混沌の世界で巡り合う
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―それにしても…めちゃくちゃ広いよなぁ、ここ―
食堂からの帰り、長い通路を歩きながら俺は青い監獄 の規格外の広さに圧倒されていた。
'青い怪物'のようなこの巨大な建物に、なんとか順応しようとはするものの、やはり驚かされる事の方が圧倒的に多く、なかなか頭がついていかないのが現状だった。
最新鋭の技術が搭載されたシステムと設備。莫大な金額がかけられている事は流石に分かる。
その全てが'世界一のストライカー'を生み出す為のもの。
謂わば、自分達にそれだけのお金がかけられていると言っても過言ではない。
「世界一のストライカー……」
―絶対に……絶対になりてェ!!―
人知れずぐっと拳を握りしめた。
そして気合いを入れるようにパンッと小気味良い音を立てて、自分の両頬を叩いた。
「あ、あのぉ……」
「え?」
突然、後ろから遠慮がちに声をかけられた。
振り向けば、自分と同い年くらいの女の子が困り果てたような表情を浮かべて立っていた。
―え…?お、女の子…だよな?なんで、こんな所に女の子が?―
自分がいるチームZに千切のような中性的な人間がいるせいか、一瞬判別に迷ってしまった。
しかしよく見ると体つきがれっきとした女性の体つきで、自分にはない胸の膨らみの存在に一気に恥ずかしくなった。
「えっと…」
「あの、すみません…。食堂って、どこにありますか…?」
「へ?」
―しょ、食堂…?―
'迷っちゃったみたいで…'と苦笑を浮かべる彼女。
この殺気立った青い監獄 内には似つかわしくない、その何ともほんわかした雰囲気にペースが乱されそうになる。
それはさておき、彼女が探している食堂といえばまさに自分がさっきまで食事をしていた場所。
そしてその食堂があるのは……
「えー…っと、食堂なら1階ッスけど…」
「えっ!?」
「ここ、2階ッス…」
「う、嘘っ!?」
俺の言葉に彼女は声を上げ、それから頭を抱えて'またやっちゃったぁ…'と言った。
「私、方向音痴なんです…。教えてもらっても目的地に辿り着けなくて…」
―重症だ…―
失礼極まりないがそう思ってしまった。
「今から食堂の掃除に行こうとしてたんですけど…。ハァ…。だからマネージャーなんて無理だって言ってたのに…」
「…マネージャー?」
マネージャーは確か…帝襟アンリという人じゃなかったか?
「あっ!私、アンリさんと一緒にマネージャーを勤める、真白紬って言います!よろしくお願いします!ちなみに高2です!」
「…ああ!ど、どうも!潔世一ッス!俺も高2ッス!」
ピシッと背筋を伸ばし、そう挨拶をしてきた彼女に、自分も釣られるように背筋を伸ばし挨拶をする。
「アンリさんが絵心さんのサポートとかで忙しいから、私は主にアンリさんが出来ない部分を担当するの」
'潔くん達みんなの傷の手当てとかもするんだよー'と、笑顔で言う紬ちゃん。
彼女のその言葉に、初っ端足を捻ったイガグリが貼られた湿布を見てどうしてニヤニヤしていたのか、漸く合点がいった。
なんでも彼女、マネージャー業務と絵心のサポートに手一杯なアンリさんからの要望で、全国のサッカー部マネージャーから絵心の独断と偏見で選ばれたそう。
話の途中で'今年のおみくじ凶だったんだ…。きっとそれのせいだよ…'と言う紬ちゃんに、重度の不幸体質だと俺は思わず哀れんだ。(まさに南無三だ)
「私は、'みんなで楽しくサッカーを'っていう精神でやってきたから…。だから、いまいち絵心さんの考え方ってよく分からないし、ここの雰囲気にもまだ馴染めない…。正直、今でも帰りたいなって思ってる」
「紬ちゃん…」
「それに私は、みんなに夢叶えて欲しい……」
閉鎖的且つこんな殺気立った異様な空間でのマネージャー業務は、彼女のように平和主義的な考え方の人間には確かに酷なことだろう。
