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ブル遊 小説もどき

「遊星、びっくりしてくれるかな」
帰りの時間が遅くなってしまう、と連絡したものの予定よりも早く切り上げることができたブルーノは紆余曲折あって結ばれ共に暮らし、愛を確かめ合うことも片手では数えきれないほどした愛おしい遊星のことを考え軽い足取りで帰路についていた。

「遊星!ただいま!」
「おかえりブルーノ …早かったんだな」

そんなブルーノを迎えたのは想像してたよりも落ち着いて、でも珍しく少しバツが悪そうに笑っている遊星とその前に並べられた色とりどりのアルコール缶だった。

「うん、早く終わったから……というかどうしたの?それ、遊星がお酒飲むなんて初めて見るよ」

「あぁ、珍しく連絡を寄越してきたジャックが『お前ももう酒が飲めるのだから味を覚えておけ』と言っていて、確かに酒を飲まないといけない場も少なくはないからと思って買ってみたんだが…」

気づけばジュースのようなものばかり手に取ってたのが恥ずかしかったんだ、と遊星が珍しい表情でブルーノを出迎えた理由を少し頬を赤くして話した。
それに「じゃあ僕もジュース飲みながら遊星に付き合ってもいいかな?」と切り出したブルーノに遊星は目元を緩ませながら頷き、二人ソファに並んであまり格好のつかない晩酌をすることとなった。



二人の飲むペースは共にゆっくりとしたものだったが遊星が1缶と半分ほどを飲んだところでぽすりと、気分だけでもとグレープジュースを飲んでいたブルーノの右腕に頭を預けてきた。

「遊星、大丈夫?水持ってこようか、それとももう寝ちゃう?」

…どうやら遊星はアルコールには強くないらしい。
そう結論付けたブルーノはこんな時にでも控えめにしか重さを感じない様にもたれている恋人に胸をきゅんと打たれながら優しく問いかける。だが、

「ブルーノは本当にかわいいな」

返ってきた答えは何にも掠りもしないものだった。
酔いですっかり血色の良くなった顔をこちらに向けじっと見つめてから背を伸ばして頬にキスをしてきた遊星に驚きで目を丸くしたブルーノだったが普段中々こういう戯れができていなかったので素直に喜んだブルーノが

「えー?かっこいいって言ってよ」

と表情を緩めて遊星にキスをもっと強請る様にブルーノは腰を屈めると、応えるように頬だけではなく額、鼻、瞼、それから首筋と遊星はキスを落としていく。

「ブルーノはかわいいんだ、俺たちと出会った時もジャックはあんなに怒気を帯びた声色だったのにきょとんとした表情で、正直あのときから庇護欲が唆られて…」
「初めてライダースーツに袖を通した俺に輝いた瞳で感想を伝えてきたときも…」

と思い出と共に遊星が語る自身に対してかわいいと思った時のことを聞かされるブルーノも(遊星って酔うとこんなふうになっちゃうの?!外で飲まないように言わなきゃ…!)と流石に顔に熱が集まるのを感じながら思っていると、今まで避けていたようにしてこなかった唇にキスが落とされる。
が、今までの戯れのようなかわいらしいものではなく、事情中を思わせる激しいものでぬるりと唇を割って侵入してきた遊星の舌に口内を弄られる。
驚いたブルーノはすっかりリードを奪われてされるがままぢゅ…♡ちゅぶ♡と聞こえる音さえも股間を熱くさせるには充分だった。

しばらくしてからやっと口を離されたブルーノは顔を真っ赤にして肩で息をして遊星を見つめるしかできなかった。
そんなブルーノを見て遊星は互いの唾液で潤んだ唇を舐めたあと
「ほら、ブルーノはかわいい」
といまだに顔を赤くして何もできず自分を見るしかできないブルーノの耳元で囁き、ついでとばかりにリップ音まで落としさらには兆した股間の膨らみを爪でかり、かり、と弄ぶかのような刺激を与えてくる。

流石にそこまでされてしまうと……!
「っ、遊星!!」

自分でも止めようとしたのか押し倒そうとしたのかブルーノは分からなかった。
散々自分の気持ちを乱した遊星が寝息を立ててソファーに沈んでいたのを見て何もできなかったのだ。

冷静になれていない自分を落ち着かせるためにテーブルに置きぱなしになっていたジュースを一気にあおり深く息を吐いてから珍しくしばらく起きそうにもない遊星を抱き抱え彼の寝室のベッドに運び、自分の部屋に戻ってから頭から布団を被ったブルーノの一連の行動は早かった。自分が寝ている遊星に無体を働くような気がして仕方なくて気が気ではなかった。

早く寝てしまおうと寝る姿勢になり目を瞑るも一向に睡魔は訪れず、ブルーノは朝日と共に鳴き始める雀の鳴き声を聞くのだった。
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