ペルソナ
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「――いってぇ!!」
「コラッ!!動かないの!!」
大袈裟なほどに暴れる潔くんを押さえつける。
私に怒られた潔くんは'あ、ハイ…。ごめんなさい…'と素直に謝った。
只今私は、怪我をした潔くんの手当てをしている。
何故、潔くんの手当てをしているのかというと…
「もー、BLUE LOCK MANと練習していて怪我するなんて!!」
「ご、ごめんって…。そんなに怒らないでよ紬ちゃん…」
しょんぼりとする潔くんにため息をついた。
まあ、怪我といってもそんなに大したものではないが、練習でいちいち怪我をしていては元も子もない。
「練習は大事だけど、休むことだって同じくらい大事なんだからね」
「ハイ…」
相変わらずしょんぼりとする潔くんに、今度はため息ではなく笑みが零れた。
今の潔くんはまるで飼い主に叱られた子犬みたいだ。
ピンッ!と立っていた耳は倒れ、元気良く振っていた尻尾は垂れ下がっている。
そんな図が私の頭の中に浮かんだ。
サッカーをしている時はあんなに鬼気迫る表情なのに、普段はこんな感じでぽや〜んとしているのだから、そのあまりのギャップの激しさに本当に同一人物なのかと呆気に取られてしまう。
「潔くんって、すごくギャップがあるよね」
「え?そう?」
「うん」
不思議そうに首を傾げる潔くんは、その大きな瞳をさらに見開いた。
「だって、普段はこんなにぽや〜んとしてるのに」
「ぽ、ぽや〜ん?」
「そう。ぽや〜ん」
一度試合が始まるとまるで人が変わってしまう。
この青い監獄 には想像を絶する'怪物達'が閉じ込められている。
何人、何十人、何百人と……。
でも潔くんはそんな'怪物達'を喰らってきた。
喰らい、'怪物達'と化学反応を起こしてきた。
その度に潔くんの中のエゴイストは確実に育っていっている。
無数の屍を越えて先へと進み、その無数の屍を下敷きにして上に立っている。
青い監獄 とはそういう場所だ。
ここで生き残るとは‘そういう’ことだ。
「だからなのかな、なんかちょっと……怖くなる時があるんだよね」
どんどん潔くんが潔くんじゃなくなっていくような…。潔くんであって潔くんじゃないような……。
最終的に私の知っている潔くんはいなくなって、全く別の潔くんが生まれるのではないかと…。
「どんどん潔くんが遠くへ行っちゃう気がする…」
自分だけが取り残されてしまっているような、そんな寂しさを感じる時がある。
自分はマネージャーとして本当に役立っているのだろうか。
ずっとその場で足踏みをしているだけなのではないか?
みんなが変わっていく中で、私は何一つ変われていないのではないか?
いずれは私も、無数の屍の中に埋もれていくのではないか……。
そんな恐怖が日に日に増し、確実に自分の心を蝕んでいた。
「その時は…」
不意に手を掴まれた。
驚いて潔くんを見ると、そこには試合の時と同じ'目'をした潔くんがいた。
「その時は紬ちゃんも一緒に連れて行くから――」
さっきまでのぽや〜んとした潔くんじゃない。
「紬ちゃんのことだけは絶対離さない」
「あ……え、えっと……」
その圧倒的なオーラに飲み込まれてしまいそうだった。
「今の俺も……怖い?」
私の目の前に今いるのは…
「怖い?」
潔くん……なのだろうか?
