矮小猫のおまじない
コープス「墓場を抜けてー…」
コープスチャイルドが地図を眺め考え込む
ジャックは隣に立ちその地図を覗き込んだ
ジャック「墓場を抜けて…スパイラルヒルを抜ける………迷いの森じゃないか」
マミー「迷いの森?行った事ないや」
ジャック「うーん…君達は行かない方がいいんだけど」
そこで言葉が遮られた
3人がジャックを見つめていたからだ
その視線を受けジャックは頭を掻く
ジャック「…しょうがないな、いいかい?森に入ったら絶対に僕から離れないように…約束できるかい?」
コープス「うん!ジャックから離れない!」
マミー「約束するよ!」
頷く3人を見てジャックはコープスチャイルドから地図を受け取る
そして地図を握る腕をあげ声をあげた
ジャック「よし、なら皆で宝を目指して出発だ!」
子供達が元気よく腕をあげその声に呼応する
4人はそのまま墓場を進み迷いの森の方角へと向かった
「聞いた?」
「聞いた聞いた!」
「面白そう!」
「「「宝はいただきだーっ!」」」
3つの影が声を上げるとジャック達の後を追いかけた
暫くして4人は墓場を抜けスパイラルヒルをのぼる
足場がゆっくりと伸びそこをおりると目の前に迷いの森への入り口が見えた
ジャック「さてと、あとはこの森のどこに宝があるかだけど」
そう言って再度地図を確認する
宝を示す赤い印は森の中央に記されていた
ジャック「森の中央か…君達、もう一度言っておくけど絶対に僕から離れてはいけないよ?」
バッド「大丈夫!しっかりくっついてる!」
コープス「迷いの森ってそんなに危ない所なの?子供だけで来ちゃダメだって言われてるけど」
ジャック「子供だけで来たら最悪二度と森から出られないかもしれないね」
マミー「…絶対に僕達だけで来ないようにしなきゃ!」
素直にジャックの言葉を聞いた子供達は文字通りジャックの身体に飛びついた
1人は右腕、もう1人は左腕、そしてもう1人はジャックの背中
何もそこまでしなくてもいいんだけど…
そう思いながらジャックは森の中へと足を踏み入れた
迷いの森には薄らと霧がかかり視界が悪い
日が昇り明るい事がせめてもの救いだった
ジャックは地図を時折眺めては森を進んでいく
子供達は初めて見る森の光景を不思議そうに眺めしっかりとジャックに身を寄せていた
暫く進むと木々に囲まれた広い場所に出る事となった
中央には一本の木がそびえ立っている
ジャック「…地図の通りだとあの木の根元にでも埋まってるんじゃないかな?」
ジャックがそう告げると子供達は一斉にその木目掛けて走り出した
根元に辿り着くと地面を掘り返し始める
3人が掘り返す間にジャックは地図を眺めた
するとそこである事に気が付く
地図の端に何か文字が書かれている
それはかすれており所々しか読み取れなかった
ここに 憶の を葬
記 の 長年に渡り の記 をいく も
読み取れるのはそこまでだった
何のことだろう
ジャックが不思議に思っていると子供達の呼ぶ声が聞こえた
コープス「ジャックー!箱が出てきたよ!」
バッド「きっとこれが宝だよ!」
マミー「わぁ!本当に見つけちゃった!」
3人のもとに駆け寄り穴の中を覗き込む
そこには古い小さな小箱が一つ
コープスチャイルドがその小箱を手に取るとジャックへ手渡した
ジャック「まさか本当に宝を見つけるとは思わなかったな」
手に取った箱をまじまじと眺める
すると何やら錠前がついており、そこには見慣れない紋章が描かれていた
それは懐中時計の形を有しておりその中には茨を巻き付けた女性の姿が彫り込まれている
ジャック「不思議な紋章だけど…なんだろう、見た事がないな」
マミー「早く開けてみようよ!」
子供達の急かす声にジャックは箱に手をかけた
しかしやはり開く事はない
錠前をどうにかしなければならないだろう
ジャック「うーん、鍵が必要みたいだね」
バッド「ここには鍵なんてないみたいだけど…」
すると突然ジャックの持っていた箱が小さな手に取られ目の前から消えた
何事かと視線を向けるとそこにはロックの姿
ロック「これがお宝かぁ、思ったより小さいや!」
ショック「でももしかしたらすっっっごい物が中に入ってるかも!?」
バレル「早速持って帰って親分に見せてあげよー!」
小鬼達が声を揃え笑う
箱を掲げその場で小躍りする彼らにジャックが声をあげた
ジャック「こら!それを今すぐ返すんだ!」
すると小鬼達がジャックを見てにやりと怪しげな表情を浮かべる
それと同時にロックが走り出した
続けてショックもその後に続き走り出す
ジャック「待て!」
咄嗟に追いかけようとしたジャックだったが最後に走り出したバレルが何かを足元へ落とした
それは片手に軽く収まるほどの大きさの丸い物
すると突然その球体が破裂しその場を光が包んだ
それは目くらましだった
光に思わず目を閉じた4人は身動きが取れなくなる
光がおさまりようやく目を開くとそこにはもう小鬼達の姿は無かった
コープス「せっかく見つけたのに持っていかれちゃった…」
子供達はすっかり落ち込み今にも泣きだしそうな表情を浮かべる
そんな3人をジャックが慌てて宥め始めた
ジャック「ごめんよ、僕がついていながら」
マミー「あの3人が悪いんだ!横取りなんてひどいや!」
ジャック「…とにかく一度街へ戻ろう、彼らの事は僕に任せて、ね」
ジャックの言葉に3人は素直に頷きその場を離れる事となった