無さそうだった。
「えっと、非表示にしてたりとか……」
「どんだけ俺、信用ねーの」
「ご、ごめんなさい…」
疑いの眼差しを向ける私に乙夜さんは苦笑を浮かべつつも、わざわざ非表示リストまで見せてくれた。
見せてくるだけあってそこにも女の子らしき名前は一切無かった。
「マジさ、人数多すぎて消すん疲れた」
「いや、それは自業自得なのでは…」
「だよね。でも紬ちゃんに信用してもらうには、コレしかねーよなと思って」
ケラケラと笑う乙夜さんとは裏腹に、私の心臓は徐々に速くなっていた。
私の為に、こんなことしたの…?
あの乙夜さんが…私の為にわざわざ……?
‘あの’、乙夜さんが……?
―ドクン…ッ ドクン…ッ―
「なんかさ、紬ちゃんって今までの女の子達みたいな扱い出来ないんだよね。出来ないっつーかしちゃいけねーっていうか」
―ドクン…ッ ドクン…ッ―
「――俺、今回は本気 ッス」
自分の心臓が太鼓のように激しくリズムを奏でていた――。
「だ、だから私は誰とも付き合いません!」
このやり取りももう何度目になるだろう。いい加減うんざりしてきた。今から私は色々と片付けをしなければならないというのに…。
半泣きになりながら、さっきから私の後を金魚のフンのようにくっついてくる乙夜さんを振り返った。
「俺の活躍見てたんでしょ?ねぇ、俺バリかっこいかったっしょ?」
「確かに見てますけど、乙夜さんだけじゃなくて私はみんなのこと万遍なく見てますから!」
……一応、私もマネージャーの1人だし。
「あ。今、俺の超繊細なガラスのハート傷ついたー。ということで紬ちゃん、俺のこと癒してー」
「む、無茶なこと言わないでください!」
さりげなく腰に回された手にギョッと目を見開き、驚きの余り思わず彼の手を抓ってしまった。
乙夜さんは直ぐ様手を引っ込め、‘イテテッ’と言いながら痛みに顔を歪めた。抓られた手を擦りつつ‘ツンデレな紬ちゃんも、かーわいい’といつもの調子で軽口を叩いてくる。
しかし本当によくもまあ、次から次へとそんな言葉が出てくるものだ。全く呆れてものも言えない。今まで自分の周りには乙夜さんのようなタイプの人間がいなかったから、どうやって上手く躱せばいいのかさっぱり分からない。
―スッ…―
「…!?…な、何…?」
突然、何の前触れもなく目の前に出されたスマホ。驚きに肩が大きくびくつき、出されたスマホとそのスマホの持ち主である乙夜さんとを交互に見てそう訊ねた。
「今まで繋がってた女の子達、全員切ったから」
「は、はぁ…?」
いつもと変わらない表情で答えた乙夜さんからスマホを手渡され、慌てて受け取った。
…え?これ、私にチェックしろってこと?
「選手の交友関係把握しとくのも、マネージャーの務めっしょ?」
そう…なのかなぁ……?なんだか良いように言いくるめられている気もするが……。
さも当然のように言われ色々思うことはあったが、特に反論などはせずにスマホの液晶画面に視線を落とした。
そこに映し出された彼の華やかなまでの友だちリストには、見た限りでは男の子の名前のみで女の子の名前は無さそうだった。
「えっと、非表示にしてたりとか……」
「どんだけ俺、信用ねーの」
「ご、ごめんなさい…」
疑いの眼差しを向ける私に乙夜さんは苦笑を浮かべつつも、わざわざ非表示リストまで見せてくれた。
見せてくるだけあってそこにも女の子らしき名前は一切無かった。
「マジさ、人数多すぎて消すん疲れた」
「いや、それは自業自得なのでは…」
「だよね。でも紬ちゃんに信用してもらうには、コレしかねーよなと思って」
ケラケラと笑う乙夜さんとは裏腹に、私の心臓は徐々に速くなっていた。
私の為に、こんなことしたの…?
あの乙夜さんが…私の為にわざわざ……?
‘あの’、乙夜さんが……?
―ドクン…ッ ドクン…ッ―
「なんかさ、紬ちゃんって今までの女の子達みたいな扱い出来ないんだよね。出来ないっつーかしちゃいけねーっていうか」
―ドクン…ッ ドクン…ッ―
「――俺、今回は
自分の心臓が太鼓のように激しくリズムを奏でていた――。
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