アンリさんがいるとは言え、彼女は実質青い監獄 内では一人ぼっちなのだから。
そんな紬ちゃんに無責任なことを言うわけにもいかず、気の利いた言葉が何一つ出てこなかった。
「……でも」
「?」
紬ちゃんが再び口を開いた。
「潔くんが吉良くんにボール当てた時なんでか私、物凄く胸が熱くなったんだよね」
「胸が、熱く……?」
「うん。それでその時、'私、今すごい瞬間を目撃したんだ!' '私、今とてつもなくすごい場所にいるんだ!'……って思ったの」
キラキラと目を輝かせながら言う紬ちゃんに、あの時の光景がまるで走馬灯のように蘇ってきた。
あの時、俺は最初イガグリに当てようとしていた。
でも俺の中のもう一人の俺が'違う'と、吉良くんへボールを放った。
自分自身でも驚いた行動、そして判断だった。
でも俺のその行動が、判断が、紬ちゃんの心を熱くしたのかと思うと、とてつもなく嬉しかった。
こんな風に、また誰かの心を熱くさせることが出来るんじゃないかって、思ってしまったんだ。
―俺のプレーが、俺のゴールが、誰かの……いや、大勢の人間の心を熱くさせる…―
「潔くん…?」
「ありがと紬ちゃん」
「え?」
急にお礼を言ってきた俺に、紬ちゃんは目を丸くした。
「正直、ここの雰囲気とか他の連中に飲まれそうになってたけど、紬ちゃんのお陰でモチベ上がった」
「へ?」
「俺、紬ちゃんがいてくれたら頑張れそうな気がする」
「え?え?どういうこと?」
ワケが分からず慌てふためく紬ちゃんに、'食堂まで一緒に行ってあげよっか?'と言ってあげると、さっきとは打って変わってほんわかとした笑顔を浮かべてくれた。
絶対に……絶対になってやる。世界一のストライカーに――。
食堂からの帰り、長い通路を歩きながら俺は
'青い怪物'のようなこの巨大な建物に、なんとか順応しようとはするものの、やはり驚かされる事の方が圧倒的に多く、なかなか頭がついていかないのが現状だった。
最新鋭の技術が搭載されたシステムと設備。莫大な金額がかけられている事は流石に分かる。
その全てが'世界一のストライカー'を生み出す為のもの。
謂わば、自分達にそれだけのお金がかけられていると言っても過言ではない。
「世界一のストライカー……」
―絶対に……絶対になりてェ!!―
人知れずぐっと拳を握りしめた。
そして気合いを入れるようにパンッと小気味良い音を立てて、自分の両頬を叩いた。
「あ、あのぉ……」
「え?」
突然、後ろから遠慮がちに声をかけられた。
振り向けば、自分と同い年くらいの女の子が困り果てたような表情を浮かべて立っていた。
―え…?お、女の子…だよな?なんで、こんな所に女の子が?―
自分がいるチームZに千切のような中性的な人間がいるせいか、一瞬判別に迷ってしまった。
しかしよく見ると体つきがれっきとした女性の体つきで、自分にはない胸の膨らみの存在に一気に恥ずかしくなった。
「えっと…」
「あの、すみません…。食堂って、どこにありますか…?」
「へ?」
―しょ、食堂…?―
'迷っちゃったみたいで…'と苦笑を浮かべる彼女。
この殺気立った
それはさておき、彼女が探している食堂といえばまさに自分がさっきまで食事をしていた場所。
そしてその食堂があるのは……
「えー…っと、食堂なら1階ッスけど…」
「えっ!?」
「ここ、2階ッス…」
「う、嘘っ!?」
俺の言葉に彼女は声を上げ、それから頭を抱えて'またやっちゃったぁ…'と言った。
「私、方向音痴なんです…。教えてもらっても目的地に辿り着けなくて…」
―重症だ…―
失礼極まりないがそう思ってしまった。
「今から食堂の掃除に行こうとしてたんですけど…。ハァ…。だからマネージャーなんて無理だって言ってたのに…」
「…マネージャー?」
マネージャーは確か…帝襟アンリという人じゃなかったか?
