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distant memory



ジャック「子供の頃の事?」



椅子に腰掛け書類に目を通していたジャックは自らに向けられた問いかけに顔をあげた

声のする方へと視線をずらすとそこには此方をまじまじと見つめる子供の姿
セティ、ディアナ、リル
博士の手によって作られたジャックとサリーの子供達だ

各々がしっかりと両者に似た彼らのその表情は年相応の子供らしい興味津々といった表情を向けてきている


セティ「ちょっと気になったんだよね、そういえば昔の父さんの話って聞いたことないなって」


セティの言葉にジャックはふむ、と一言
言われてみれば過去の話なんて一度もした事がなかった


ディアナ「母様に聞いてみたんですけど父様に聞いてみなさいって言われて」
リル「だからパパ教えて!すっごく気になる!」


詰め寄られる形となりジャックは思わず苦笑してしまう
とくに話しても面白い物ではないだろうと考え「秘密だよ」と言いかけたところでその口を閉じた
自身の子だけあって皆好奇心旺盛でなかなかにしつこい部分がある
これは話を聞くまでここを離れる事はなくどれだけでも居座り続けるのだろう

ジャックは一呼吸置き、手に持っていた書類を引き出しにしまいこんだ


ジャック「わかったよ、このままだと仕事の続きなんて出来ないだろうしね」
セティ「その通り」


父の回答にセティは満足げに笑みを浮かべた
ジャックは立ち上がるとソファへと向かい静かに腰掛ける
それを見た子供達はソファへと駆け寄るとジャックを取り囲むように座り込んだ

子供達が座るのを確認するとジャックの口が静かに開く


ジャック「さて、僕の昔の話だよね…うーん、どこから話そうか」


セティはジャックの向かい側に腰掛け足を組み彼の言葉に耳を傾ける
ディアナはジャックの右に腰掛け静かに話が始まるのを待つ
リルはジャックの左に腰掛けたかと思うと彼の細長い足に突如飛び乗り子供らしい笑顔を浮かべる
そんなリルの小さな頭を骨の手で撫でジャックが語り始めた



ジャック「これは僕がまだリルと同じ…いや、それよりも幼かったのかもしれないかな……それくらい大昔の話になるね」
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