テオパネーを射止めるのは
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「――どういうぶつけ方したらこんなに酷い痣が出来るんだ。オシャじゃねーにも程があるだろ」
「う…。ごめんなさい……」
…鈍臭いって言いたいのかな。多分。
赤黒い痣を見て呆れた表情でため息をつく蟻生くんに対して、私は心の中でそう呟いた。
耽美派…という表現が適切かどうかは分からないが、'美'に対して並々ならぬこだわりを持つ蟻生くんの、その独特な表現には未だに慣れないでいた。
本人は至って真面目に言っているのだと思うが、何かにつけて'美しい'か'美しくない'か、'オシャ'か'オシャじゃない'かで表現する為、正直こちらとしてはどう反応を返せば良いのか分からない。
「もっとよく周りを見ろ。そうすればぶつかりそうになっても、俺のようにオシャに回避することが出来るぞ」
「は、はぁ…。ありがとう…」
…とりあえず気を付けろと言いたいのだろうと、無理矢理自分を納得させた。
まあ、表現はアレだが蟻生くんなりに心配はしてくれているみたいだから、ここは素直にお礼を言っておく。
「とにかく後でちゃんと湿布は貼っておけ。その痣、暫くは消えないぞ」
「うーん……でも、そんなに痛くはないんだけどなぁ…」
「いいから貼っておけ。痣があるだけで美しくねーだろ」
「…はーい」
でも本当に痣の割に痛みはほぼないんだよね。
とはいえ、言う通りにしなかったら後々また面倒なことになりそうなので、必ず湿布を貼っておこうと改めて思った。
それにしても…蟻生十兵衛という人にとって'美'が人生において最も価値があることであり、最も重要なものなのだなと思い知らされた。だってまさか、痣一つでここまで言われるとは正直思ってもみなかったのだから。
赤の他人に対してここまで口五月蠅くなるのだから、もしも彼自身が怪我をして傷や痣が出来てしまったら、さらに大騒ぎするのではないか?大袈裟でもなんでもなくショックで倒れてしまうのではないだろうか。
...いや。でも案外、'傷があっても俺は美しい'と超ポジティブ思考になるかもしれない。
「蟻生くんって、自分の体に傷が出来たりしたらショックで倒れそうだよね。'今の俺は美しくない!オシャじゃない!'って感じで」
「まあ否定はしない」
蟻生くんの答えに私は苦笑を浮かべた。
流石の彼もポジティブ思考ではいられないらしく、やはりショックを受けるらしい。
ちらりと右腕についた赤黒い痣を見た。
「痣…残っちゃうかな?」
なんだか急に気になり出した。
「安心しろ。痣が残ったとしても紬のことは貰ってやる」
漆黒に塗り潰された爪が痣の上を滑る。
「は…?あ、あの…貰うって…?」
その漆黒を目で追いながら訊ねた。
「そんなの、俺の嫁としてに決まってるだろ」
…すぐに湿布貼ろう。
いつものように妙なポーズを取って自信満々に言う蟻生くんに、私はそう密かに思うのだった――。
「う…。ごめんなさい……」
…鈍臭いって言いたいのかな。多分。
赤黒い痣を見て呆れた表情でため息をつく蟻生くんに対して、私は心の中でそう呟いた。
耽美派…という表現が適切かどうかは分からないが、'美'に対して並々ならぬこだわりを持つ蟻生くんの、その独特な表現には未だに慣れないでいた。
本人は至って真面目に言っているのだと思うが、何かにつけて'美しい'か'美しくない'か、'オシャ'か'オシャじゃない'かで表現する為、正直こちらとしてはどう反応を返せば良いのか分からない。
「もっとよく周りを見ろ。そうすればぶつかりそうになっても、俺のようにオシャに回避することが出来るぞ」
「は、はぁ…。ありがとう…」
…とりあえず気を付けろと言いたいのだろうと、無理矢理自分を納得させた。
まあ、表現はアレだが蟻生くんなりに心配はしてくれているみたいだから、ここは素直にお礼を言っておく。
「とにかく後でちゃんと湿布は貼っておけ。その痣、暫くは消えないぞ」
「うーん……でも、そんなに痛くはないんだけどなぁ…」
「いいから貼っておけ。痣があるだけで美しくねーだろ」
「…はーい」
でも本当に痣の割に痛みはほぼないんだよね。
とはいえ、言う通りにしなかったら後々また面倒なことになりそうなので、必ず湿布を貼っておこうと改めて思った。
それにしても…蟻生十兵衛という人にとって'美'が人生において最も価値があることであり、最も重要なものなのだなと思い知らされた。だってまさか、痣一つでここまで言われるとは正直思ってもみなかったのだから。
赤の他人に対してここまで口五月蠅くなるのだから、もしも彼自身が怪我をして傷や痣が出来てしまったら、さらに大騒ぎするのではないか?大袈裟でもなんでもなくショックで倒れてしまうのではないだろうか。
...いや。でも案外、'傷があっても俺は美しい'と超ポジティブ思考になるかもしれない。
「蟻生くんって、自分の体に傷が出来たりしたらショックで倒れそうだよね。'今の俺は美しくない!オシャじゃない!'って感じで」
「まあ否定はしない」
蟻生くんの答えに私は苦笑を浮かべた。
流石の彼もポジティブ思考ではいられないらしく、やはりショックを受けるらしい。
ちらりと右腕についた赤黒い痣を見た。
「痣…残っちゃうかな?」
なんだか急に気になり出した。
「安心しろ。痣が残ったとしても紬のことは貰ってやる」
漆黒に塗り潰された爪が痣の上を滑る。
「は…?あ、あの…貰うって…?」
その漆黒を目で追いながら訊ねた。
「そんなの、俺の嫁としてに決まってるだろ」
…すぐに湿布貼ろう。
いつものように妙なポーズを取って自信満々に言う蟻生くんに、私はそう密かに思うのだった――。
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