「わ…かんない」
お互いの鼻の先がくっつきそうなくらいの至近距離で見つめ合う。
全て見透かされている、そんな風に錯覚してしまう。
どんどん早く、大きくなる心臓の音すら聞こえてしまいそうで…。
「――なーんてね」
張り詰めた空気を壊したのは潔くんだった。
「心配しなくても俺は俺のままだよ」
「い…潔くん…?」
さっきまでの空気が嘘みたいに、そこにはいつものぽや〜んとした潔くんしかいなかった。
呆気に取られたままの私に、‘手当てしてくれてありがとう!!俺、蜂楽達んとこ戻るわ!!’と、潔くんは人懐っこい笑顔を浮かべてトレーニングフィールドを出ていった。
「やっぱり潔くんはギャップが激しいよ…」
一人トレーニングフィールドに取り残された私は未だ心臓がバクバクしていた――。
「コラッ!!動かないの!!」
大袈裟なほどに暴れる潔くんを押さえつける。
私に怒られた潔くんは'あ、ハイ…。ごめんなさい…'と素直に謝った。
只今私は、怪我をした潔くんの手当てをしている。
何故、潔くんの手当てをしているのかというと…
「もー、BLUE LOCK MANと練習していて怪我するなんて!!」
「ご、ごめんって…。そんなに怒らないでよ紬ちゃん…」
しょんぼりとする潔くんにため息をついた。
まあ、怪我といってもそんなに大したものではないが、練習でいちいち怪我をしていては元も子もない。
「練習は大事だけど、休むことだって同じくらい大事なんだからね」
「ハイ…」
相変わらずしょんぼりとする潔くんに、今度はため息ではなく笑みが零れた。
今の潔くんはまるで飼い主に叱られた子犬みたいだ。
ピンッ!と立っていた耳は倒れ、元気良く振っていた尻尾は垂れ下がっている。
そんな図が私の頭の中に浮かんだ。
サッカーをしている時はあんなに鬼気迫る表情なのに、普段はこんな感じでぽや〜んとしているのだから、そのあまりのギャップの激しさに本当に同一人物なのかと呆気に取られてしまう。
「潔くんって、すごくギャップがあるよね」
「え?そう?」
「うん」
不思議そうに首を傾げる潔くんは、その大きな瞳をさらに見開いた。
「だって、普段はこんなにぽや〜んとしてるのに」
「ぽ、ぽや〜ん?」
「そう。ぽや〜ん」
一度試合が始まるとまるで人が変わってしまう。
この
何人、何十人、何百人と……。
でも潔くんはそんな'怪物達'を喰らってきた。
喰らい、'怪物達'と化学反応を起こしてきた。
その度に潔くんの中のエゴイストは確実に育っていっている。
無数の屍を越えて先へと進み、その無数の屍を下敷きにして上に立っている。
ここで生き残るとは‘そういう’ことだ。
「だからなのかな、なんかちょっと……怖くなる時があるんだよね」
どんどん潔くんが潔くんじゃなくなっていくような…。潔くんであって潔くんじゃないような……。
最終的に私の知っている潔くんはいなくなって、全く別の潔くんが生まれるのではないかと…。
「どんどん潔くんが遠くへ行っちゃう気がする…」
自分だけが取り残されてしまっているような、そんな寂しさを感じる時がある。
自分はマネージャーとして本当に役立っているのだろうか。
ずっとその場で足踏みをしているだけなのではないか?
みんなが変わっていく中で、私は何一つ変われていないのではないか?
いずれは私も、無数の屍の中に埋もれていくのではないか……。
そんな恐怖が日に日に増し、確実に自分の心を蝕んでいた。
「その時は…」
不意に手を掴まれた。
驚いて潔くんを見ると、そこには試合の時と同じ'目'をした潔くんがいた。
「その時は紬ちゃんも一緒に連れて行くから――」
さっきまでのぽや〜んとした潔くんじゃない。
「紬ちゃんのことだけは絶対離さない」
「あ……え、えっと……」
その圧倒的なオーラに飲み込まれてしまいそうだった。
「今の俺も……怖い?」
私の目の前に今いるのは…
「怖い?」
潔くん……なのだろうか?
「わ…かんない」
お互いの鼻の先がくっつきそうなくらいの至近距離で見つめ合う。
全て見透かされている、そんな風に錯覚してしまう。
どんどん早く、大きくなる心臓の音すら聞こえてしまいそうで…。
「――なーんてね」
張り詰めた空気を壊したのは潔くんだった。
「心配しなくても俺は俺のままだよ」
「い…潔くん…?」
さっきまでの空気が嘘みたいに、そこにはいつものぽや〜んとした潔くんしかいなかった。
呆気に取られたままの私に、‘手当てしてくれてありがとう!!俺、蜂楽達んとこ戻るわ!!’と、潔くんは人懐っこい笑顔を浮かべてトレーニングフィールドを出ていった。
「やっぱり潔くんはギャップが激しいよ…」
一人トレーニングフィールドに取り残された私は未だ心臓がバクバクしていた――。
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