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欺瞞の薔薇




食事を終え身支度を整えたジャックとブギーはウェーレンの家を出た
その後にウェーレンが続く


ジャックは自身の着込んだ衣服に目をやった
着こんでいるのはやはりウェーレンの衣服


ジャック「最後まで君の服を借りっぱなしになっちゃったね」
ウェーレン「気にしないでくれ、それに着る物がないと…王が全裸だなんて笑えるだろ?」

確かにそうだ
想像したらなかなかに面白い光景だ
ジャックは思わず笑いだす

そんな彼の顔を見てウェーレンもその表情を和らげた
そしてジャックの後ろに立っていたブギーに歩み寄る


ウェーレン「ブギー、色々と世話になった」
ブギー「あーそうだろうよ、俺もお前ら二人を
甲斐甲斐しく世話するとは思わなかったぜ…」
ウェーレン「ははは!エプロン姿よく似合ってたぞ!」


彼の言葉にジャックもブギーのエプロン姿を思い出して噴き出す
ブギーはそんなジャックに睨みをきかせる
するとブギーの麻袋の手が何かに掴まれた

それはウェーレンの手


ブギー「おい、一体何の真似…」
ウェーレン「感謝している…本当に世話になった」


ウェーレンの握る手は力強く、ブギーも負けじと力をこめ握りしめた
そしてその背中を空いている手で少々強めに叩いてやる
痛いなと呟きながらもウェーレンは嬉しそうだった


そして次にウェーレンはジャックの方へと向き直り、そっと手を差し出す
ジャックはその手を見つめしっかりと握りしめる


ウェーレン「王…貴方のおかげでこの街は救われた、これで皆が無事に生活していける…本当にありがとう」
ジャック「ジャックで構わないよ、それに僕からも礼を言わせてほしい…君がいなければ僕やブギーは無事ではなかったかもしれない」


骨の手でしっかりとウェーレンの大きな手を包む
するとその手を強く引かれ抱きしめられた
ウェーレンの立派な体躯に包まれ笑顔のまま細い腕をその背に回す


ウェーレン「よかったら、またこの街に来てくれ…その時は今よりもっと、いや…確実に賑やかな街になっていると思う」
ジャック「是非そうさせてもらうよ、その時は他の人も連れて来る」


言葉を交わしているとジャック達の前に馬車が停まった
そこから顔を覗かせたのは見覚えのある姿
この街へ来た際の馬車にいた御者だった


御者「ジャック・スケリントン様、ハロウィンタウンまでお送り致します」
ジャック「貴方は…傷は大丈夫ですか?」


ジャックが自身の額を指差し問いかけると御者は笑顔で頷いた
その額にはうっすらと傷跡が残ってはいるものの、既に痛みなどはないようだ

御者が扉を開きジャック達を中へと誘う
ブギーは先に中に乗り込み続けてジャックも乗り込もうと足をかけた
そこで一度振り返りウェーレンへ明るい笑顔を見せた


ジャック「ウェーレン、今度この街へ来た時は君の最高傑作を是非買わせてもらうよ!」
ウェーレン「…ははは!わかった、最高の作品を作って待ってる!」


ジャックが馬車に乗り込むと御者は扉を静かに閉じ、馬車の前方へと向かう
手綱を掴むとゆっくりと黒色の馬を走らせた

馬車がその場から走りだしその姿が見えなくなるまでウェーレンはその場に立ち見つめ続けた


ウェーレン「ジャック・スケリントンにウギー・ブギー……色んな意味で凄い連中だ、まったく」










揺れる馬車の中で二人は互いに向き合い言葉を交わす
その表情にはどこか緊張の色が伺えた


ブギー「で…グリアスがいなくなったあの街はどうなるんだ?」
ジャック「新たな指導者が付く事になるだろうけど…それは僕が選ばせてもらうつもりだよ」


グリアス公爵無き今、エボニータウンは新たな指導者を得なければならない
小規模な村などならば住民の一人を長として選べば済む話だ
しかしエボニータウンはハロウィンタウンより少々規模は劣るものの、唯一錐輝石という特殊な鉱石を扱う限られた場所
そのような場所を守り、住民をまとめあげるリーダーはどうしても必要だった


ここはジャックの支配区域内であり、彼にはその指導者を決める権利がある


ブギー「まぁそれなら大丈夫だろうな」
ジャック「僕って随分と信頼されてるんだ?」
ブギー「…そういった事に関しちゃぁな、こういう時のお前の目に狂いはねぇ事ぐらい知ってるっての」


ジャックはその立場もあり優れた鑑識眼を持つ
ブギーはそんな彼の目を確かなものだと確信していた


ジャック「とにかくハロウィンタウンに戻ったら早速リストを見直して考えないと…よかったら手伝ってくれると助かるんだけど?」
ブギー「おいおい、まじかよ…今日くらいは休もうぜ?」
ジャック「出来る事なら早く決めてあの街をよくしたいじゃないか」
ブギー「それはわかるが休息も必要だっての!俺はお前らの家政婦やらされて疲れてんだよ」


そう言われてしまうとほぼ事実であるだけに何も言い返せない
ジャックはしょうがないかと素直に彼の提案を受け入れる事にした

窓にふと目をやると漆黒の森の中を走っているらしく黒色樹木が並ぶ

ハロウィンタウンへ到着するには暫く時間がかかる
ジャックは静かに背もたれにその身を預けた
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