「あっ!私、アンリさんと一緒にマネージャーを勤める、真白紬って言います!よろしくお願いします!ちなみに高2です!」
「…ああ!ど、どうも!潔世一ッス!俺も高2ッス!」
ピシッと背筋を伸ばし、そう挨拶をしてきた彼女に、自分も釣られるように背筋を伸ばし挨拶をする。
「アンリさんが絵心さんのサポートとかで忙しいから、私は主にアンリさんが出来ない部分を担当するの」
'潔くん達みんなの傷の手当てとかもするんだよー'と、笑顔で言う紬ちゃん。
彼女のその言葉に、初っ端足を捻ったイガグリが貼られた湿布を見てどうしてニヤニヤしていたのか、漸く合点がいった。
なんでも彼女、マネージャー業務と絵心のサポートに手一杯なアンリさんからの要望で、全国のサッカー部マネージャーから絵心の独断と偏見で選ばれたそう。
話の途中で'今年のおみくじ凶だったんだ…。きっとそれのせいだよ…'と言う紬ちゃんに、重度の不幸体質だと俺は思わず哀れんだ。(まさに南無三だ)
「私は、'みんなで楽しくサッカーを'っていう精神でやってきたから…。だから、いまいち絵心さんの考え方ってよく分からないし、ここの雰囲気にもまだ馴染めない…。正直、今でも帰りたいなって思ってる」
「紬ちゃん…」
「それに私は、みんなに夢叶えて欲しい……」
閉鎖的且つこんな殺気立った異様な空間でのマネージャー業務は、彼女のように平和主義的な考え方の人間には確かに酷なことだろう。
アンリさんがいるとは言え、彼女は実質
そんな紬ちゃんに無責任なことを言うわけにもいかず、気の利いた言葉が何一つ出てこなかった。
「……でも」
「?」
紬ちゃんが再び口を開いた。
「潔くんが吉良くんにボール当てた時なんでか私、物凄く胸が熱くなったんだよね」
「胸が、熱く……?」
「うん。それでその時、'私、今すごい瞬間を目撃したんだ!' '私、今とてつもなくすごい場所にいるんだ!'……って思ったの」
キラキラと目を輝かせながら言う紬ちゃんに、あの時の光景がまるで走馬灯のように蘇ってきた。
あの時、俺は最初イガグリに当てようとしていた。
でも俺の中のもう一人の俺が'違う'と、吉良くんへボールを放った。
自分自身でも驚いた行動、そして判断だった。
でも俺のその行動が、判断が、紬ちゃんの心を熱くしたのかと思うと、とてつもなく嬉しかった。
こんな風に、また誰かの心を熱くさせることが出来るんじゃないかって、思ってしまったんだ。
―俺のプレーが、俺のゴールが、誰かの……いや、大勢の人間の心を熱くさせる…―
「潔くん…?」
「ありがと紬ちゃん」
「え?」
急にお礼を言ってきた俺に、紬ちゃんは目を丸くした。
「正直、ここの雰囲気とか他の連中に飲まれそうになってたけど、紬ちゃんのお陰でモチベ上がった」
「へ?」
「俺、紬ちゃんがいてくれたら頑張れそうな気がする」
「え?え?どういうこと?」
ワケが分からず慌てふためく紬ちゃんに、'食堂まで一緒に行ってあげよっか?'と言ってあげると、さっきとは打って変わってほんわかとした笑顔を浮かべてくれた。
絶対に……絶対になってやる。世界一のストライカーに――。
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