蠱惑の糸


爆風と爆音
部屋の壁や床は衝撃で破壊され天井からはパラパラと欠片が降る

黒い煙が立ち込める部屋は無音に包まれた




暫くして煙が薄くなり、爆発のせいで出来上がった瓦礫の山が微かに揺れる


ブギー「いってぇなちくしょう!!」

その怒声と共に瓦礫の山が弾かれ中からブギーが飛び出してきた

ジャック「いきなり爆発なんて酷すぎるんだけど!!」

続いてジャックもブギー同様瓦礫を押しのけ姿を現す
どうやら互いに蜘蛛の存在に気付いた瞬間、後方に飛び退いたらしく爆発の衝撃を和らげたようだ

ブギー「もう少し近かったら酷い目にあってたぞこれ!つーかまだ残ってたのかよありえねぇ!」
ジャック「もういないと思ってたのに!あーぁ……服が台無しだよ」

立ち上がった2人は自身の体を見てため息をもらす
爆発の衝撃や瓦礫に埋もれていた為か全身埃にまみれ、ところどころ傷付いている

ブギー「おいまさか破れてねぇだろうな…」
ジャック「見た感じ大丈夫そうだけどね」

ジャックはともかくブギーにとって袋が破れるのは危険な事だ
体内の虫が出てしまうと弱ってしまう
ブギーは頭の天辺からつま先まで破れていないかと注意深く眺める
虫が出るほどの被害は無いと判断しようやく一息つく
だがそこで再び警戒を始める
先程のようにまた突然降ってきたりしないかと


ブギー「もういねぇだろうな!どうだ!いるか!?」
ジャック「んー…うん、もういないって。少し落ち着きなよ」
ブギー「お前はいいとしても俺は袋が破れちまったら大問題なんだよ!」
ジャック「はいはい」

ブギーの怒鳴り声を聞きながらジャックは軽く流し、外へ出る為に階段へと足を進めた









階段を上りやっと地上に出れた、と2人して安どの表情を浮かべた
と同時に

バレル「待てー!!」
ロック「逃げるなこのー!」
ショック「そっちにいったわよ!!」

そこには大声をあげながら走る小鬼達の姿があった

ジャック「え、なにやってるのあれ」
ブギー「すまん、俺にもわからん」

待っている事に飽きて遊び始めたのだろうか
そう思いながら3人が走る先を見る


そこには逃げ回る青い蜘蛛がいた





ジャック「何やってるんだ君達はー!!!」
ブギー「お前らそいつを追いかけるんじゃねぇーっ!!!」

2人は盛大に慌て3人の元へと走る
もしもあの青い蜘蛛が爆発してしまったら彼らは勿論巻き込まれるだろう



バレル「捕まえたーっ!」

2人が駆け寄る直前にバレルが勢いよくジャンプして青い蜘蛛に飛び掛かり、しっかりと両手でその体を捕まえてしまう
それを見て やったー!!と喜ぶロックとショック




だったが




喜んでいたのも束の間、2人の前にジャックが背を向け立ち

ブギー「うおおおおおおおおおおあぶねええええええええ!!!!!」

ブギーがバレルの手から青い蜘蛛を乱暴につかみ取ると同時に叫びながら天高くへと全力で投げた

遥か上空へと飛んだ蜘蛛は青く光りだし、空中で爆発
舞い散った冷気が夜空にキラキラと輝いた



ロック「わぁ…」
ショック「すごぉい…」

それを見上げ凄い凄いと大喜びな2人を見てジャックはこの日何度目かわからない溜息を吐いた

ブギー「おいバレル!怪我はねぇか!?」
バレル「お、親分………かっこいい!!!!」
ブギー「…あ?」
バレル「あの蜘蛛をあんな遠くに投げるなんて凄い!流石親分!!」

心配して損したぜ…
バレルが無事な事を確認しジャックと同じく何度目かわからない溜息


ジャック「まさか外にもいたなんてね」
ブギー「…他にもいるんじゃねぇだろうな」

そういって周囲の様子を伺うが他には蜘蛛の姿はなく


ブギー「よぉし…とりあえずここにはいないな」
バレル「親分どうしたの?」
ブギー「なんでもねぇ…お前はもう気にするな」


ショック「……ねぇジャック。さっきの蜘蛛ってもしかして」
ジャック「その通り、危なかったんだよ?君達」

ジャックの言葉に2人は暫しの沈黙の後、危なかったぁぁぁ!と互いに顔を見合わせ驚く


ブギー「おい、この後どうすんだ?」
ジャック「とりあえず一度町に戻ろうか。ここにはもう何もいないようだし」

ブギー「よっし!お前ら帰るぞー!」

ブギーの掛け声に3人は元気よく片手をあげ呼応し4人は意気揚々と町へと向かう

それを見て仲良しだなぁとクスリと笑い、ジャックも町へと向かった
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